老人ホームの種類と費用を一覧比較|特養・有料・グループホーム

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親の施設を探し始めると、まず種類の多さでつまずきます。特養、老健、有料老人ホーム、グループホーム、サ高住。名前が似ていて、何がどう違うのか分かりません。

そして種類を理解しても、次に「うちの地域にはどれがあるのか」で止まります。

この記事では、全国35,538施設の公的データを実際に集計した結果をもとに、種類ごとの違い、費用の目安、そして住んでいる地域によって選択肢がどれだけ変わるかをお伝えします。

施設は9種類あるが、実際に検討するのは4つ

介護保険の対象になる高齢者の住まいは、制度上9種類あります。ただし全国の施設数を数えると、実際に選択肢になるのはこの4つです。

種類 全国の施設数 主な対象 入居一時金 月額の目安
グループホーム 14,181 認知症と診断された人 0〜数十万円 12〜20万円
特別養護老人ホーム 7,916 要介護3以上 なし 5〜15万円
介護付有料老人ホーム 4,693 費用を出せる人 0〜数千万円 15〜30万円以上
介護老人保健施設 3,994 退院後にリハビリする人 なし 8〜15万円

残りの5種類は施設数が限られるか、条件が特殊です。

種類 施設数 特徴
地域密着型特養 2,528 定員29人以下。その市区町村の住民のみ
介護医療院 933 医療的ケアが常時必要な人
サービス付き高齢者向け住宅 662 比較的自立度が高い人(※)
軽費老人ホーム(ケアハウス) 575 低所得の人。所得に応じた軽減あり
介護療養型医療施設 56 廃止方針。新規はほぼない

※ ここでの662件は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたサ高住のみです。指定を受けていないサ高住はこのデータに含まれません。

出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。

意外に思われるかもしれませんが、いちばん数が多いのはグループホームです。特養の1.8倍あります。認知症の診断があるなら、ここが最有力の選択肢になり得ます。

費用が違う理由は、運営している組織が違うから

同じ「老人ホーム」でも、運営主体がまったく違います。

種類 社会福祉法人 営利法人(株式会社等) 医療法人
特別養護老人ホーム 94% 0% 0%
介護付有料老人ホーム 7% 83% 7%

特養は社会福祉法人にしか運営が認められていません。公的な補助を受けて建てられ、費用が抑えられている代わりに、要介護3以上という条件と待機があります。

有料老人ホームは民間サービスです。費用は高いが、空きがあれば早く入れる。

この構造の違いが、そのまま費用差になっています。

月額に含まれるもの、含まれないもの

月額の中身は、どの施設でも概ね同じ項目で構成されます。

項目 内容 パンフレットの月額に含まれるか
家賃(居住費) 部屋の広さと立地で変わる 含まれる
管理費 共用部の維持、事務費 含まれる
食費 1日3食 含まれる
介護サービス費 介護保険の自己負担分(1〜3割) 含まれないことがある
おむつ代 使用量による 含まれないことが多い
医療費・薬代 通院、往診 含まれない
理美容代 訪問理美容 含まれない
レクリエーション費 外出行事など 含まれないことが多い

「その他」が曲者です。パンフレットの月額に含まれていないことが多く、実際は月2〜5万円上振れします。見学時には必ず「これ以外に毎月かかるものを全部教えてください」と聞いてください。

住んでいる地域で、選択肢の構成がまったく違う

ここからは他ではあまり語られていない話です。

各都道府県の高齢者向け住まいのうち、特養(広域型+地域密着型)が占める割合を計算しました。

特養の割合が低い県 割合
佐賀県 17.7%
高知県 19.7%
鳥取県 21.4%
神奈川県 22.0%
特養の割合が高い県 割合
山梨県 47.4%
栃木県 40.9%
山形県 40.1%
滋賀県 39.5%

山梨県は施設の47.4%が特養。神奈川県は22.0%。倍以上の差があります。

さらに、費用を抑えられる4種類(特養・地域密着型特養・老健・ケアハウス)で見ると差はもっと明確です。

都道府県 低費用系の割合
佐賀県 29.3%
神奈川県 31.7%
東京都 32.4%
(全国平均) 42.2%
岩手県 53.9%
茨城県 55.4%
山梨県 61.0%

東京都32.4%に対して山梨県61.0%。

都市部では、施設数こそ多いものの、その3分の2が民間の有料老人ホームやグループホームです。「選択肢は多いが、安い選択肢は少ない」という構造になっています。

つまり「うちの親は年金だけで入れますか」という問いへの答えは、住んでいる場所によって変わります。

種類によって「調べられる度合い」が7倍違う

全国35,538施設について、公式サイトを持っているかどうかを調べました。

種類 施設数 公式サイトがない割合
グループホーム 14,181 24.2%
介護療養型医療施設 56 19.6%
介護医療院 933 11.1%
サービス付き高齢者向け住宅 662 11.0%
介護付有料老人ホーム 4,693 10.2%
介護老人保健施設 3,994 6.3%
地域密着型特養 2,528 5.0%
軽費老人ホーム 575 3.8%
特別養護老人ホーム 7,916 3.4%

特養はほぼ全施設がサイトを持っています(96.6%)。一方、グループホームは4施設に1つがサイトを持っていません。

これは探す側にとって、かなり実際的な問題です。

サイトがなければ、料金表も、職員の体制も、建物の様子も、日々の過ごし方も、電話をかけて資料を取り寄せるまで一切分かりません。候補を絞り込む前の段階で、比較すらできない。

グループホームは小規模な事業者が多く、ホームページを作る余力がないケースが目立ちます。運営が悪いという意味ではありません。ただ、「調べてから選ぶ」ができないという事実は、探し方を変える必要があることを意味します。

サイトを持たない施設の情報も、紹介サービスは把握しています。

ネットに出てこない施設を含めて、条件に合うところの資料をまとめて取り寄せられます。

条件に合う施設の資料を無料で請求する

地域によっても4倍の差がある

公式サイトを持たない施設の割合は、都道府県によっても大きく違います。

情報が出ていない県 割合
青森県 26.8%
鹿児島県 24.5%
高知県 24.3%
情報が出ている県 割合
東京都 6.3%
奈良県 7.1%
新潟県 7.7%

全国平均は13.4%です。同じ日本国内でも、「調べてから選べる地域」と「電話するまで分からない地域」があります。

種類によって、探し方を変える

上のデータから導かれる結論はこうです。

種類 探し方
特別養護老人ホーム 市区町村の窓口かケアマネジャー。紹介サービスでは扱われない
介護老人保健施設 病院の地域連携室、またはケアマネジャー
介護付有料老人ホーム ネットで下調べできる。紹介サービスで比較が早い
グループホーム ネットで比較しようとしない。ケアマネか紹介サービス経由

グループホームを検討するなら、ネットで比較しようとしないでください。4件に1件は情報がなく、時間の無駄になります。

代わりに、次のどちらかを使ってください。

  • 担当のケアマネジャーに聞く — 地域のグループホームの内情を、いちばんよく知っている立場です
  • 紹介サービスでまとめて資料を取り寄せる — サイトのない施設の情報も持っています

よくある失敗

施設探しで実際に起きている失敗です。

失敗 なぜ起きるか 対策
特養だけを待って他を見ていない 「安いから」と待機する 待つ間に民間施設の候補も確保する
月額だけ見て契約した その他費用が含まれていない 「毎月かかるものを全部」と聞く
一時金の償却条件を確認しなかった 契約書の計算式が分かりにくい 「1年で退去したらいくら戻るか」を書面で
医療的ケアを伝えなかった 断られるのが怖い 最初に伝える。後で必ず判明する
1件しか見学しなかった 時間がない 最低3件。比較しないと判断できない
遠方の親を呼び寄せようとした グループホームは地域密着型 住民票を先に移す必要がある

最後の項目は特に見落とされます。グループホームと地域密着型特養は、原則としてその市区町村に住民票がある人しか入れません。親を自分の近くに呼び寄せたい場合、そのままでは申し込めません。

大手が強い地域と、地域法人が中心の地域

もう一つ、データから見える構造があります。

1法人あたりの施設数を都道府県別に見ると、大手が複数施設を持っている地域と、地域の法人が1施設ずつ運営している地域に分かれます。

都道府県 施設数 運営法人数 1法人あたり
東京都 2,478 1,042 2.38
神奈川県 2,076 895 2.32
新潟県 777 369 2.11
埼玉県 1,649 790 2.09
長野県 731 359 2.04

全国では17,430法人が35,538施設を運営しており、そのうち11,155法人(64%)は施設を1つしか持っていません。

これが実務上どう効くか。

複数施設を持つ法人なら、1つが満室でも系列の別施設を紹介してもらえます。全国で見ると、施設の68%は系列の他施設があり、43%は同じ市区町村内に系列を持っています。

見学で断られたとき、「系列の他の施設は空いていますか」と聞く価値があるということです。

手続きの流れ

段階 やること 期間の目安
1 要介護認定を申請する 申請から結果まで原則30日
2 ケアマネジャーを決める 認定後すぐ
3 施設の種類を絞る
4 特養に申し込む(該当者) 随時。待機は地域により数か月〜数年
5 民間施設の資料を取り寄せる 数日
6 3〜5件を見学する 1〜2週間
7 重要事項説明書を持ち帰って読む
8 契約・入居

4と5は並行してください。特養だけを待って他を見ていない状態が、最も危険です。在宅が限界に来たときに順番が来ていないと、空いている施設に入るしかなくなります。

まとめ:どう選ぶか

  1. 認知症の診断があるなら、まずグループホームを検討する。数がいちばん多い。ただしネットでは比較できないので、ケアマネか紹介サービスを使う
  2. 要介護3以上で費用を抑えたいなら、特養。待機はあるが、申し込んでおいて損はない。サイトがある施設がほとんどなので事前に比較できる
  3. 早く入りたい、費用が出せるなら、介護付有料老人ホーム。空きがあれば動きが早い
  4. 退院後で在宅復帰を目指すなら、老健。ただし原則3〜6か月の期限がある
  5. 住民票の場所を確認する。グループホームと地域密着型特養は、その市区町村の住民のみ
  6. 地域によって選択肢の構成が違う。まず自分の地域に何があるか調べる

次にやること

種類が決まったら、同じ種類の施設を最低3件は見てください。1件だけでは、それが良いのか悪いのかを判断する基準がありません。

資料の取り寄せと見学の日程調整は、まとめて頼めます。1件ずつ電話をかける必要はありません。

資料を取り寄せて、見学を申し込む

※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームはこのサービスの対象外なので、特養も検討する場合は市区町村の窓口かケアマネジャーに並行して相談してください。

よくある質問

特養と有料老人ホーム、どちらに申し込むべきですか。

両方です。特養は費用が安い代わりに待機があり、いつ順番が来るか分かりません。有料老人ホームは空きがあれば早く入れます。特養に申し込んだうえで、民間施設の候補も持っておくのが現実的です。

要介護1でも入れる施設はありますか。

あります。介護付有料老人ホームは要支援から受け入れる施設があり、グループホームは要支援2以上が対象です。特養は原則要介護3以上ですが、やむを得ない事情がある場合は特例入所が認められることがあります。市区町村にご相談ください。

遠方に住む親を、自分の近くの施設に入れられますか。

施設の種類によります。介護付有料老人ホーム、特別養護老人ホーム(広域型)、老健は、市外・県外からでも申し込めます。一方、グループホームと地域密着型特養は、原則としてその市区町村に住民票がある人のみです。呼び寄せる場合は住民票の移動が先になります。

入居を断られることはありますか。

あります。主な理由は3つで、医療的ケア(たん吸引・経管栄養・インスリンなど)、認知症の症状の程度、要介護度が条件に合わないことです。認知症そのものを理由に断られることは、実はあまりありません。

月額15万円と書いてありますが、本当にそれだけですか。

多くの場合、それだけでは済みません。おむつ代、医療費、理美容代、レクリエーション費などが別途かかり、実際は月2〜5万円上振れすることが一般的です。見学時に「これ以外に毎月かかるものを全部教えてください」と聞いてください。

資料請求は無料ですか。しつこく営業されませんか。

無料です。紹介サービスは入居が決まったときに施設から手数料を受け取る仕組みなので、利用者の負担はありません。営業の程度は事業者によりますが、「まだ検討段階です」と最初に伝えておくと、頻度は下がります。

入居してから合わないと分かったら、どうすればいいですか。

入居から90日以内なら、一時金は全額返還されます(短期解約特例)。実際に居住した日数分の費用は差し引かれますが、初期償却分も返ってきます。合わないと感じたら、この期間内に判断してください。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は選択肢になりませんか。

なります。この記事の表に含めた662件は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたサ高住のみです。指定を受けていないサ高住は、介護サービスを外部から個別に契約する住宅で、このデータには含まれていません。実際のサ高住の総数はこれより多く、比較的自立度が高い方には有力な選択肢です。

特養に申し込んだのに、何年も連絡が来ません。

特養は先着順ではなく、必要度の高い人から入る仕組みです。申し込んだときの状況で順位がつくため、その後に状態が悪化しても、伝えていなければ順位は変わりません。要介護度が上がった、介護している家族が入院したなどの変化があれば、必ず施設に連絡して申込内容を更新してください。

この記事のデータについて

出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

同一施設が複数の指定区分で重複登録されているケースを、施設名と住所で名寄せして整理しています。公表データの「定員」欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用せず、施設の「数」のみを用いています。都道府県別の比率は施設数200件以上の県で算出しています。

費用の目安は一般的な水準を示したもので、実際の金額は施設・地域・所得区分によって変わります。正確な費用は各施設にご確認ください。制度の内容は改正により変更される場合があります。