退院後のリハビリはどこで受けるか|受け皿がない自治体が19%

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脳梗塞や骨折で入院した親が、退院を告げられる。

「あとは自宅でリハビリを続けてください」と言われても、どこで受けられるのかを説明されないまま退院日が来ることがあります。

そして退院してから探し始めると、地域によっては受け皿がありません。全国215,550の介護事業所を集計したところ、リハビリを受けられる事業所が1つもない市区町村が359ありました。

退院後の数か月が、その後の何年かを決めます。何が使えるかを、まだ入院しているうちに確かめておいてください。

退院後にリハビリを受ける方法は3つ

介護保険で受けられるリハビリは、実質この3種類です。

方法 全国の事業所数 ない自治体 内容
デイケア(通所リハビリ) 7,636 420(22.2%) 施設に通ってリハビリを受ける
訪問リハビリ 4,867 649(34.4%) 自宅に来てもらう
介護老人保健施設(老健) 3,994 516(27.3%) 入所してリハビリに専念する
退院後のリハビリの受け皿が「ない」自治体訪問リハビリ(4,867事業所) 649自治体 34.4%; 介護老人保健施設(3,994) 516自治体 27.3%; デイケア(7,636) 420自治体 22.2%退院後のリハビリの受け皿が「ない」自治体全国1,889市区町村のうち、そのサービスが1つもない自治体訪問リハビリ(4,867事業所)649自治体 34.4%介護老人保健施設(3,994)516自治体 27.3%デイケア(7,636)420自治体 22.2%3つとも1つもない自治体が359(19%)ある

出典:マモリア独自集計。介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点

出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。全国1,889市区町村を対象。

この3つのどれか1つでもある自治体は1,530。残りの359自治体(19%)には、介護保険で受けられるリハビリの受け皿がありません。

とくに訪問リハビリは3分の1の自治体に存在しません。外出が難しい状態で退院した場合、この選択肢がない地域では自宅でのリハビリが成り立ちません。

「ない」は珍しいことではない

5つの自治体に1つは、この3つがどれもない。人口の少ない自治体ほどその傾向が強く出ます。

ただし、ないことが分かれば手の打ちようはあります。困るのは、あると思い込んだまま退院日を迎えることです。

デイケアとデイサービスは別のものです

ここを混同したまま話が進むことが、とても多いです。名前が似ているうえに、どちらも「通う」サービスだからです。

デイケア(通所リハビリ) デイサービス(通所介護)
主な目的 身体機能の回復・維持 生活の支援、家族の負担軽減
実施する場所 老健・病院・診療所 専用の事業所
専門職 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士 機能訓練指導員
医師の指示 必要 不要
全国の事業所数 7,636 42,352
ない自治体 420 32

デイサービスにも「機能訓練」はあります。ただしそれは、リハビリ専門職が計画を立てて行うものとは限りません。

退院直後の回復を目的にするなら、探すべきはデイケアです。数はデイサービスの3分の1しかありません。

逆に、機能がある程度落ち着いてからは、通う場所として気に入るかどうかの方が続きます。目的が変わればデイサービスへの切り替えも選択肢です。

デイサービスそのものの選び方はデイサービスの選び方にまとめています。規模による違いや、本人が行きたがらないときの対処もそちらです。

なお通いではなく自宅に来てもらう形を考えるなら、訪問介護が見つかりにくい理由も先に読んでおいてください。事業所数の問題ではなく、1事業所あたりの余力の問題です。

自宅に帰る前に、もう一段階ある

急性期の病院を出たあと、すぐ自宅とは限りません。回復期リハビリテーション病棟という選択肢があります。

ここは1日2〜3時間のリハビリを集中的に行う病棟です。入院できる期間は、状態によって決まっています。

状態 入院できる上限日数
高次脳機能障害を伴う重症の脳血管障害など 180日
脳血管疾患、脊髄損傷など 150日
大腿骨・骨盤・脊椎などの骨折 90日
廃用症候群 90日
股関節・膝関節の置換術後 90日
急性心疾患 90日

出典:診療報酬点数表(回復期リハビリテーション病棟入院料)にもとづく。対象となる状態と上限日数は改定で変わることがあります。

「もう日にちが経っているから無理」ではありません

以前は、発症から60日を過ぎると回復期リハビリ病棟に入れませんでした。この制限は2020年4月に撤廃されています。

いまは、集中的なリハビリで日常生活動作の改善が見込めると医師が判断すれば、発症からの日数にかかわらず入院できます。急性期の病院で「もう遅い」と言われた場合でも、一度は確認する価値があります。

医療保険のリハビリには日数の上限がある

病院の外来リハビリには、疾患ごとに算定できる日数の目安が決まっています。起算日は発症日、手術日、または急性増悪した日です。

疾患の区分 標準的算定日数
脳血管疾患等 180日
運動器 150日
心大血管疾患 150日
廃用症候群 120日
呼吸器 90日
医療保険のリハビリには、日数の上限がある脳血管疾患等 180日; 運動器 150日; 心大血管疾患 150日; 廃用症候群 120日; 呼吸器 90日医療保険のリハビリには、日数の上限がある疾患ごとの標準的算定日数(発症・手術からの日数)脳血管疾患等180日運動器150日心大血管疾患150日廃用症候群120日呼吸器90日この日を過ぎたら、介護保険のリハビリに切り替える準備がいる

出典:厚生労働省の診療報酬上の標準的算定日数(2026年8月時点)。この日数を超えると、原則として医療保険のリハビリは月13単位までに制限されます

この日数を超えると、原則として月13単位(1単位20分)までに制限されます。週に1回程度という計算です。

ただし失語症、高次脳機能障害、頚髄損傷などは例外に定められており、改善が見込めると医師が判断すれば従来どおり続けられます。打ち切りが自動的に決まるわけではないので、主治医に確認してください。

要介護認定を受けると、リハビリは介護保険側へ移る

維持期・生活期のリハビリは、2019年3月末で医療保険から介護保険へ完全に移行しました。

そのため、要介護認定を受けている人が回復期を過ぎたあとに続けるリハビリは、原則として介護保険のデイケアや訪問リハビリになります。

時期 使う保険 受ける場所
入院中(急性期・回復期) 医療保険 入院先の病院
退院直後(標準的算定日数の内側) 医療保険 病院の外来リハビリ
その後(維持期・生活期) 介護保険 デイケア・訪問リハビリ・老健

この切り替えの時期に、通う先が見つからずに空白が生まれます。空白の期間に落ちた機能は、簡単には戻りません。

退院前にやることを時系列で

退院日が決まってから動くと、間に合いません。順番に並べます。

時期 やること 相手
入院が決まった時点 退院後の生活について相談を始める 医療ソーシャルワーカー(MSW)・地域連携室
入院1〜2週目 要介護認定を申請する 市区町村の窓口・地域包括支援センター
退院1か月前 ケアマネジャーを決める 地域包括支援センター・MSW
退院1か月前 地域にリハビリの受け皿があるか確認する ケアマネジャー・MSW
退院2〜3週間前 住宅改修と福祉用具を手配する(着工前の申請が必要) ケアマネジャー・施工業者
退院前 退院前カンファレンスに家族が同席する 病院・ケアマネジャー

要介護認定は入院中に申請する

認定には原則30日かかります。退院してから申請すると、その間サービスが使えません。

入院中でも申請できます。認定が下りる前でも暫定ケアプランでサービスを始められる場合があるので、まず病院に相談してください。

退院前カンファレンスには必ず出る

病院、ケアマネジャー、サービス事業者が集まって、退院後の計画を確認する場です。家族が同席できます。

ここが、医師とケアマネジャーの両方に同時に質問できる唯一の機会になることが多いです。仕事を休んででも出る価値があります。

自分の地域に受け皿があるかを聞く

これが今日いちばんお伝えしたい点です。

「デイケア、訪問リハビリ、老健のどれがこの地域にありますか」とMSWかケアマネジャーに聞いてください。

「ない」と言われたら、そのときは選択肢が変わります。ケアマネジャーの選び方も併せて見ておいてください。

リハビリの受け皿がない地域では

老健を広域で探す

介護老人保健施設は地域密着型ではないため、原則として市外・県外からでも入所できます。

自宅の近くになくても、通える範囲の別の市に老健があれば選択肢になります。入所期間は原則3〜6か月で、在宅復帰を目指す施設です。その間に自宅の環境を整えるという使い方もできます。

老健は全国に3,994施設あり、ホームページを持たない施設の割合は6.3%です。住まい系の施設の中では情報が出ている方なので、調べれば見つかります。

訪問看護からリハビリ職に来てもらう

訪問看護ステーションから、理学療法士や作業療法士が訪問する形があります。訪問リハビリがない地域でも、訪問看護があれば実質的にリハビリを受けられることがあります。

ただし訪問看護そのものが363自治体(19.2%)には存在しません。ここも確認が必要です。夜間に来てもらえるサービスと合わせて、地域に何があるかを一度整理しておくと判断が早くなります。

ショートステイを組み込む

ショートステイは全国14,966事業所あり、ない自治体は83にとどまります。在宅サービスの中では、最も全国に行き渡っています。

老健のショートステイなら、滞在中にリハビリを受けられる場合があります。限界が来てから使うものではなく、最初から予定に組み込んでおくものです。

自宅の環境が、リハビリの成否を分ける

どれだけ通っても、家の中で動けなければ機能は落ちます。退院前に手を打てるのはここです。

住宅改修は20万円まで保険が使える

介護保険の住宅改修は、支給限度基準額20万円までが保険の対象です。1割負担なら自己負担は2万円、20万円を超えた分は全額自己負担になります。

対象になる工事 例
手すりの取り付け 廊下、トイレ、浴室、玄関
段差の解消 敷居の撤去、スロープの設置
床や通路面の材料変更 滑りにくい床材への変更
扉の取り替え 開き戸から引き戸へ
便器の取り替え 和式から洋式へ
付帯して必要になる工事 壁の下地補強、配管工事

工事を始める前に市区町村へ申請しないと、支給されません。着工後に申請しても対象外です。ここでの失敗は取り返しがつかないので、必ずケアマネジャーを通してください。

限度額は原則1回きりですが、要介護度が3段階上がったとき、または転居したときは、あらためて20万円まで使えます。

工事の要らないものは福祉用具で足りる

住宅改修 福祉用具貸与・購入
手すり 壁に固定するもの 置くだけ・突っ張り式のもの
段差 敷居を削る、スロープを造作する 据え置き型のスロープ
費用の扱い 20万円まで(原則1回) 月々の支給限度額の範囲内
事前申請 必要 不要

据え置き型で足りるなら、その方が早く、状態の変化にも対応できます。福祉用具は全国8,507事業所が扱っています。

リハビリが受けられないと何が起きるか

退院直後は、身体機能が最も落ちている時期です。ここで動かさないと、そのまま固定します。

  • 歩けていた人が歩けなくなる
  • トイレに自分で行けなくなる
  • 寝ている時間が増え、認知機能も落ちる

そして介護度が上がります。要介護1で退院した人が、数か月後に要介護3になる。この経過をたどる家庭が実際にあります。

介護度が上がると、家族の負担も費用も跳ね上がります。年金の範囲で入れる施設の選択肢も、そのぶん狭くなります。

よくある失敗

失敗 なぜ起きるか 対策
退院後に要介護認定を申請した 入院中に申請できることを知らない 入院1〜2週目に申請する
デイサービスを予約してリハビリのつもりでいた 名前が似ていて区別がつかない 「通所リハビリですか」と明示して確認する
住宅改修を先に工事してしまった 着工前申請の決まりを知らない ケアマネジャーを通して申請してから着工する
近くにないから諦めた 老健が広域利用できることを知らない 隣接する市区町村まで範囲を広げる
外来リハビリが減って慌てた 標準的算定日数を知らない 起算日から逆算し、切り替え先を先に決める
退院前カンファレンスに出なかった 仕事を優先した 日程を早めに聞き、家族の誰かが出る

在宅が難しいと判断したら

正直に言うと、リハビリの受け皿がない地域で、家族が働きながら在宅を維持するのは相当に厳しいです。

  • 日中に誰もいない
  • 通所の送迎がない、あっても本人が拒否する
  • 自宅に段差があり、そもそも動けない

こういう条件が重なると、在宅を続けること自体がリハビリの妨げになります。

老健に入所してリハビリに専念し、その間に自宅を改修する。あるいは、そのまま施設での生活に切り替える。どちらも諦めではなく、機能を守るための選択です。

特別養護老人ホームは、民間の紹介サービスでは扱われません。特養を検討する場合は、市区町村の窓口か担当のケアマネジャーに申し込んでください。特養の待機期間も地域によって大きく違います。

老健や、リハビリ体制のある施設の情報は先に集めておいてください。退院日が決まってから探すと、空いているところに入るしかなくなります。

施設の候補を、地域と予算から絞り込む

紹介サービスがなぜ無料で使えるのかは別の記事で説明しています。費用の見通しも一緒に立てておくと判断が早くなります。施設の種類と費用、入居一時金の仕組みもあわせてご覧ください。

まとめ

  1. 入院が決まった時点で、病院の地域連携室に相談する
  2. 要介護認定は入院中に申請する。退院後だと30日待つことになる
  3. 地域にリハビリの受け皿があるか確認する。19%の自治体には3つとも存在しない
  4. デイケアとデイサービスは別物。回復が目的ならデイケアを探す
  5. 回復期リハビリ病棟の60日制限は2020年に撤廃されている
  6. 医療保険のリハビリには疾患ごとの日数の目安がある。切り替え先を先に決めておく
  7. 住宅改修は着工前の申請が必要。20万円まで保険が使える
  8. 老健は市外からでも入所できる。近くになければ広域で探す

次にやること

まず病院の地域連携室、または担当ケアマネジャーに、地域のリハビリ体制を確認してください。そのうえで受け皿が見つからないなら、老健や施設の資料を並行して集めておいてください。

見学に進むときは、見学で必ず聞くべき12の質問にリハビリ体制の確認項目をまとめてあります。

施設ごとの月額費用を並べて比べる

※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームはこのサービスの対象外です。特養は市区町村の窓口かケアマネジャーへ。

よくある質問

デイケアとデイサービスは併用できますか。

できます。ケアプランに位置づけられていれば、週の中で組み合わせて使えます。ただし要介護度ごとの支給限度額の範囲に収める必要があるため、回数はケアマネジャーと調整することになります。

要介護認定が下りる前でもリハビリを始められますか。

暫定ケアプランを作成すれば、認定前でもサービスを開始できる場合があります。ただし認定結果が想定より軽く出ると、超過分が自己負担になることがあります。ケアマネジャーに、その可能性も含めて確認してください。

要支援でもリハビリは受けられますか。

受けられます。要支援1・2の場合は介護予防通所リハビリテーションという枠組みになり、月額制になるのが一般的です。窓口は地域包括支援センターです。

老健には何か月いられますか。

在宅復帰を目的とする施設のため、原則3〜6か月が目安です。おおむね3か月ごとに入所の継続を検討する会議が開かれます。退所後の行き先は、入所している間に決めておく必要があります。

隣の市のデイケアには通えますか。

通所リハビリは地域密着型サービスではないため、原則として市外の事業所も利用できます。送迎の範囲が事業所ごとに決まっているので、そこで通えるかどうかが決まります。定期巡回や夜間対応型のような地域密着型サービスとは扱いが違います。

本人がリハビリに行きたがりません。

よくあることです。理由が「疲れる」なのか「人に会いたくない」なのか「送迎車が嫌」なのかで打つ手が変わります。まずは訪問リハビリで自宅から始めて、慣れてから通所に移す組み立てもできます。無理に通わせて完全に拒否されると、そこからの立て直しが難しくなります。

病院のリハビリと介護保険のリハビリは同時に使えますか。

原則として同時には使えません。維持期・生活期のリハビリは2019年3月末で介護保険へ移行が完了しており、要介護認定を受けている人は介護保険側で受けることになります。移行の時期に空白ができやすいので、外来リハビリを続けている段階で次の受け皿を決めておいてください。

住宅改修の20万円は、1回で使い切らないといけませんか。

いいえ。20万円に達するまでなら複数回に分けて使えます。退院直後に手すりだけ付けて、状態を見てから追加するという進め方もできます。ただし工事のたびに事前申請が必要です。

リハビリの効果はどれくらいで判断すればいいですか。

担当の理学療法士や作業療法士に、いま何を目標にしていて、どの程度の期間で見直すのかを聞いてください。目標が「歩行の安定」なのか「トイレの自立」なのかで、家族が見るべき点も変わります。数か月まったく変化がないなら、内容の見直しをケアマネジャーに相談してよい段階です。

親が施設に移ったあと、実家をどうするか

老健や施設での生活に切り替えると、実家が空いたままになります。空き家は持っているだけで固定資産税や管理の負担が続きます。判断は急がなくて構いませんが、選択肢だけは知っておいてください。姉妹サイトの実家じまいナビで扱っています。

退院先の地域にリハビリがあるか

デイケア・訪問リハビリ・老健のどれも存在しない市区町村は359あります。その359市区町村の一覧で、退院後に戻る住所が入っていないか確かめてください。訪問看護でリハビリを代替する想定なら、訪問看護がない363市区町村もあわせて確認が要ります。

入院中に申請しておけば、退院日から使えます。手順は介護保険の申請の流れにまとめました。

退院してからケアプランが動き出すまでの数日から数週間を埋めるのが、保険外の自費サービスです。介護保険を使わないため費用は全額自己負担になりますが、時間帯・内容・回数を自由に決められ、保険では頼めない付き添いや見守りも依頼できます。夜間だけ、退院後の2週間だけ、といった短期の使い方もできます。