ケアマネジャーの選び方と変え方|合わないなら変更できます

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介護保険を使うと決まったら、最初にやることはケアマネジャーを決めることです。

そしてこの人選が、その後の介護の質をほぼ決めます。受けられるサービスも、施設に入るタイミングも、家族の負担も、担当者によって変わります。

にもかかわらず、多くの方が「病院で紹介された人」「最初に電話がつながった事業所」で決めてしまいます。

この記事では、全国36,169か所のケアマネ事業所を集計したデータをもとに、選び方と、合わなかったときの変え方をお伝えします。

ケアマネジャーは何をする人か

正式には「介護支援専門員」。所属先は居宅介護支援事業所です。

やってくれること 内容
要介護認定の申請代行 本人・家族の代わりに手続き
ケアプランの作成 どのサービスをどれだけ使うかの計画書
サービス事業者との調整 訪問介護、デイ、福祉用具などの手配と契約の窓口
月1回の訪問(モニタリング) 状況を確認し、必要ならプランを見直す
特養など施設の申込み相談 紹介サービスでは扱われない特養もここ
サービス担当者会議の開催 関係者を集めて方針を共有

費用は全額介護保険から出ます。利用者の自己負担はゼロです。

ここは重要で、お金がかからないので遠慮する必要がありません。

要支援の場合は窓口が違う

認定 担当
要介護1〜5 居宅介護支援事業所のケアマネジャー
要支援1〜2 地域包括支援センター(委託される場合もある)

要支援の段階では地域包括支援センターが計画を作ります。要介護になった時点で、居宅介護支援事業所に移ります。

まず、地域にいくつあるか

全国のケアマネ事業所は36,169か所。1,858の市区町村に存在します。

ただし分布に偏りがあります。

全国の事業所数 36,169
存在する自治体 1,858
ゼロの自治体 31
1自治体あたりの中央値 9事業所
1事業所しかない自治体 201

中央値は9事業所。半数の自治体では9か所以下しかありません。

1事業所しかない地域では、事実上「選ぶ」ことができません。その場合は、事業所内で担当者を替えてもらう交渉になります。

ケアマネ事業所が多い自治体 事業所数
和歌山県 和歌山市 212
愛媛県 松山市 201
東京都 世田谷区 201
大阪府 東大阪市 196
東京都 足立区 187

出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。

探すときの障害:3分の1がネットに情報を出していない

ここが実務上いちばん厄介な点です。

ケアマネ事業所の34.7%は、公式サイトを持っていません。

高齢者向け住まい全体のHPなし率が13.4%ですから、2.6倍です。介護の入口となる事業所が、いちばん調べられない状態にあります。

理由は運営規模です。27,605法人のうち23,955法人(87%)が、事業所を1つしか持っていません。多くは病院や地域包括支援センターからの紹介で利用者が埋まるため、一般の利用者に向けて営業する必要がないのです。

地域差も大きい

情報が出ていない県 事業所数 HPなし率
宮崎県 470 50.0%
山梨県 311 49.5%
和歌山県 473 45.9%
大阪府 3,267 45.4%
高知県 216 44.4%
情報が出ている県 事業所数 HPなし率
福井県 241 20.3%
佐賀県 230 22.2%
山形県 304 22.7%
新潟県 587 24.5%
京都府 727 24.9%

宮崎県では半数がネットに情報を出していません。

注目すべきは大阪府です。事業所数3,267と全国最多クラスなのに、HPなし率45.4%。数が多くても、調べられるとは限らないという例です。

では、どうやって探すか

地域包括支援センターに行ってください。

市区町村が設置している高齢者の相談窓口です。ここで「居宅介護支援事業所の一覧をください」と言えば、地域のリストがもらえます。無料で、誰でも使えます。

「近くの地域包括支援センター」で検索するか、市区町村の高齢福祉課に電話すれば場所が分かります。

良いケアマネジャーを見分ける7つの質問

一覧をもらったら、2〜3か所に電話してみてください。契約前に話をするのは普通のことです。

1.「対応できる時間帯は。緊急のときは連絡がつきますか」

夜間や休日に連絡がつくかどうかは、いざというとき決定的です。

2.「うちの地域で、どのサービスが不足していますか」

この質問の答え方で力量が分かります。

地域の実情を把握している人は具体的に答えます。「訪問看護が少ない」「夜間対応がない」「特養の待機が長い」など。「特にありません」と返す人は、地域を見ていない可能性があります。

3.「特養の申し込みも手伝ってもらえますか」

紹介サービスでは特養を扱いません。特養はケアマネか市区町村の窓口経由です。ここを頼めるかは重要です。

4.「今、何人を担当していますか」

上限は原則44人(一定の要件下では49人)ですが、上限近くを抱えている人は物理的に手が回りません。

5.「介護福祉士や看護師の資格をお持ちですか」

ケアマネの元の職種によって得意分野が違います。

元の職種 得意な領域
看護師 医療的ケア、主治医との連携、急変時の判断
介護福祉士 生活面の支援、身体介護の具体的な調整
社会福祉士 制度の活用、家族関係の調整、権利擁護
理学療法士など リハビリ、住宅改修、福祉用具の選定

親の状態に合わせて選ぶと、話が早く進みます。

6.「主任ケアマネジャーはいますか」

主任ケアマネは、より上位の資格です。複雑なケースの経験が豊富なことが多く、事業所全体の質にも関わります。

7.「特定の事業者と資本関係はありますか」

訪問介護やデイサービスを併設している法人の場合、自社サービスを優先的に組み込む傾向が出ることがあります。悪いこととは限りませんが、知っておいて損はありません。

合わないと感じたら、変えられます

ここを知らない方が本当に多いのですが、ケアマネジャーは変更できます。

変更できるか いつでもできる
理由の説明 不要
費用 かからない
今のサービス 継続できる
手続き 新しい事業所と契約するだけ

こういう場合は変更を検討してください

サイン 内容
連絡がつかない 折り返しが来ない、何日も待たされる
提案がない こちらから言ったことしかやらない
特定の事業者ばかり勧める 自社サービスに偏っている可能性
家族の事情を聞かない 介護者の負担を考慮しない
施設の相談で話をそらす 在宅サービスが減ると収入も減るため
制度を知らない 負担限度額認定などを教えてくれない
高圧的、話を聞かない 相性の問題も含めて

5番目は特に注意してください。在宅サービスの利用が減ると事業所の収入も減るため、施設への移行に消極的な担当者がまれにいます。

変更のしかた

言いにくければ、直接本人に言う必要はありません。

方法 内容
地域包括支援センターに相談 間に入ってもらえる。いちばん角が立たない
新しい事業所に先に相談 引き継ぎは事業所間でやってもらえる
市区町村の窓口に相談 事業所一覧をもらい直せる
直接伝える 「事業所を変えることにしました」で十分

遠慮しないでください。合わない担当者と何年も付き合うことのほうが、はるかに損失が大きいです。

変更のタイミング

月の途中でも変更できますが、ケアプランの区切りを考えると月末・月初がスムーズです。ただし緊急性がある場合は、いつでも構いません。

ケアプランの見方

ケアマネジャーが作る計画書です。「お任せします」で済ませないでください。

見るところ 確認すること
利用者の意向 本人と家族の希望が正しく書かれているか
総合的な援助の方針 何を目指しているのかが明確か
サービスの種類と回数 なぜこの組み合わせなのか説明を求めてよい
区分支給限度額と利用率 限度額のどれだけを使っているか
自己負担額 月にいくらかかるか

とくに「利用率」を見てください。

限度額の50%しか使っていないなら、まだ増やせる余地があります。遠慮して使っていないケースが非常に多く、これは特養の申込みでも不利になります(「まだ余裕がある」と判断されるため)。

要介護度 区分支給限度額(月)
要支援1 約5万円
要支援2 約10万円
要介護1 約17万円
要介護2 約20万円
要介護3 約27万円
要介護4 約31万円
要介護5 約36万円

※ 金額は目安。地域区分により変動します。自己負担はこの1〜3割です。

「限度額いっぱいまで使いたい」と伝えて構いません。それが本来の制度の姿です。

よくある失敗

失敗 なぜ起きるか 対策
最初に紹介された人で決めた 選べることを知らない 2〜3か所に電話して比べる
合わないまま何年も続けた 変更できると知らない いつでも変更できる
ネットだけで探そうとした 34.7%が情報を出していない 地域包括支援センターで一覧をもらう
家族の事情を伝えていない 遠慮している 働いている、遠方に住んでいるは必ず伝える
制度を教えてもらえなかった 自分から聞かなかった 負担限度額認定などは自分から確認
施設の相談ができなかった 担当者が消極的 変更するか、市区町村に直接相談

上手な付き合い方

決まった後の関わり方でも、受けられる支援が変わります。

やること 効果
困りごとを具体的に伝える 「大変です」ではなく「夜に3回起こされる」
記録を見せる 日付と回数のメモが最も伝わる
家族の限界を隠さない 無理をしていると分からない
月1回の訪問に家族も同席する 本人だけだと実態が伝わらない
プランに疑問があれば聞く なぜこのサービスなのか説明を求めてよい

とくに月1回の訪問には、可能なかぎり家族が同席してください。

本人は「大丈夫です」と答えてしまいます。診察室と同じで、他人の前ではしっかりして見えるものです。実態を知っているのは家族だけです。

施設を考え始めたら

ケアマネジャーは地域の施設事情に詳しく、特養の申し込みも手伝ってもらえます。まずは相談してください。

ただし、民間の有料老人ホームやグループホームについては、ケアマネが全てを把握しているとは限りません。担当エリアの事業所は知っていても、隣接する市区町村まで含めた比較は難しい場合があります。

ケアマネへの相談と並行して、民間施設の資料も取り寄せておくと選択肢が広がります。

条件に合う施設の資料を無料で取り寄せる

誰に 何を頼むか
ケアマネジャー 地域の全体像、特養の申込み、在宅サービスの調整
市区町村の窓口 特養、負担限度額認定、独自の助成制度
紹介サービス 民間施設の比較と資料請求、見学の手配

役割を分けて使うのが効率的です。

まとめ

  1. 地域包括支援センターで事業所一覧をもらう。ネットには3分の1が出ていない
  2. 2〜3か所に電話して、7つの質問をする。契約前に話すのは普通のこと
  3. 費用は全額保険。自己負担ゼロなので遠慮しない
  4. 元の職種で得意分野が違う。親の状態に合わせて選ぶ
  5. 合わなければいつでも変更できる。理由の説明も不要
  6. 言いにくければ地域包括支援センターに間に入ってもらう
  7. 月1回の訪問には家族も同席する

次にやること

まだケアマネジャーが決まっていないなら、地域包括支援センターへ。すでにいる場合は、上の7つの質問をしてみてください。答え方で、その人の力量が見えます。

施設も検討し始めているなら、資料の取り寄せは並行して進められます。

資料を取り寄せて、見学を申し込む

※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームはこのサービスの対象外です。特養はケアマネジャーか市区町村の窓口へ。

よくある質問

ケアマネジャーに費用はかかりますか。

かかりません。居宅介護支援は全額が介護保険から支払われ、利用者の自己負担はありません。だから複数の事業所に相談することも、変更することも、費用面では何の問題もありません。

まだ要介護認定を受けていませんが、相談できますか。

できます。要介護認定の申請自体を代行してもらえます。まず地域包括支援センターに相談すれば、認定の見込みや、どの事業所に頼むかを含めて案内してもらえます。

担当者を変えたいのですが、同じ事業所内では可能ですか。

可能です。事業所の管理者に相談してください。事業所そのものを変えるより手続きが簡単です。ただし小規模な事業所では他に担当できる人がいない場合があります。その場合は事業所ごと変えることになります。

変更したら、今使っているサービスはどうなりますか。

継続できます。訪問介護やデイサービスの契約は各事業者と結んでいるので、ケアマネジャーが変わっても続けられます。引き継ぎは事業所間で行われます。

何度も変更していると、印象が悪くなりませんか。

気にする必要はありません。ただし、変更を繰り返しても改善しない場合は、こちらの伝え方に原因がある可能性も考えてみてください。「困っている」だけでなく、具体的に何をどうしてほしいかを伝えると、対応が変わることがあります。

遠方に住んでいますが、ケアマネジャーとどう連携すればいいですか。

最初に「自分は片道○時間の距離にいる」と明確に伝えてください。そのうえで、電話やメールでの連絡を基本にしてもらう、月1回の訪問時に電話をつないでもらう、といった調整ができます。緊急連絡先の順番も決めておいてください。

主任ケアマネジャーとは何ですか。

ケアマネジャーとして5年以上の実務経験を積み、所定の研修を修了した上位資格者です。複雑なケースの経験が豊富なことが多く、他のケアマネジャーへの指導も行います。事業所を選ぶ際の目安のひとつになります。

ケアプランに納得できない場合は、どうすればいいですか。

同意する前に、理由を説明してもらってください。ケアプランは利用者の同意がないと確定しません。「なぜこのサービスなのか」「なぜこの回数なのか」を聞くのは当然の権利です。それでも納得できなければ、修正を依頼できます。

サービスを増やしたいのに、提案してもらえません。

区分支給限度額の利用率を確認してください。まだ余裕があるなら、増やせます。「限度額のうち何割使っていますか」と聞いて、余裕があるのに増やせない理由を説明してもらってください。納得できなければ、事業所の変更も検討してください。

事業所が1つしかない地域では、どうすればいいですか。

全国で201の自治体が、この状況です。まずその事業所内で担当者を替えてもらえるか相談してください。それも難しければ、隣接する市区町村の事業所が対応可能か確認する方法があります。居宅介護支援は地域密着型サービスではないため、市外の事業所でも訪問できる距離であれば利用できます。

この記事のデータについて

出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

同一事業所が複数の指定区分で重複登録されているケースを、事業所名と住所で名寄せして整理しています。都道府県別の比率は事業所数200件以上の県で算出しています。

担当件数の上限や変更手続きの詳細は制度改正により変わる場合があります。最新の取扱いは市区町村にご確認ください。