要介護度の目安と使える上限|要支援1と要介護5で7倍

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認定結果の通知が届いて、「要介護2」と書かれていた。それが重いのか軽いのか、何が使えるのか、封筒を開けた時点では誰にも分かりません。

最初に押さえるべきことが1つあります。要介護度は病気の重さで決まるのではなく、介護にかかる手間の量で決まります。だから、進行したがんの人が要介護1で、身体が元気な認知症の人が要介護3になることがあります。順序が逆に見えても、制度としては間違っていません。

そしてもう1つ。要介護度が変わると、1か月に使えるサービスの上限額が変わります。要支援1の50,320円から要介護5の362,170円まで、その差は約7.2倍です。

この記事では、7つの区分がどう決まり、それぞれで何が変わるのかを整理します。あわせて、全国215,550事業所を集計したマモリア独自のデータから、上限まで使える判定が出ても地域にサービスがなければ使えない、という話にも触れます。

要介護度は「介護の手間」で決まる

要介護認定で測っているのは、病名でも余命でもありません。その人の介護にどれだけの時間がかかるかです。これを「要介護認定等基準時間」と呼びます。

基準時間は、次の5分野について推計されます。

分野 中身
直接生活介助 入浴、排泄、食事などの介護
間接生活介助 洗濯、掃除などの家事援助
BPSD関連行為 徘徊への対応、不潔な行為の後始末など
機能訓練関連行為 歩行訓練、日常生活訓練などのリハビリ
医療関連行為 輸液の管理、じょくそうの処置などの診療の補助

出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」(2026年8月時点)

ここに「がんだから重い」「認知症だから重い」という項目はありません。手がかかるかどうかだけを見ています。この一点を理解しておくと、認定調査で何を伝えるべきかが変わります。

申請そのものの手順は介護保険の申請の流れにまとめています。認定の効力は申請日にさかのぼるので、結果を待たずにサービスを使い始められます。

7つの区分と、状態の目安

要支援が2段階、要介護が5段階の計7区分です。基準時間は制度上の数字で、実際の状態はこの表の右側が目安になります。

区分 基準時間 状態の目安
要支援1 25分以上32分未満 日常生活はほぼ自分でできる。掃除など一部に見守りや手助けが必要
要支援2 32分以上50分未満 立ち上がりや歩行が不安定。放置すると要介護へ進む可能性がある
要介護1 32分以上50分未満 要支援2と同じ時間帯。認知機能の低下や状態の不安定さで振り分けられる
要介護2 50分以上70分未満 立ち上がり・歩行に介助が必要。爪切りや着替えにも手助けが要る
要介護3 70分以上90分未満 自力での立ち上がりや歩行が困難。排泄や入浴に全面的な介助が必要
要介護4 90分以上110分未満 日常生活のほぼ全般に介助が必要。意思疎通が難しいことがある
要介護5 110分以上 ほぼ寝たきり。意思疎通が困難な場合が多い
7つの区分は、この時間で分かれる要支援1 25〜32; 要支援2 32〜50; 要介護1 32〜50; 要介護2 50〜70; 要介護3 70〜90; 要介護4 90〜110; 要介護5 110分以上7つの区分は、この時間で分かれる要介護認定等基準時間(1日あたり・分)0分30分60分90分120分要支援125〜32要支援232〜50要介護132〜50要介護250〜70要介護370〜90要介護490〜110要介護5110分以上要支援2と要介護1は同じ時間帯。認知機能の低下と状態の変化しやすさで振り分けられる

出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」。要介護認定等基準時間は制度上の推計値で、実際の介護時間そのものではありません(2026年8月時点)

出典:厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」。基準時間は制度上の推計値で、実際の介護時間そのものではありません(2026年8月時点)

表を見て気づくと思いますが、要支援2と要介護1は基準時間が同じです。この2つは、認知機能の低下があるか、状態が半年程度で変わりそうかという観点で審査会が振り分けます。だから同じ時間帯でも結果が分かれます。

どうやって決まるのか

判定は2段階です。

段階 誰が 何を見るか
一次判定 コンピュータ 認定調査の結果から基準時間を推計する
二次判定 介護認定審査会(保健・医療・福祉の学識経験者) 一次判定を原案に、主治医意見書と特記事項を加えて最終判定する

一次判定はコンピュータなので、調査票にチェックが付かなかったことは存在しないものとして扱われます。実際に手がかかっているのに調査で伝わらなければ、その分は判定に反映されません。

ただし二次判定では、調査員が書いた特記事項と主治医意見書が読まれます。ここで一次判定が覆ることは珍しくありません。だから、調査当日にうまく話せなかったと感じたら、あきらめずに担当ケアマネジャー地域包括支援センターに伝えてください。地域包括支援センターに何を頼めるかにその役割をまとめています。

要介護度で変わるもの

認定の区分が動くと、次のものが連動して変わります。

変わるもの 内容
1か月に使える上限額 要支援1と要介護5で約7.2倍の差がある
ケアプランを作る人 要支援は地域包括支援センター、要介護は居宅介護支援事業所
使えるサービスの種類 要支援は「介護予防」がつくサービスに限られる
特別養護老人ホームの申込資格 原則として要介護3以上
福祉用具の貸与範囲 要介護2以上でないと原則借りられない用具がある(介護ベッド、車いすなど)
施設に払う介護費 要介護度が上がるほど施設側の介護報酬も上がる

費用の面では逆転が起きることがあります。要介護度が上がると使える上限は増えますが、施設に入っている場合は毎月の自己負担も増えます。在宅では「上限が増えて助かる」、施設では「負担が増える」と、同じ判定でも意味が変わります。

1か月に使える上限額

在宅サービスには、区分ごとに1か月の上限が決められています。これを区分支給限度基準額といいます。

区分 上限(単位) 上限(円の目安) 1割負担のとき
要支援1 5,032 50,320円 約5,032円
要支援2 10,531 105,310円 約10,531円
要介護1 16,765 167,650円 約16,765円
要介護2 19,705 197,050円 約19,705円
要介護3 27,048 270,480円 約27,048円
要介護4 30,938 309,380円 約30,938円
要介護5 36,217 362,170円 約36,217円
1か月の自己負担は、上限まで使ってもこの額要支援1 5,032; 要支援2 10,531; 要介護1 16,765; 要介護2 19,705; 要介護3 27,048; 要介護4 30,938; 要介護5 36,2171か月の自己負担は、上限まで使ってもこの額区分支給限度基準額を1割負担で使い切った場合(単位:円)01万2万3万4万5,032要支援110,531要支援216,765要介護119,705要介護227,048要介護330,938要介護436,217要介護5ここに食費・おむつ代・保険外サービスは入っていない

出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」。1単位10円で換算した目安。自己負担割合が2割・3割の人はこの2倍・3倍になります

出典:厚生労働省「介護サービス情報公表システム/サービスにかかる利用料」(2026年8月時点)。1単位10円で換算した目安です

1単位あたりの金額は、地域とサービスの種類によって10円から11.40円程度まで変わります。都市部ほど高くなるので、同じ要介護3でも、東京23区と地方では使えるサービスの量が違います。上の表はあくまで10円換算の目安として見てください。

自己負担は原則1割ですが、所得によって2割または3割になります。3割の人が要介護5で上限まで使うと、月の自己負担は約108,651円です。

上限を超えるとどうなるか

超えた分は、介護保険が効きません。

限度額の範囲内なら1割から3割の負担ですが、超えた分は全額自己負担になります。たとえば要介護2の人が上限より30,000円多く使うと、その30,000円はまるごと請求されます。ケアプランを組むときは、ケアマネジャーが上限内に収まるよう調整するのが普通です。

逆に、次のものは上限の枠の外にあります。枠を気にせず使えます。

枠の外にあるもの 補足
施設サービス(特養・老健・介護医療院) そもそも在宅サービスの枠ではない
居宅療養管理指導 医師や薬剤師の訪問指導
特定施設入居者生活介護 介護付有料老人ホームなどの月額介護費
住宅改修 支給限度基準額20万円の別枠
特定福祉用具販売 年間10万円の別枠
ケアプランの作成 自己負担なし

住宅改修の20万円枠については、退院後、親のリハビリはどこで受けるのかで着工前申請の注意点まで扱っています。

要支援と要介護で、担当者が変わる

認定の結果によって、ケアプランを作る人が変わります。ここは知らないと戸惑うところです。

認定 ケアプランを作るのは サービスの呼び名
非該当(自立) 市区町村の総合事業、通いの場
要支援1・2 地域包括支援センター(介護予防支援) 介護予防訪問看護、介護予防通所リハビリなど
要介護1〜5 居宅介護支援事業所のケアマネジャー 訪問介護、通所介護など

2024年4月から、要支援の人のケアプラン作成を居宅介護支援事業所が市区町村の指定を受けて直接行えるようになりました。要支援でも、そのままケアマネジャーが担当する地域が増えています。ケアマネジャーの選び方と、合わないときの変え方はケアマネジャーの選び方と変え方にまとめています。

要介護3が、特養の入口になっている

特別養護老人ホームは、2015年から原則として要介護3以上でなければ申し込めません。要介護1・2の人は、やむを得ない事情がある場合に特例で認められることがありますが、原則は3以上です。

費用がいちばん抑えられる施設が要介護3で線引きされている、というのが在宅を続けるかどうかの分かれ目になります。要介護2で在宅が限界に近づいたとき、選択肢は民間施設か、在宅の組み方を変えるかの二択になります。

特別養護老人ホームは、民間の紹介サービスでは原則として扱われません。申し込みは市区町村または施設に直接します。要介護3が見えてきたら、早めに申込先を確認してください。

待機期間の実態は特養の待機期間は本当に長いのかに、費用の比較は老人ホームの種類と費用を一覧で比較にあります。

認知症で身体が元気だと、軽く出やすい

家族がいちばん納得できないのが、この型です。歩けて、食べられて、着替えもできる。ただし目を離せない。この状態は、基準時間の計算では軽く出ます。

徘徊や不潔行為はBPSD関連行為として計算に入りますが、「常に見ていなければならない」という拘束の重さは、時間として表れにくいのが実情です。介護している家族の疲労と、判定の数字が一致しないのはこのためです。

対策は3つあります。

やること なぜ効くか
1週間分の記録を書いて調査員に渡す 何時に何が起きたかを日付つきで書く。特記事項に反映されやすい
できないことではなく、手間を伝える 「着替えられます」ではなく「声をかけ続けないと止まる」と伝える
本人がいない場所で本音を伝える 本人の前では家族が遠慮し、本人も普段以上にしっかり振る舞う

調査当日は、本人が普段より頑張ってしまうことがよくあります。「いつもはできません」と、その場で言い添えてください。言いにくければメモを渡すだけでも構いません。認知症のある人の施設選びは認知症でも入れる施設はどこかにまとめています。

上限まで使えても、地域にサービスがなければ使えない

ここからは、マモリアが厚生労働省の公表データを独自に集計して分かったことです。要介護5の判定が出て月362,170円の枠を得ても、その地域にサービスが存在しなければ枠は使えません。

全国1,889市区町村について、主要なサービスが1つも存在しない自治体の数を数えました。

サービス 1つもない市区町村 割合
夜間に来てもらえる3サービスがどれもない 1,089 57.6%
認知症対応型通所介護 914 48.4%
訪問リハビリテーション 647 34.3%
小規模多機能型居宅介護 608 32.2%
訪問看護 363 19.2%
特別養護老人ホーム(広域型・地域密着型のどちらも) 91 4.8%

出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点のデータをマモリアが集計。同一施設の重複を名寄せしたうえで市区町村ごとに数えています。定員欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用していません

要介護度が重くなるほど、必要になるのは訪問看護や夜間対応です。ところがそれらは、まさに地域から消えているサービスです。要介護5で枠は最大になっても、来てくれる事業所がなければ意味がありません。

認定が出たら、次にやるのは親の住む市区町村に何があるかを調べることです。ケアマネジャーと話す前に知っておくと、出てくるプランが変わります。

とくに夜間は深刻です。夜中に親が倒れたら誰が来るのかで、夜間対応がない地域で何ができるかを整理しています。

結果に納得できないとき

「この状態で要介護1なのか」と感じることはあります。打つ手は2つです。

区分変更申請 審査請求(不服申立て)
窓口 市区町村 都道府県の介護保険審査会
期限 いつでも 結果を知った日の翌日から3か月以内
かかる時間 認定と同じで1か月前後 数か月かかることがある
実務での使いやすさ こちらが現実的 手続きが重い

実務では、ほとんどの場合が区分変更申請で足ります。状態が変わっていなくても、判定に納得できなければ出せます。ただし下がる可能性もあるので、ケアマネジャーと相談してから出してください。手続きの詳細は介護保険の申請の流れにあります。

有効期間と更新

認定には期限があります。切れるとサービスが使えなくなるので、更新は忘れられません。

種類 原則 市区町村が設定できる範囲
新規認定 6か月 3か月〜12か月
更新認定(区分が変わった場合) 12か月 3か月〜36か月
更新認定(区分が変わらない場合) 12か月 3か月〜48か月

出典:厚生労働省「要介護認定に係る法令」(2026年8月時点)

更新の申請は、有効期間が終わる60日前から出せます。市区町村から案内が届くのが普通ですが、届かないこともあるので、認定結果の通知に書かれた期限を自分でも控えておいてください。ケアマネジャーがついていれば、たいてい代行してくれます。

認定を待つ間にできること

申請から結果までは1か月前後かかります。その間も、認定の効力は申請日にさかのぼるので、暫定のケアプランでサービスを使い始められます。

できること 補足
暫定ケアプランでサービスを開始する 見込みより軽く出ると、超過分は全額自己負担になる
福祉用具のレンタルを始める 同上。ケアマネジャーに見込み違いのリスクを聞く
地域にどのサービスがあるか調べる 選択肢を先に知っておくと、プランの組み方が変わる
特養を検討するなら申込方法を確認する 要介護3が出てから動くと出遅れる
保険外の自費サービスでつなぐ 費用は全額自己負担だが、認定を待たずに使える

認定が出るまでの空白や、暫定プランに不安があるときの補いになるのが、保険外の自費サービスです。介護保険を使わないため費用は全額自己負担になりますが、時間帯・内容・回数を自由に決められ、保険では頼めない付き添いや見守りも依頼できます。夜間だけ、退院後の2週間だけ、といった短期の使い方もできます。

よくある質問

要介護度は病気の重さで決まらないのですか。

決まりません。測っているのは介護にかかる手間の量です。5分野(直接生活介助・間接生活介助・BPSD関連行為・機能訓練関連行為・医療関連行為)について要介護認定等基準時間を推計し、その長さで区分が決まります。そのため、進行したがんの人が要介護1で、身体が元気な認知症の人が要介護3になることがあります。

要支援2と要介護1は何が違うのですか。

基準時間は同じ「32分以上50分未満」で、時間では分かれません。認知機能の低下があるか、状態がおおむね半年程度で変わりそうかという観点で、介護認定審査会が振り分けます。違いが大きいのは担当者で、要支援2は地域包括支援センター、要介護1は居宅介護支援事業所のケアマネジャーがケアプランを作ります。

上限額を超えたらどうなりますか。

超えた分は介護保険が効かず、全額自己負担になります。たとえば要介護2の人が上限より30,000円多く使えば、その30,000円はまるごと請求されます。通常はケアマネジャーが上限内に収まるようプランを調整します。心配なら「今月は上限のどのあたりですか」と聞いてください。

上限額の表の金額は、そのまま自己負担ですか。

違います。表の金額はサービス費用の総額の上限です。自己負担は原則1割なので、要介護3なら月27,048円程度が目安になります。所得によって2割・3割の人もいます。また1単位の単価は地域とサービス種別で10円から11.40円程度まで変わるので、都市部では同じ単位数でも金額が上がります。

要介護1でも特養に申し込めますか。

原則は要介護3以上です。ただし、認知症で常時見守りが必要、家族による虐待の恐れがある、単身で在宅生活が困難といった事情があれば、特例で認められることがあります。判断するのは市区町村なので、事情がある場合は窓口か地域包括支援センターに相談してください。

認知症なのに軽く判定されました。

よくあることです。身体が動く認知症は、基準時間の計算では軽く出ます。区分変更申請を出すことができ、その際は1週間分の記録を用意してください。何時に何が起きたか、何回声をかけたかを日付つきで書くと、特記事項に反映されやすくなります。調査当日に本人が普段より頑張ってしまう問題もあるので、「いつもはできません」とその場で伝えてください。

区分変更申請を出すと、下がることもありますか。

あります。改めて調査と審査をやり直すので、上がることも下がることもあります。下がると使える上限額が減り、いま使っているサービスが組めなくなることがあるため、出す前にケアマネジャーに相談してください。状態が実際に重くなっているなら、ためらう理由はありません。

認定の有効期間が切れたらどうなりますか。

介護保険のサービスが使えなくなります。更新の申請は有効期間が終わる60日前から出せます。市区町村から案内が届くのが普通ですが、届かないこともあるので、認定結果の通知に書かれた期限を控えておいてください。ケアマネジャーがついていれば代行してくれることがほとんどです。

要介護度が上がると、費用は安くなりますか、高くなりますか。

在宅か施設かで逆になります。在宅では使える上限額が増えるので、同じ1割負担でもより多くのサービスを組めます。一方で施設に入っている場合は、要介護度が上がるほど施設側の介護報酬も上がるため、毎月の自己負担が増えます。同じ判定でも、在宅と施設で意味が変わります。

認定が出れば、必要なサービスは必ず使えますか。

使えるとは限りません。認定は「使う権利」を決めるだけで、地域に事業所があるかどうかは別の問題です。夜間に来てもらえるサービスが1つもない市区町村は1,089で全体の57.6%、訪問看護がない市区町村も363あります。認定が出たら、まず地域に何があるかを調べてください。

親が施設に移ったあと、実家をどうするか

在宅から施設へ切り替えると、実家が空いたままになります。空き家は持っているだけで固定資産税と管理の負担が続きます。急いで決める必要はありませんが、選択肢だけは知っておいてください。姉妹サイトの実家じまいナビで扱っています。

要介護3が見えてきたら、施設の資料を集め始める時期です。パンフレットの月額と実際に毎月出ていく額は別物なので、複数の施設の資料を並べて比べてください。