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ケアマネジャーに「この事業所を使いたい」と伝えたら、「そこは市外なので使えません」と言われた——介護の準備を始めた家族が、かなりの確率でぶつかる場面です。距離は近いのに使えない。理由の説明もないまま話が終わる。
これは事業所や担当者の都合ではなく、介護保険の制度が「使える範囲」を市区町村で区切っているサービスがあるためです。該当するのは9種類。名前を「地域密着型サービス」といいます。
このページでは、その9種類が何か、実際にどれくらいの市区町村で「1つもない」状態が起きているか、例外として使える条件は何か、を厚生労働省の公表データから整理します。
隣の市の事業所は、原則として使えない
介護保険のサービスは、指定する行政の単位が2つに分かれています。都道府県(政令市・中核市を含む)が指定するものと、市区町村が指定するものです。
訪問介護、デイサービス、訪問看護、特別養護老人ホームなどは前者です。指定した都道府県の中はもちろん、県をまたいでも使えます。住所による制限はありません。
一方、市区町村が指定するサービスが「地域密着型サービス」です。その市区町村に住民票がある人が使うことを前提に指定されているので、他の市区町村に住んでいる人は、原則として利用できません。事業所が道の向こう側にあっても同じです。
出典:マモリア調べ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」2026年6月末時点/全国1,889市区町村。同一事業所の重複を整理して集計)
なぜそうなっているのかというと、これらのサービスが「住み慣れた地域で暮らし続けること」を目的に、2006年の制度改正で新しく作られた枠組みだからです。夜中に駆けつける、認知症の人を小さな単位で見る、通いと泊まりを同じ職員が担当する——いずれも生活圏の中で完結することを想定した設計になっています。
考え方としては筋が通っています。ただ実際の家族にとっては、「制度としては存在するのに、自分の親には使えない」という状態が、説明のないまま目の前に現れることになります。
地域密着型サービスは9種類
市区町村が指定する地域密着型サービスは、次の9種類です。要支援の人向けには「介護予防」がついた3種類(認知症対応型通所介護・小規模多機能型居宅介護・認知症対応型共同生活介護)があります。
| サービス名 | 何をするか | 使う場面 |
|---|---|---|
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 1日複数回の短時間訪問と、24時間の呼び出し対応をまとめた仕組み | 夜間・早朝も含めて人手が要る |
| 夜間対応型訪問介護 | 夜間帯の定期巡回と、通報を受けての随時訪問 | 夜だけ不安がある |
| 地域密着型通所介護 | 定員18人以下の小規模なデイサービス | 大人数が苦手/自宅の近くがいい |
| 認知症対応型通所介護 | 認知症の人だけを対象にしたデイサービス | 一般のデイで落ち着かない |
| 小規模多機能型居宅介護 | 通い・訪問・泊まりを1つの事業所が担当する | 状態の変動が大きい/急な泊まりが要る |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 小規模多機能に訪問看護を加えたもの | 医療的な処置が続いている |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 認知症の人が5〜9人で共同生活する住まい | 在宅が難しくなった認知症 |
| 地域密着型特定施設入居者生活介護 | 定員29人以下の介護付有料老人ホーム等 | 小規模な住まい系を探す |
| 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特養) | 定員29人以下の特別養護老人ホーム | 特養を地元で探す |
名前が長く、似たものが並ぶので覚えにくいのですが、「地域密着型」「認知症対応型」「小規模多機能」「定期巡回」「夜間対応型」のどれかが名前に入っていたら、住所で使える範囲が決まると考えて差し支えありません。
逆に、住所による制限がないのは次のサービスです。こちらは市区町村をまたいで契約できます。
| 種類 | サービス |
|---|---|
| 訪問 | 訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導 |
| 通い | 通所介護(定員19人以上のデイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア) |
| 泊まり | 短期入所生活介護・短期入所療養介護(ショートステイ) |
| 住まい | 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、特定施設(介護付有料老人ホーム・軽費老人ホーム等) |
| 相談 | 居宅介護支援(ケアマネジャー) |
| 用具 | 福祉用具貸与、特定福祉用具販売、住宅改修 |
ケアマネジャーの事業所(居宅介護支援)にも住所の制限はありません。隣の市の事業所と契約しても構いません。ただし地域密着型を組み込む場合は、その市区町村の事情に詳しいほうが話が早く進みます。選び方はケアマネジャーの選び方と変え方にまとめています。
どれくらい「ない」のか
ここからが本題です。地域密着型サービスは「隣の市のものが使えない」だけでなく、そもそも自分の市区町村に1つも存在しないことが珍しくありません。
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」から全国1,889市区町村分を集計すると、次のようになります。
出典:マモリア調べ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」2026年6月末時点/全国1,889市区町村。同一事業所の重複を整理して集計)
夜間対応型訪問介護は、全国に事業所がある市区町村が113しかありません。残りの1,776(94.0%)にはゼロです。看護小規模多機能型が70.5%、定期巡回・随時対応型が67.8%の市区町村でゼロ。「制度としてはある」と説明されるサービスの多くが、地域単位で見ると存在していません。
| 地域密着型サービス | 1つもない市区町村 | 割合 |
|---|---|---|
| 夜間対応型訪問介護 | 1,776 | 94.0% |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 1,332 | 70.5% |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 1,280 | 67.8% |
| 地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養) | 1,003 | 53.1% |
| 認知症対応型通所介護 | 914 | 48.4% |
| 小規模多機能型居宅介護 | 608 | 32.2% |
| 地域密着型通所介護 | 303 | 16.0% |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 191 | 10.1% |
出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで同一事業所の重複を整理して集計。全国1,889市区町村を対象。地域密着型特定施設は事業所数が少なく、集計対象の21サービスに含めていません。定員欄は未報告が半数を占めるため使用していません。
興味深いのは、同じ困りごとを支えるはずの制度で、住所制限のある側とない側の差が大きく開くことです。
出典:マモリア調べ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」2026年6月末時点/全国1,889市区町村。同一事業所の重複を整理して集計)
訪問介護は6.0%の市区町村にしかないのに対し、その夜間版である夜間対応型訪問介護は94.0%でゼロ。特別養護老人ホームは6.1%でゼロなのに、地域密着型特養は53.1%でゼロ。「小規模で、地域に密着していて、住民のためのもの」という設計思想を持つサービスほど、実際には地域に存在していないという逆転が起きています。
理由は単純で、これらは採算が取りにくいからです。定員が小さく、夜間の人員配置が必要で、対象になる人数も限られます。市区町村が指定したくても、手を挙げる事業者がいなければ増えません。
住所制限がなくても、無いものは無い
誤解を避けるために、住所制限のないサービスについても同じ集計を出しておきます。
出典:マモリア調べ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」2026年6月末時点/全国1,889市区町村。同一事業所の重複を整理して集計)
ケアマネジャーの事業所がない市区町村は31(1.6%)、ショートステイは105(5.6%)、訪問介護は113(6.0%)。在宅介護の柱になる3つは、ほぼ全国に行き渡っています。デイサービスも176(9.3%)です。
一方で、訪問リハビリは647(34.3%)、介護付有料老人ホームは1,023(54.2%)、軽費老人ホームは1,541(81.6%)、サービス付き高齢者向け住宅は1,554(82.3%)でゼロです。住まい系は空白が大きい。
ただしこの住まい系には住所制限がないので、市区町村をまたいで申し込めます。地元になくても、探す範囲を広げれば候補は出てきます。これが地域密着型との決定的な違いです。
| 住所制限なし | 地域密着型 | |
|---|---|---|
| 指定する行政 | 都道府県(政令市・中核市を含む) | 市区町村 |
| 使える人 | 制限なし | 原則、その市区町村の住民 |
| 地元になかったら | 隣の市、県内、県外まで広げられる | 広げられない(例外は第6・7章) |
| ケアプランへの反映 | 距離と送迎の可否で判断 | そもそも載せられない |
老人ホームの種類ごとの費用や条件の違いは老人ホームの種類と費用を一覧比較にまとめています。
場面1:夜に人を呼びたい
ここからは、実際に家族が壁にぶつかる場面を4つ挙げます。いずれも地域密着型が絡みます。
在宅介護でいちばん重い負担は夜です。トイレの介助、転倒、徘徊、痰の吸引。日中はデイサービスで預かってもらえても、夜は家族が起きています。
夜間に人が来る仕組みは3つあります。定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、看護小規模多機能型居宅介護。この3つはすべて地域密着型です。そして、揃っている市区町村はほとんどありません。
出典:マモリア調べ(厚生労働省「介護サービス情報公表システム」2026年6月末時点/全国1,889市区町村。同一事業所の重複を整理して集計)
3つのうち1つも事業所がない市区町村が1,089(57.6%)。3つすべてが揃っているのは79(4.2%)だけです。「24時間対応のサービスがあるから在宅を続けられる」という前提は、半数以上の地域で成り立ちません。
そして隣の市に定期巡回の事業所があっても、原則として使えません。夜間の備え方は夜中に親が倒れたら誰が来るのかで具体的に扱っています。
場面2:認知症の人が日中通う場所を探す
認知症が進むと、一般のデイサービスで落ち着いて過ごせなくなることがあります。人数が多い、プログラムが合わない、他の利用者との関係が難しい。そのときの受け皿が認知症対応型通所介護です。
職員の配置が手厚く、少人数で、認知症のある人だけを対象にしています。ところが認知症対応型通所介護は914市区町村(48.4%)に1つもありません。約半数の地域で、この選択肢が最初から存在しないということです。
代わりになるのは、地域密着型通所介護(定員18人以下の小規模デイ)か、一般のデイサービスで認知症の受け入れ実績がある事業所です。前者も地域密着型なので、303市区町村(16.0%)にはありません。デイの選び方はデイサービスの選び方にまとめています。
在宅が難しくなったあとの住まいとして挙がるグループホームも地域密着型です。こちらは191市区町村(10.1%)でゼロなので比較的見つかりますが、入居できるのは原則としてその市区町村に住民票がある人だけです。詳しくは認知症でも入れる施設はどこかで扱っています。
場面3:通い・訪問・泊まりを1つにまとめたい
状態が不安定な時期に効くのが小規模多機能型居宅介護です。通いを基本にしながら、必要な日は自宅へ来てもらい、家族が対応できない日は泊まる。同じ職員が3つすべてを担当するので、状態が変わったときの組み替えが速いのが最大の利点です。
ただし608市区町村(32.2%)にはありません。医療的な処置が続く場合の看護小規模多機能型は1,332市区町村(70.5%)でゼロです。
もう1つ知っておくべきなのは、小規模多機能型を使うと、ケアプランを作る人がその事業所の職員に変わることです。それまで契約していた居宅介護支援事業所との契約は終了します。担当のケアマネジャーが替わるので、始めるタイミングは事前に相談したほうが負担が少なくなります。
| 居宅介護支援を使う | 小規模多機能型を使う | |
|---|---|---|
| ケアプランを作る人 | 居宅介護支援事業所のケアマネジャー | 小規模多機能型事業所の担当者 |
| 通い・訪問・泊まり | それぞれ別の事業所と契約 | 1つの事業所がまとめて担当 |
| 費用のかたち | 使った分だけ | 月額の定額(要介護度による) |
| 住所の制限 | なし | あり(その市区町村の住民のみ) |
費用の考え方は介護費用は月いくらか、使える上限額は要介護度の目安と使える上限を参照してください。
場面4:特養を待つあいだの住まいを探す
特別養護老人ホームには、定員30人以上の広域型と、定員29人以下の地域密着型があります。広域型には住所制限がないので隣の市にも県外にも申し込めますが、地域密着型特養は住んでいる市区町村のものしか申し込めません。
地域密着型特養は1,003市区町村(53.1%)に1つもありません。小さな自治体では、この小規模な特養が地元で唯一の入所先というケースがあり、それが無い場合、探す先は市外の広域型だけになります。広域型の特養も116市区町村(6.1%)にはありません。
特養の申し込み先は市区町村の窓口か担当のケアマネジャーです。特別養護老人ホームは民間の紹介サービスでは扱われません。要介護3以上が原則です。待機の実情は特養の待機期間は本当に長いのかにまとめています。
特養を待つあいだの住まいを探すなら、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅が候補になります。こちらは市区町村をまたいで探せます。地元にないという理由で候補から外す必要はありません。
例外1:あなたの市区町村からも指定を受けている事業所
「原則として使えない」と書いてきましたが、例外があります。1つ目がこれです。
地域密着型サービスの指定は市区町村が行いますが、市区町村長どうしが協議して同意すれば、隣の市区町村の住民も使えるように指定することができます。介護保険法にそう定められています。境界に近い事業所や、生活圏が市をまたいでいる地域では、実際にこの形が使われています。
つまり判断の分かれ目は「事業所がどこにあるか」ではなく、「その事業所が、あなたの市区町村からも指定を受けているかどうか」です。ここを取り違えると、使えるはずのものを最初から候補から外してしまいます。
確認の仕方は次のとおりです。
| 聞く相手 | 聞き方 | 分かること |
|---|---|---|
| 担当のケアマネジャー | 「◯◯(事業所名)は、うちの市の指定も受けていますか」 | いちばん確実。指定状況は事業所ごとに把握している |
| 市区町村の介護保険担当課 | 「他市町村の事業所で、うちの市の指定を受けているところはありますか」 | 指定した事業所の一覧を持っている |
| 事業所に直接 | 「◯◯市の住民ですが、利用できますか」 | 受け入れの可否を即答してもらえることが多い |
ただし、この協議による同意は多くありません。基本は「地元にあるものしか使えない」と考えて、例外がないかを確認する順番にしたほうが、計画が崩れません。
例外2:住所地特例
2つ目の例外は、施設に入るために住民票を移した場合の扱いです。
特別養護老人ホームや有料老人ホームに入るとき、多くの人はその施設のある市区町村へ住民票を移します。このとき何も手当てがないと、施設の多い市区町村に介護費用の負担が集中してしまいます。そこで施設に入るために住所を移した人については、移す前の市区町村が引き続き保険者になる仕組みが設けられています。これを住所地特例といいます。
| 住所地特例の対象になる施設 | 対象外 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院 | グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は地域密着型なので対象外。入居するには、その市区町村に住民票が必要 |
| 有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホーム | |
| サービス付き高齢者向け住宅のうち、有料老人ホームに該当するもの |
ここで地域密着型との関係が問題になります。保険者が元の市区町村のままだと、いま実際に住んでいる市区町村の地域密着型サービスが使えないことになってしまうからです。
この点は制度改正で解決されていて、住所地特例の対象者は、現に住んでいる市区町村の地域密着型サービスと居宅介護支援を利用できます。保険者は元の市区町村のまま、サービスは今いる地域のものを使う、という形です。有料老人ホームに入りながら、その地域の認知症対応型通所介護に通うといった組み合わせができます。
入居一時金や月額費用の考え方は有料老人ホームの入居一時金、費用を抑える選択肢は年金だけで入れる施設はあるかにまとめています。
引っ越すと、使えるサービスが入れ替わる
子どもの家の近くへ親を呼び寄せる。同じ市内でも境界をまたいで移る。介護が始まってからの引っ越しは珍しくありません。
このとき起きるのは、それまで使っていた地域密着型サービスが使えなくなり、代わりに転入先の地域密着型が使えるようになるという入れ替わりです。訪問介護やデイサービス、ショートステイは住所制限がないので、距離さえ許せば継続できます。差が出るのは地域密着型だけです。
| 引っ越しで | どうなるか |
|---|---|
| 地域密着型サービス | 転出前のものは使えなくなる。転入先のものが使えるようになる |
| 住所制限のないサービス | 距離と送迎が許せば継続できる。契約はそのまま |
| ケアマネジャー | 継続できるが、地域密着型を組むなら転入先の事業所のほうが有利 |
| 要介護認定 | 引き継げる(下の手順が必要) |
| 介護保険料 | 転入先の市区町村の基準で計算し直される |
要介護認定の引き継ぎには期限があります。転出時に「受給資格証明書」を受け取り、転入から14日以内に転入先の市区町村へ提出してください。これで同じ要介護度がそのまま引き継がれます。14日を過ぎると新規の申請扱いになり、認定が出るまで待つことになります。
引っ越し先を選ぶ段階で、その市区町村に何があるかを先に調べておくと、あとの計画が立てやすくなります。介護保険料は市区町村ごとに違うので、介護保険料は月いくらかも合わせて確認しておくといいでしょう。認定の流れ自体は介護保険の申請の流れにまとめています。
ケアマネジャーに聞く5つのこと
ここまでの内容を、担当のケアマネジャーへの質問に落とすと次の5つになります。ケアプランを作る前に聞いておくと、あとで組み直す手間が減ります。
| 聞くこと | なぜ聞くか |
|---|---|
| この市区町村に、地域密着型は何がありますか | 9種類のうち何が存在するかで、在宅の組み方が決まる |
| 夜間に人が来る仕組みはありますか | 定期巡回・夜間対応型・看多機の3つ。57.6%の市区町村には1つもない |
| 使いたい事業所が市外にある場合、うちの市の指定も受けていますか | 受けていれば使える。ここを確認せずに諦めない |
| 小規模多機能型を使うと、担当はどうなりますか | ケアプランを作る人が替わる。始めるタイミングの相談になる |
| いま無いサービスの代わりに、何で埋めますか | 「無い」で終わらせず、代替案を出してもらう |
5つ目が重要です。地域密着型がない地域では、住所制限のないサービスを組み合わせて同じ機能を作ることになります。夜間なら訪問介護の早朝・夜間帯の対応とショートステイ、認知症対応型デイがなければ受け入れ実績のある一般のデイ、というように代替の道はあります。ヘルパーに頼めることと頼めないことの線引きは介護保険で頼めないことにまとめています。
自分の市区町村に何があるか調べる
ここまでの話は、自分の市区町村に何があるかが分からないと使えません。調べ方は3つあります。
| 調べ方 | 分かること | ひとこと |
|---|---|---|
| 地域包括支援センター | 圏域内の事業所と、いまの空き状況 | いちばん実用的。数字だけでなく受け入れの可否まで分かる |
| 市区町村の介護保険担当課 | 指定した地域密着型事業所の一覧 | 網羅的。他市町村の住民が使える指定かどうかも聞ける |
| 介護サービス情報公表システム(厚労省) | 全国の事業所を条件で検索できる | 更新が年1回で、実態と少しずれることがある |
当サイトでは、この公表データを市区町村ごとに集計し直して、21の主要サービスについて「何件あるか」と「1つもないか」を1ページで見られるようにしています。地域密着型かどうかも一覧の中で確認できます。
「1つもないサービス」がある場合は、その時点で在宅の計画から外して考えてください。あとから気づくより、最初から無いものとして組んだほうが、確実に楽になります。地域包括支援センターに何を頼めるかは地域包括支援センターに何を頼めるかにまとめています。
まとめ
| 押さえること | 内容 |
|---|---|
| 地域密着型サービス | 市区町村が指定する9種類。原則、その市区町村の住民しか使えない |
| 見分け方 | 「地域密着型」「認知症対応型」「小規模多機能」「定期巡回」「夜間対応型」が名前に入っている |
| いちばん無いもの | 夜間対応型訪問介護(1,776市区町村・94.0%でゼロ) |
| 夜の受け皿 | 3サービスのどれもない市区町村が1,089(57.6%)。3つ揃うのは79(4.2%) |
| 例外1 | その事業所が、あなたの市区町村からも指定を受けていれば使える |
| 例外2 | 住所地特例の対象者は、現に住んでいる市区町村の地域密着型を使える |
| 引っ越し | 地域密着型は入れ替わる。要介護認定は受給資格証明書を14日以内に提出すれば引き継げる |
| 住所制限のないもの | 訪問介護・デイサービス・ショートステイ・特養・有料老人ホーム・ケアマネジャーなど |
この記事でいちばん実務的な一手は、ケアプランを作る前に「この市区町村に地域密着型は何がありますか」と一度だけ聞いておくことです。答えが「ほとんどありません」だったとしても、それが分かっているだけで、無いものを前提にした計画を立てずに済みます。
地元に地域密着型が無いと分かった時点で、住まい系の候補は先に持っておいてください。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は市区町村をまたいで探せます。在宅が限界に来てから動くと、空いているところに入るしかなくなります。
よくある質問
地域密着型サービスは、なぜ他の市区町村の人が使えないのですか。
指定しているのが市区町村だからです。地域密着型サービスは2006年の制度改正で、住み慣れた地域で暮らし続けることを目的に作られました。市区町村が地域の需要を見ながら必要な数を指定し、その費用も市区町村の介護保険財政で見込んでいます。他の市区町村の住民が自由に使えると、この見込みが立たなくなります。ただし市区町村どうしが協議して同意すれば、他市町村の住民も使えるように指定することはできます。
住民票を移せば、その市区町村の地域密着型を使えますか。
使えます。転入すればその市区町村の被保険者になるので、地域密着型サービスの対象になります。ただし要介護認定を引き継ぐ手続きが必要です。転出時に受給資格証明書を受け取り、転入から14日以内に転入先の市区町村へ提出してください。これを過ぎると新規申請の扱いになり、認定が出るまでサービスが使いにくくなります。また、地域密着型サービスを使うためだけに住民票を移すことは、生活の実態が伴わない場合は認められません。
グループホームは他の市の人でも入れますか。
原則として入れません。グループホーム(認知症対応型共同生活介護)は地域密着型サービスなので、その市区町村に住民票がある人が対象です。しかも住所地特例の対象外なので、特別養護老人ホームや有料老人ホームのように「入居のために住民票を移す」形も取れません。入居を考えるなら、まず住んでいる市区町村にあるかどうかを確認してください。グループホームが1つもない市区町村は191(10.1%)です。
特別養護老人ホームは、市外でも申し込めますか。
定員30人以上の広域型なら申し込めます。住所による制限はないので、隣の市でも県外でも構いません。ただし定員29人以下の地域密着型特養は、住んでいる市区町村のものだけです。申し込み先は市区町村の窓口か担当のケアマネジャーで、要介護3以上が原則です。なお特別養護老人ホームは民間の紹介サービスでは扱われないため、紹介サービスに相談しても候補には出てきません。
近くに定期巡回の事業所があるのに使えないと言われました。
その事業所が、あなたの市区町村から指定を受けていないためです。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は地域密着型なので、事業所が所在する市区町村の住民が対象になります。ただし市区町村どうしの協議で他市町村の住民も使えるようにしている例はあるので、担当のケアマネジャーに「あの事業所は、うちの市の指定も受けていますか」と確認する価値はあります。指定を受けていなければ、訪問介護の早朝・夜間帯の対応で代替を組むことになります。
小規模多機能型を使うと、いまのケアマネジャーはどうなりますか。
居宅介護支援の契約は終了し、ケアプランは小規模多機能型事業所の担当者が作ることになります。担当者が替わるということです。逆に小規模多機能型をやめて通常のサービスに戻す場合は、あらためて居宅介護支援事業所と契約します。どちらの方向にも切り替えられますが、引き継ぎの手間があるので、始めるかどうかは最初に相談して決めたほうが負担が少なくなります。看護小規模多機能型も同じ扱いです。
住所地特例だと、どちらの市区町村のサービスを使うのですか。
保険者は住民票を移す前の市区町村のままですが、サービスは現に住んでいる市区町村のものを使えます。制度改正で、住所地特例の対象者は施設のある市区町村の地域密着型サービスと居宅介護支援を利用できるようになりました。たとえばA市からB市の有料老人ホームに移った場合、介護保険の保険者はA市のまま、B市の認知症対応型通所介護に通う、という組み合わせができます。手続きは施設の相談員か、移る前の市区町村の窓口で確認してください。
地域密着型がまったくない地域では、どうすればいいですか。
住所制限のないサービスを組み合わせて、同じ機能を作ります。夜間なら訪問介護の早朝・夜間帯の対応とショートステイの計画的な利用、認知症対応型デイがなければ認知症の受け入れ実績がある一般のデイサービス、通いと泊まりをまとめたいならデイサービスとショートステイを同じ法人で揃える、といった形です。完全な代替にはなりませんが、選択肢が無いわけではありません。担当のケアマネジャーに「無いものの代わりに何で埋めますか」と具体的に聞いてください。
介護予防のサービスにも住所の制限はありますか。
あります。要支援1・2の人が使う地域密着型には、介護予防認知症対応型通所介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、介護予防認知症対応型共同生活介護の3種類があり、いずれも市区町村が指定します。原則としてその市区町村の住民が対象です。なお介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は要支援2の人だけが対象で、要支援1では利用できません。
このページの数字はどこから来ていますか。
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」で公表されている全国の事業所データを、2026年6月末時点で取得し、同一事業所の重複を整理したうえで市区町村ごとに集計したものです。対象は全国1,889市区町村。なお定員欄は未報告の事業所が半数を占めるため、集計には使っていません。「1つもない」という判定は、公表データ上その市区町村に事業所が存在しないことを意味します。