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老人ホームの種類と選び方。全国35,538施設の公的データから見た実態。

  • 老人ホーム紹介サービスはなぜ無料か|紹介されない施設が43%

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    老人ホームを探していると「無料で相談できます」「無料で見学を手配します」というサービスに行き当たります。

    親身に相談に乗ってくれて、資料もまとめて届く。それでこちらは1円も払わない。気持ち悪いと感じた方は、まっとうな感覚です。

    仕組みを説明します。あわせて、このサービスを使うときに知っておくべきいちばん重要な注意点もお伝えします。

    無料の理由:施設側が紹介料を払っている

    紹介サービスは、入居が決まると施設から紹介手数料を受け取ります。相場は入居者1人あたり、月額利用料の1〜3か月分程度と言われます。

    つまりお金の流れはこうです。

    あなた ──(無料で相談)── 紹介サービス ──(紹介料)── 施設

    あなたが払わないだけで、誰も損をしていないわけではありません。紹介料は施設の運営コストに含まれ、めぐりめぐって入居費用の一部になっています。

    無料という言葉を額面通りに受け取らず、「施設が広告費を払っている」と理解しておくのが正確です。

    紹介会社の種類

    一口に「紹介サービス」といっても、いくつか性格が違います。

    種類 特徴 向いている場面
    大手ポータル型 掲載施設数が多い。Webで検索・比較できる 自分で比較したい
    相談員が付くタイプ 電話や面談で条件を聞き、候補を絞る 何から手をつけるか分からない
    地域密着型 特定エリアに強い。施設との関係が深い 地方で、地域の実情を知りたい

    どのタイプでも、収益構造は同じです。施設から紹介料を受け取ります。

    なぜ施設は、紹介料を払ってでも埋めたいのか

    ここは公的データを見ると腑に落ちます。

    全国の高齢者向け住まい35,538施設を運営しているのは、17,430の法人です。このうち──

    11,155法人(64%)は、施設を1つしか運営していません。

    運営規模 法人数 割合
    1施設のみ 11,155 64%
    2〜4施設 5,256 30%
    5施設以上 1,019 5.8%

    5施設以上を持つ大手は1,019法人にすぎません。

    つまり、あなたが検討する施設の多くは、営業部門も広報担当もいない小さな事業者だということです。ホームページを持っていない施設が全体の13.4%あるのも、同じ理由です。

    自力で入居者を集める手段がない。だから紹介会社に頼る。これが「無料」を成立させている構造です。

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。

    最大の注意点:紹介されない施設がある

    ここがこの記事でいちばん大事な部分です。

    紹介サービスは施設から紹介料をもらいます。裏を返せば、紹介料を払わない施設は、紹介されません。

    全国35,538施設の内訳を、この観点で分けるとこうなります。

    区分 種類 施設数
    紹介の対象になりやすい グループホーム 14,181
    介護付有料老人ホーム 4,693
    サービス付き高齢者向け住宅 662
    軽費老人ホーム 575
    小計 20,111
    原則として対象外 特別養護老人ホーム 7,916
    介護老人保健施設 3,994
    地域密着型特養 2,528
    介護医療院 933
    介護療養型医療施設 56
    小計 15,427

    特別養護老人ホームは、紹介サービスでは基本的に扱われません。社会福祉法人が運営する公的性格の強い施設で、紹介料を払う仕組みがないからです。特養は市区町村の窓口か、施設に直接申し込みます。

    老健も同様です。こちらは病院の地域連携室やケアマネジャー経由が基本になります。

    つまり紹介サービスに相談すると、選択肢の43%が最初から視野に入っていない状態で話が進みます。

    これは紹介サービスが悪いという話ではありません。そういう仕組みだと知らずに使うと、費用の安い選択肢を見落とすという話です。

    地域によって、紹介サービスの有効性が2倍違う

    紹介対象になる施設の割合は、都道府県によって大きく違います。

    民間施設の割合が高い県 割合
    佐賀県 68.4%
    神奈川県 68.1%
    東京都 66.9%
    北海道 64.2%
    愛媛県 63.3%
    民間施設の割合が低い県 割合
    山梨県 37.7%
    茨城県 43.2%
    栃木県 45.2%
    新潟県 46.3%
    山形県 46.5%

    神奈川県68.1%に対して山梨県37.7%。

    神奈川では施設の約7割が紹介サービスの対象になるので、相談すればほぼ全体像が見えます。

    一方、山梨では6割以上が公的施設です。紹介サービスだけに頼ると、地域の選択肢の大半を見落とすことになります。こうした地域では、市区町村の窓口とケアマネジャーの比重が上がります。

    それでも紹介サービスに価値がある場面

    構造を理解したうえで言うと、使う価値がある場面は明確にあります。

    1. 情報が公開されていない施設が多い地域

    公式サイトを持たない施設の割合は、地域によって違います。当サイトの集計では、施設数の少ない自治体ほど情報が出ていません。

    その自治体の施設数 自治体数 公式サイトがない割合
    1〜4施設 477 19.2%
    5〜9施設 387 18.0%
    10〜19施設 407 15.3%
    20〜49施設 404 13.0%
    50施設以上 166 11.8%

    選択肢が少ない地域ほど、その少ない選択肢すら調べられない。この状況では、施設の情報を持っている紹介会社の価値は実際に高いです。

    とくにグループホームは全体の24.2%が公式サイトを持っていません。ネットで比較しようとしても、4件に1件は存在すら分かりません。

    2. 急いでいるとき

    退院日が決まっている、家族が限界に近い。こういう場面では、1件ずつ電話して空室を確認する時間がありません。空室状況をまとめて把握している紹介会社は、率直に速いです。

    3. 認知症で受け入れ先が限られるとき

    認知症の程度によっては、断られる施設が出てきます。どこが受け入れているかを個別に当たるのは消耗します。

    4. 予算の上限がはっきりしているとき

    「月18万円まで」と伝えれば、その範囲の施設だけを出してもらえます。自分で1件ずつ料金表を確認する手間が省けます。

    使うときに伝えるべきこと

    最初に条件を正確に伝えると、話が早く進みます。曖昧なまま進めると、後で候補がすべて条件外だったということになります。

    伝えること 具体例
    要介護度 認定前なら「申請中」と伝える
    医療的ケア たん吸引、経管栄養、インスリン、透析の有無
    認知症の症状 徘徊、暴言、昼夜逆転の有無と程度
    予算の上限 月額でいくらまでか。一時金は出せるか
    希望エリア 「○○市内」「実家から車で30分以内」など
    時期 「今すぐ」か「1年以内に」か

    医療的ケアと認知症の症状は、隠さず伝えてください。入居前の面談で必ず判明します。そのとき一からやり直す方が、はるかに消耗します。

    使うときの注意点

    注意点 内容
    複数社に登録しない 同じ施設に別々の会社から打診が行き、施設側が混乱する
    「まだ検討段階」と伝える 連絡の頻度が下がる
    提案された施設をそのまま信じない 紹介料の高い施設が優先される可能性はゼロではない
    必ず自分で見学する 資料と実物は違う
    特養は自分で申し込む 紹介サービスでは扱われない

    提案が2〜3件しか出てこない場合は、条件を広げるか、別の会社にも相談してください。その会社の提携先が少ないだけの可能性があります。

    使い方:ケアマネと併用するのが正解

    紹介サービスだけに頼らないでください。特養が抜け落ちるからです。

    現実的な進め方はこうです。

    誰に 何を頼むか
    担当ケアマネジャー 特養を含めた地域の全体像。紹介料と無関係の立場で話が聞ける
    紹介サービス 有料老人ホーム・グループホームの比較と資料請求
    市区町村の窓口 特養の申込み、負担限度額認定の申請

    この3つを同時に回すのが、いちばん取りこぼしが少ない方法です。

    まだケアマネジャーが決まっていない場合は、地域包括支援センターに相談してください。市区町村が設置している無料の窓口です。

    民間施設の資料をまとめて取り寄せる

    仕組みを理解したうえで使うなら、紹介サービスは有効です。有料老人ホームやグループホームを検討しているなら、複数の施設から資料を取り寄せて比べてください。1件ずつ電話するのは現実的ではありません。

    繰り返しになりますが、このサービスで特養は出てきません。特養は市区町村の窓口へ。両方やってください。

    相談から入居までの流れ

    紹介サービスを使った場合、実際にはこう進みます。

    段階 内容 期間の目安
    1 電話またはWebで条件を伝える 30分程度
    2 条件に合う施設の提案を受ける 即日〜数日
    3 資料が届く 数日
    4 見学したい施設を選ぶ
    5 見学の日程を調整してもらう 数日
    6 見学する(1件30分〜1時間) 1〜2週間
    7 申込み・面談 施設側の受け入れ判定
    8 契約・入居 1〜2週間

    急ぐ場合は、この流れが2週間程度に圧縮されることもあります。退院日が決まっているなど期限がある場合は、最初にそれを伝えてください。

    費用が発生するタイミング

    利用者に費用が発生する場面はありません。

    段階 利用者の負担
    相談 なし
    資料請求 なし
    見学の手配 なし
    見学 なし(交通費のみ自己負担)
    契約 施設への支払いのみ

    紹介サービスに対して支払うものはありません。入居後に請求が来ることもありません。

    紹介サービスを使わない選択肢

    そもそも使わずに探すこともできます。地域と状況によっては、その方が確実です。

    方法 向いている場面 注意点
    地域包括支援センター 何から手をつけるか分からない 無料。特養も含めた全体像が分かる
    担当ケアマネジャー 既に在宅サービスを使っている 地域の実情に詳しい。紹介料と無関係
    市区町村の窓口 特養・費用軽減制度 民間施設の情報は限定的
    病院の地域連携室 入院中・退院予定 老健やリハビリ施設に強い
    自分でネット検索 都市部で、時間がある 13.4%はサイトがなく見つからない

    公的施設の比率が高い地域では、地域包括支援センターとケアマネジャーの比重が上がります。当サイトの集計では、山梨県では施設の6割以上が公的施設です。

    逆に、神奈川県や東京都のように民間施設が7割近い地域では、紹介サービスの効率が良くなります。

    まとめ

    1. 無料なのは、施設が紹介料を払っているから。相場は月額の1〜3か月分程度
    2. 運営法人の64%が1施設のみ。営業手段がないから紹介会社に頼る
    3. 紹介対象は20,111施設。特養など15,427施設(43%)は対象外
    4. 地域によって有効性が違う。民間比率は神奈川68.1%〜山梨37.7%
    5. 情報が出ていない地域ほど価値が高い。施設数の少ない自治体は19.2%がHPなし
    6. ケアマネ・市区町村と併用する。紹介サービス単独では特養が抜ける

    判断のめやす

    紹介サービスを使うべきかどうかは、状況で決まります。

    こういう場合 判断
    特養だけを考えている 不要。市区町村の窓口へ
    有料・グループホームを比較したい 有効
    時間がない、急いでいる 有効
    地方で公的施設が中心の地域 ケアマネと市区町村を優先
    ケアマネが親身に動いてくれている まずそちらに相談

    次にやること

    まず担当のケアマネジャーに、地域の全体像を聞いてください。特養の申込みもそこで相談できます。

    そのうえで、民間施設の比較は紹介サービスを使うのが効率的です。

    資料を取り寄せて、見学を申し込む

    ※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームは対象外です。特養は市区町村の窓口かケアマネジャーへ。

    よくある質問

    本当に費用はかからないのですか。

    利用者の負担はありません。入居が決まったときに施設が紹介料を支払う仕組みです。ただし、その紹介料は施設の運営コストに含まれるため、間接的には入居費用の一部になっています。

    紹介料が高い施設ばかり勧められませんか。

    可能性はゼロではありません。だからこそ提案された施設をそのまま信じず、必ず自分で見学してください。また、ケアマネジャーにも同じ地域の施設について聞いておくと、偏りに気づけます。

    なぜ特養は紹介されないのですか。

    特養は社会福祉法人が運営する公的性格の強い施設で、紹介料を支払う仕組みがありません。申込みは市区町村の窓口か施設に直接行います。費用が安いため、費用を抑えたい場合は必ず並行して申し込んでください。

    複数の紹介会社に登録した方がいいですか。

    おすすめしません。同じ施設に別々の会社から打診が行き、施設側が混乱します。最初の1社で提案が2〜3件しか出てこない場合に、別の会社を検討する程度で十分です。

    しつこく営業されませんか。

    事業者によります。「まだ検討段階です」「連絡はメールでお願いします」と最初に伝えておくと、頻度は下がります。それでも過度に感じる場合は、担当者の変更や利用の中止を申し出て構いません。

    資料請求だけして、入居しなくても大丈夫ですか。

    大丈夫です。費用は一切かかりません。むしろ、限界が来る前に費用の目安を知っておく方が、いざというときの判断が速くなります。

    地方に住んでいますが、使えますか。

    使えますが、地域によって効果が違います。当サイトの集計では、民間施設の割合は神奈川県68.1%に対し山梨県37.7%です。公的施設の比率が高い地域では、市区町村の窓口とケアマネジャーの比重が上がります。

    ケアマネジャーがいれば、紹介サービスは不要ですか。

    補完関係にあります。ケアマネジャーは地域の全体像と特養の申込みに強く、紹介サービスは民間施設の比較と空室情報に強い。担当エリア外の施設まで含めた比較は、ケアマネジャーには難しい場合があります。

    個人情報はどう扱われますか。

    相談時に伝えた情報(要介護度、症状、予算など)は、提案する施設に共有されます。そうしないと受け入れ可否の判断ができないためです。どの範囲まで伝わるか気になる場合は、最初に確認してください。また、利用をやめる際にデータの削除を依頼できるかも聞いておくと安心です。

    入居後にトラブルがあったら、紹介会社は対応してくれますか。

    原則として対応しません。紹介会社の役割は入居までです。入居後の問題は、施設との間で解決するか、市区町村の介護保険担当窓口や国民健康保険団体連合会(国保連)の苦情窓口に相談することになります。この点は契約前に理解しておいてください。

    紹介された施設が合わなかったら、断れますか。

    断れます。契約前であれば、いつでも辞退できます。入居後であっても、90日以内なら一時金は全額返還されます(短期解約特例)。

    この記事のデータについて

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

    同一施設が複数の指定区分で重複登録されているケースを、施設名と住所で名寄せして整理しています。公表データの「定員」欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用せず、施設の「数」のみを用いています。都道府県別の比率は施設数200件以上の県で算出しています。

    紹介対象の区分は、施設の運営主体と一般的な商慣行にもとづく当サイトの整理です。実際の取扱いは紹介事業者によって異なる場合があります。紹介手数料の相場は業界で一般に言われている水準を記載したもので、実際の料率は事業者と施設の契約によって異なります。

  • 老人ホーム見学で聞くべき12の質問|断られない伝え方も

    ※ 本ページはプロモーションを含みます。

    パンフレットと、実際に住む場所は違います。見学は、その差を埋める唯一の機会です。

    ただ、初めての見学で「何を聞けばいいか分からないまま案内が終わってしまった」という話をよく聞きます。案内する側も慣れているので、聞かなければ聞かれないことは説明されません。

    この記事では、必ず聞くべき12の質問をまとめます。あわせて、全国35,538施設の公的データから見えた、見学の効率を上げる13番目の質問もお伝えします。

    見学前に決めておくこと

    質問の前に、こちらの条件を整理しておいてください。これがないと、聞いても判断できません。

    項目 確認しておくこと
    要介護度 認定前なら「申請中」と伝える
    医療的ケア インスリン、たん吸引、経管栄養、透析、酸素療法の有無
    認知症 診断の有無。徘徊、暴言、昼夜逆転の有無と程度
    予算 年金額+家族が負担できる額。一時金を出せるか
    住民票 どの市区町村にあるか

    とくに医療的ケアと認知症の症状は、入居を断られるいちばんの理由です。隠して話を進めても、入居前の面談で必ず判明します。最初に正直に伝えてください。

    住民票も重要です。グループホームと地域密着型特養は、原則としてその市区町村に住民票がある人しか入れません。

    お金について聞く4つの質問

    1. 月額の総額はいくらか。パンフレットの金額に含まれないものは何か

    「月額18万円」と書いてあっても、それは家賃・管理費・食費だけのことが多いです。

    含まれないことが多い項目 月額の目安
    おむつ代 5,000〜15,000円
    医療費・薬代 数千〜数万円
    理美容代 2,000〜4,000円
    レクリエーション費 実費
    日用品費 数千円

    実際は月2〜5万円上振れします。「これ以外に毎月かかるものを全部教えてください」と聞いてください。

    2. 入居一時金は、途中で退去したらいくら戻るか

    有料老人ホームの一時金には償却期間があります。確認すべき数字は3つです。

    確認する数字 意味
    初期償却率 入居した時点で返金対象から外れる割合。0〜30%が一般的
    償却期間 残りを何年で使い切るか。3〜10年
    途中退去時の返金額 上の2つから計算できるが、具体的な金額を書面で出してもらう

    「5年で全額償却、初期償却30%」なら、一時金600万円のうち180万円は入居初日に消えます。

    「1年で退去した場合、いくら戻りますか」と具体的に聞いてください。

    3. 要介護度が上がったら、月額はいくら増えるか

    介護度が上がれば自己負担も上がります。要介護3から5になった場合の金額を、具体的に出してもらってください。

    4. 値上げの実績はあるか。過去3年で何回上げたか

    これから何年も住む場所です。過去の実績が、将来の見通しになります。

    体制について聞く4つの質問

    5. 夜勤は何人か。入居者何人に対して何人か

    日中の人員配置はどこも似ています。差が出るのは夜間です。

    入居者50人を夜勤2人で見る施設と、3人で見る施設では、呼び出しへの対応がまったく違います。

    6. 職員の平均勤続年数はどのくらいか

    数字を持っていない施設もありますが、聞くこと自体に意味があります。答えに詰まる、あるいは「若い職員が多くて」と濁される場合は、入れ替わりが激しい可能性があります。

    7. 看護師は常駐か、日中のみか、オンコールか

    医療的ケアが必要なら、ここが決定的です。「看護師配置あり」の中身は施設によってまったく違います。

    体制 対応できること
    24時間常駐 たん吸引、経管栄養なども対応可能なことが多い
    日中のみ 夜間の医療的ケアは不可
    オンコール 呼べば来るが、常時対応ではない
    配置なし 医療的ケアは原則不可(グループホームに多い)

    8. どういう状態になったら退去をお願いされるか

    これは必ず聞いてください。「終身」と謳っていても、実際には医療依存度が上がると退去要件に該当するケースがあります。

    契約書のどこに書いてあるかまで確認してください。

    暮らしについて聞く4つの質問

    9. 家族はいつでも面会できるか。人数や時間の制限は

    10. 居室に持ち込めるものは何か。仏壇やテレビは置けるか

    11. 通院はどうなるか。付き添いは職員か家族か、費用はかかるか

    通院付き添いが家族対応の施設だと、月に何度も呼び出されます。遠方に住んでいる場合は特に重要です。

    12. 入居している方の平均年齢と要介護度は

    同じ「介護付有料老人ホーム」でも、自立に近い方が多い施設と、寝たきりの方が中心の施設ではまるで違います。親の状態と合っているかを判断する材料になります。

    データから分かった、13番目の質問

    ここからは公的データを集計して見えたことです。

    全国の高齢者向け住まいを運営する17,430法人のうち、6,275法人が2施設以上を運営しています。施設数でみると──

    施設数 割合
    系列の他施設がある施設 24,257 68%
    うち同じ市区町村内に系列がある 15,233 43%

    さらに、住まいと在宅サービス(訪問介護やデイサービス)の両方を持つ法人が10,681あります。

    つまり──

    「こちらが空いていない場合、系列の他の施設や、在宅のサービスを紹介していただけますか」

    この質問が有効な施設が、全体の3分の2以上あるということです。

    見学した施設が満室でも、話はそこで終わりません。同じ法人の別施設なら、状況を引き継いだうえで検討してもらえます。空室待ちの間、系列のデイサービスやショートステイでつなぐ提案が出ることもあります。

    1件断られるたびに一からやり直すのは、消耗します。断られたときこそ、次に繋がる質問をしてください。

    系列施設の空き状況をまとめて確認する方法もあります。

    紹介サービスは複数施設の空室状況を把握しているため、1件ずつ問い合わせる手間を省けます。

    空きのある施設をまとめて調べる

    見学のときに、目で見ておくこと

    質問への答えと同じくらい、その場で観察できることがあります。

    見るところ 何が分かるか
    におい 換気と排泄ケアの質
    職員の声かけ 子ども扱いしていないか。名前で呼んでいるか
    入居者の様子 全員がテレビの前に座らされていないか
    職員同士の様子 表情が硬い、私語がまったくない職場は余裕がない可能性
    廊下・共用部 案内された場所以外も見る
    掲示物 行事の写真、献立表が最新か
    私物の置き方 居室に生活感があるか

    できれば食事の時間帯に行ってください。生活の実態がいちばん出ます。

    案内された場所だけでなく、廊下やフロアの様子を見てください。

    見学当日の進め方

    限られた時間で必要な情報を得るには、順番があります。

    順番 やること 理由
    1 玄関に入った瞬間のにおいを確認 慣れると分からなくなる。最初の数秒が勝負
    2 施設側の説明を一通り聞く 相手のペースを尊重する
    3 こちらの状況を正直に伝える 受け入れ可否がここで大体分かる
    4 12の質問をする メモを見ながらで構わない
    5 居室・共用部を見せてもらう 案内された場所以外も歩く
    6 入居者の様子を見る 説明を聞きながらでも観察できる
    7 重要事項説明書をもらう 「持ち帰って読みます」と伝える

    3を先にやってしまうと、受け入れ不可の場合に残りの時間が無駄になります。逆に言えば、早めに伝えれば別の施設を探す時間が確保できます。

    質問しにくいと感じたら

    「こんなことを聞いていいのか」と遠慮する方が多いのですが、聞かれ慣れています。

    とくに費用と退去要件は、後でトラブルになるくらいなら最初に聞いた方が施設側にとってもよいことです。曖昧に答える施設、答えを渋る施設は、それ自体が判断材料になります。

    言いにくければ、「他の施設でも同じことを伺っています」と前置きすると聞きやすくなります。

    よくある失敗

    失敗 なぜ起きるか 対策
    1件しか見学しなかった 時間がない 最低3件。比較しないと基準ができない
    案内されるまま見て終わった 質問を用意していない この記事の12項目をメモして持参する
    月額だけ確認して契約した その他費用を聞いていない 「毎月かかるものを全部」と聞く
    医療的ケアを伝えなかった 断られるのが怖い 最初に伝える
    その場で契約した 押しに弱い 重要事項説明書を持ち帰って読む
    本人を連れて行かなかった 説得できていない 可能なら本人も一緒に。相性がある
    平日昼間だけ見た 都合がつかない 夕方や食事時も見ると印象が変わる

    その場で契約する必要はまったくありません。重要事項説明書は必ずもらって、持ち帰って読んでください。

    見学の流れ

    段階 やること 目安
    1 条件を整理する 要介護度・医療的ケア・予算・エリア
    2 資料を取り寄せる 数日
    3 候補を3〜5件に絞る
    4 見学の日程を調整する まとめて依頼できる
    5 見学する(1件30分〜1時間) 1〜2週間で回る
    6 重要事項説明書を持ち帰る
    7 家族で比較・検討する
    8 申込み・面談 施設側の受け入れ判定

    4の日程調整は、まとめて頼めます。1件ずつ電話をかけて予定を合わせるのは、働きながらでは現実的ではありません。

    見学は複数行ってください

    1件だけ見ても、それが良いのか悪いのか分かりません。最低3件、できれば5件見ると基準ができます。

    3件見ると、この記事の12の質問への答えが施設によってどれだけ違うか分かります。夜勤の人数も、退去要件も、聞いてみると本当にバラバラです。

    次にやること

    日程の調整は、まとめて頼んでください。

    見学したい施設を選んで、日程を申し込む

    ※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームは対象外なので、特養も検討する場合は市区町村の窓口かケアマネジャーへ。

    3件を比べるための記録シート

    見学から帰ると、どこがどうだったか必ず混ざります。その場でメモを取り、家に帰ってから表に整理してください。

    項目 A施設 B施設 C施設
    月額(総額)
    一時金・初期償却率
    夜勤の人数
    看護師の体制
    退去要件
    通院の付き添い
    面会の制限
    におい
    職員の声かけ
    入居者の様子
    自宅からの距離
    総合

    数字と印象を分けて記録するのがコツです。数字は後から比較できますが、印象は時間が経つと薄れます。

    決め手になりやすい項目

    家族の状況によって、優先すべき項目が変わります。

    家族の状況 重視すべき項目
    遠方に住んでいる 通院の付き添い、緊急時の連絡体制
    働きながら介護 面会時間の柔軟さ、通院付き添いの有無
    医療的ケアが必要 看護師の体制、退去要件
    費用が厳しい 月額総額、値上げの実績、一時金の償却条件
    認知症がある 職員の声かけ、入居者の様子、夜勤体制

    すべてを満たす施設はありません。何を優先するかを、見学前に家族で決めておいてください。

    入居が決まってからやること

    見学して申し込み、受け入れが決まると、1〜2週間で入居というスケジュールになることがあります。

    やること 備考
    必要書類の準備 健康診断書、住民票、印鑑証明など。施設により異なる
    身元引受人を決める 契約時に必ず求められる
    日用品の準備 衣類、洗面用具、寝具(施設による)
    在宅サービスの解約 ケアマネジャーに依頼
    住所変更の手続き 施設に住民票を移すかは要相談
    医療機関への連絡 紹介状、お薬手帳の引き継ぎ

    衣類にはすべて名前を書く必要があります。数が多いので、早めに始めてください。

    そして、住んでいた家をどうするかという問題が同時に始まります。

    よくある質問

    見学に本人を連れて行くべきですか。

    可能なら連れて行ってください。本人と施設の相性は、実際に行かないと分かりません。ただし認知症が進んでいて混乱が予想される場合は、先に家族だけで下見をして、候補を絞ってから連れて行く方が負担が少ないことがあります。

    1件あたりどのくらい時間がかかりますか。

    30分から1時間程度です。移動時間を含めると、1日に回れるのは2〜3件が現実的です。

    見学に費用はかかりますか。

    かかりません。施設の見学は無料です。紹介サービス経由で申し込んでも費用は発生しません。

    予約なしで行ってもいいですか。

    必ず予約してください。担当者が不在だと、施設内を案内してもらえません。また、食事の時間帯を希望する場合は事前に伝えておくと調整してもらえます。

    何を持って行けばいいですか。

    この記事の12の質問をメモにしたもの、要介護認定の通知書(あれば)、お薬手帳のコピー、筆記用具です。その場でメモを取ってください。3件も回ると、どこがどうだったか必ず混ざります。

    施設側からはどんなことを聞かれますか。

    要介護度、認知症の有無と症状、医療的ケアの内容、服薬状況、経済状況、家族の連絡体制などです。答えられるように整理しておくと、判定が早く進みます。

    見学した施設が満室でした。どうすればいいですか。

    「系列の他の施設に空きはありますか」と聞いてください。全国の施設の68%は系列の他施設があり、43%は同じ市区町村内に系列を持っています。また、空室待ちの登録ができるかも確認しておいてください。

    見学の予約はどのくらい前に取ればいいですか。

    1週間前が目安です。施設側も担当者の予定を空ける必要があります。ただし急ぐ事情がある場合は、その旨を伝えれば数日以内に対応してもらえることもあります。複数施設を回るなら、同じ日に近い施設をまとめると効率的です。

    断られた理由を教えてもらえますか。

    聞けば教えてもらえることが多いです。理由が分かれば、次の施設選びの基準になります。医療的ケアが理由なら看護師常駐の施設を、症状が理由なら主治医に相談してから次を当たる、という判断ができます。

    家族の意見が割れたら、どうすればいいですか。

    見学に複数人で行ってください。同じ施設を見ても、印象は人によって違います。一人が見て報告するより、複数の目で見た方が納得が得られます。どうしても割れる場合は、「誰が主に対応するか」を基準にしてください。通院の付き添いや呼び出しに応じるのは、結局その人です。

    遠方の施設でも見学した方がいいですか。

    自宅から通える距離かどうかは、想像以上に重要です。入居後、体調不良や通院で呼び出されることがあります。片道2時間の施設だと、そのたびに1日が潰れます。費用や設備が多少良くても、距離が現実的でなければ続きません。

    契約を急かされたら、どうすればいいですか。

    その場で契約しないでください。「重要事項説明書を持ち帰って家族と相談します」と伝えて構いません。急かす施設は、それ自体が判断材料になります。

    この記事のデータについて

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

    同一施設が複数の指定区分で重複登録されているケースを、施設名と住所で名寄せして整理しています。公表データの「定員」欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用せず、施設の「数」のみを用いています。

    費用や退去要件は施設ごとに異なります。契約前には必ず重要事項説明書と契約書をご確認ください。

  • 認知症でも入れる施設はどこか|断られる本当の理由は3つ

    ※ 本ページはプロモーションを含みます。

    「認知症があると、施設に入れないのでは」

    そう心配される方が多いのですが、実際は逆です。認知症の方のために作られた施設が、全国に14,181か所あります。特別養護老人ホームの1.8倍です。

    問題は「入れるかどうか」ではありません。どの症状だと断られるのか、そしてどうやって探すのかです。

    この記事では、全国35,538施設の公的データをもとに、その2点をはっきりさせます。

    認知症の方が入れる施設は3種類ある

    種類 全国の施設数 月額の目安 特徴
    グループホーム 14,181 12〜20万円 認知症の方専用。5〜9人の小規模
    特別養護老人ホーム 10,444 5〜15万円 要介護3以上。費用は安いが待機あり
    介護付有料老人ホーム 4,693 15〜30万円以上 費用は高いが空きがあれば早い

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。特養は広域型7,916と地域密着型2,528の合計。

    最有力はグループホームです。認知症と診断された方だけが入る施設で、5〜9人が1つのユニットで暮らします。少人数で顔ぶれが変わらないため、認知症の方が混乱しにくい設計になっています。

    グループホームの入居条件

    3つの条件をすべて満たす必要があります。

    条件 内容 注意点
    医師の診断 認知症と診断されていること 診断書が必要。「もの忘れが多い」だけでは入れない
    要介護度 要支援2以上 要支援1では入れない
    住民票 その市区町村にあること 地域密着型のため。遠方の親は呼び寄せられない

    住民票の条件がいちばん見落とされます。

    「遠方の親を自分の近くのグループホームに」と考えても、そのままでは申し込めません。先に住民票を移す必要があります。

    住民票を移すと、介護保険の保険者もその市区町村に変わります。手続きは市区町村の窓口で相談してください。転居先での要介護認定の引き継ぎもあわせて確認が必要です。

    住民票を移さずに入れる施設

    呼び寄せを考えているなら、こちらが選択肢になります。

    種類 市外・県外から申し込めるか
    介護付有料老人ホーム できる
    特別養護老人ホーム(広域型・7,916件) できる
    介護老人保健施設 できる
    グループホーム できない
    地域密着型特養(2,528件) できない

    断られる本当の理由は「認知症」ではない

    認知症そのものを理由に断られることは、実はあまりありません。断られるのはこの3つです。

    理由 内容 対応
    医療的ケア たん吸引、経管栄養、インスリン、透析、酸素療法 看護師常駐の施設を探す。医療対応可の有料老人ホームか介護医療院
    症状の程度 暴力、大声、激しい徘徊 薬の調整で落ち着くことがある。主治医に相談してから施設を当たる
    要介護度 条件に合わない 特養は要介護3以上、GHは要支援2以上

    グループホームは看護師の配置義務がありません。そのため医療的ケアが必要な方は、ここで断られることが最も多くなります。

    見学や相談のときは、最初に正直に伝える

    隠して話を進めても、入居前の面談で必ず判明します。そのとき一からやり直しになる方が、ずっと消耗します。

    伝えるべきこと。

    • 医療的ケアの有無と内容(具体的に)
    • 認知症の症状(徘徊、暴言、昼夜逆転、失禁など)
    • 要介護度(認定前なら申請中と伝える)
    • 服薬の状況

    探すときの最大の障害

    ここからは、あまり語られていない話です。

    全国のグループホーム14,181施設を運営しているのは8,394法人。そのうち6,261法人(75%)は、施設を1つしか持っていません。

    運営主体の内訳はこうです。

    運営主体 割合
    営利法人(株式会社等) 55%
    社会福祉法人 23%
    医療法人 14%
    NPO法人 3%

    特養が社会福祉法人94%なのに対し、グループホームは営利法人が過半数です。ただしその多くは小規模な事業者で、大手チェーンばかりではありません。

    そして、この構造が探しにくさを生んでいます。

    グループホームの24.2%は、公式サイトを持っていません。

    これは高齢者向け住まいの中で最も高い数字です。特別養護老人ホームは3.4%ですから、7倍の差があります。

    種類 公式サイトがない割合
    グループホーム 24.2%
    介護付有料老人ホーム 10.2%
    介護老人保健施設 6.3%
    特別養護老人ホーム 3.4%

    つまり、いちばん選択肢が多いはずのグループホームが、いちばんネットで調べられないという状態です。

    小さな事業者が多く、ホームページを作る余力がないためです。運営の質とは関係ありません。ただ、探す側にとっては「比較する材料がない」という現実的な問題になります。

    サイトを持たない施設の情報も、紹介サービスは把握しています。

    ネットに出てこない施設を含めて、条件に合うところの資料をまとめて取り寄せられます。

    認知症に対応できる施設の資料を無料で請求する

    地域によって、調べられる度合いが3倍違う

    グループホームの情報開示は、都道府県によって大きく差があります。

    情報が出ていない県 HPなし率 GH数
    秋田県 39.5% 190
    茨城県 38.6% 267
    長崎県 38.2% 330
    宮崎県 38.2% 186
    青森県 37.3% 314
    情報が出ている県 HPなし率 GH数
    東京都 11.9% 714
    奈良県 13.2% 151
    新潟県 15.0% 286
    大阪府 15.1% 680
    長野県 15.5% 265

    秋田県では約4割がネットに情報を出していません。東京の3倍以上です。

    こうした地域では、自力でネットを検索しても選択肢の6割しか見えません。ケアマネジャーか紹介サービスを使わないと、実質的に探せないということになります。

    お住まいの地域に、いくつあるか

    グループホームは全国1,698の市区町村にあります。逆に言えば、191の市区町村にはグループホームが1つもありません。

    そして施設数の中央値は5施設です。半数の自治体では、選べる候補が5つ以下ということになります。

    参考までに、グループホームが多い自治体はこちらです。

    自治体 GH数
    愛媛県 松山市 131
    鹿児島県 鹿児島市 121
    北海道 旭川市 82
    岡山県 倉敷市 76
    広島県 福山市 74

    都市部にお住まいなら選択肢は多いですが、地方では「あるかないか」の世界です。まずお住まいの地域に何があるかを確認してください。

    施設に入る前に:認知症の方が使える在宅サービス

    施設だけが選択肢ではありません。在宅で続けるための仕組みもあります。

    サービス 全国の事業所数 ない自治体 内容
    認知症対応型デイサービス 2,951 888(47%) 少人数で認知症の方に合わせた通所
    小規模多機能型居宅介護 5,373 608(32%) 通い・訪問・泊まりを同じ事業所が提供
    看護小規模多機能型 1,142 1,332(71%) 上記に訪問看護が加わる

    認知症対応型デイサービスは、約半分の自治体に存在しません。

    通常のデイサービスより少人数で、認知症の方に合わせた対応をします。在宅で介護を続けながら、日中を預けることができる仕組みですが、地域差が非常に大きい領域です。

    小規模多機能型は、通い・訪問・泊まりを1つの事業所が組み合わせて提供します。急に泊まりに切り替えられるのが強みで、症状が不安定な認知症の方には向いています。

    在宅を続けるか施設に移るかは、これらの選択肢が地域にあるかどうかでも変わります。担当のケアマネジャーに確認してみてください。

    グループホームでの暮らし

    施設の種類が決まっても、実際どう過ごすのかが分からないという声をよく聞きます。

    1日の流れ(一般的な例)

    時間帯 内容
    起床、洗面、朝食の準備を一緒にする
    午前 掃除、洗濯、買い物などの家事に参加
    昼食。調理に関わることも
    午後 散歩、体操、レクリエーション、入浴
    夕方 夕食の準備
    就寝

    特徴は「家事に参加する」ことです。

    他の施設が「サービスを受ける」場所であるのに対し、グループホームはできることは自分でやるという設計になっています。米をとぐ、洗濯物をたたむ、テーブルを拭く。こうした役割があることが、認知症の進行を緩やかにすると考えられています。

    「何もしなくていいですよ」と言われる施設よりも、「一緒にやりましょう」と言う施設の方が、グループホームとしては適切です。見学のときに確認してみてください。

    費用の内訳

    項目 目安 備考
    家賃 3〜6万円 地域差が大きい
    食費 3〜5万円 1日3食
    光熱費 1〜2万円
    介護サービス費 2〜3万円 要介護度と自己負担割合による
    その他 1〜3万円 おむつ、医療費、理美容など
    月額合計 12〜20万円

    特養と違い、グループホームには食費・居住費の軽減制度(負担限度額認定)がありません。この点は費用を考えるうえで重要です。

    なお自治体によっては、家賃の一部を助成する制度を独自に設けている場合があります。市区町村の高齢福祉課に確認してみてください。

    よくある失敗

    失敗 なぜ起きるか 対策
    遠方の親をGHに呼び寄せようとした 地域密着型と知らない 住民票を先に移す。または広域型を選ぶ
    診断書がなくて申し込めなかった 「もの忘れ」で済ませていた 先に医師の診断を受ける
    医療的ケアを伝えずに進めた 断られるのが怖い 最初に伝える。必ず判明する
    ネットだけで探して候補が見つからない 24.2%が情報を出していない ケアマネか紹介サービスを使う
    症状が激しいまま施設を当たった 薬の調整をしていない 主治医に相談してから動く
    特養だけを待った 待機が長い GHと並行して検討する

    手続きの流れ

    段階 やること 備考
    1 医師の診断を受ける 認知症の診断書。GHには必須
    2 要介護認定を申請する 申請から結果まで原則30日
    3 ケアマネジャーを決める 地域の事情を把握している
    4 医療的ケアの有無を整理する 選択肢が大きく変わる
    5 住民票の場所を確認する GHは原則その市区町村のみ
    6 特養に申し込む(要介護3以上) 待機が長いので早めに
    7 GH・有料老人ホームの資料を取り寄せる まとめて請求できる
    8 見学する 最低3件

    まとめ:どう動くか

    1. まず医師の診断を確認する。グループホームには診断書が必要
    2. 医療的ケアの有無を整理する。たん吸引などがあると選択肢が絞られる
    3. 住民票のある市区町村を確認する。GHは原則そこだけ
    4. 並行して特養に申し込んでおく。待機が長いので早いほど有利
    5. 民間施設はまとめて資料請求する。サイトのない施設も含めて比較できる
    6. 在宅サービスの選択肢も確認する。地域にあれば施設入居を遅らせられる

    次にやること

    候補が2〜3か所に絞れたら、必ず見学してください。認知症の方の施設は、入居者の様子とスタッフの接し方に差が出ます。パンフレットでは分かりません。

    資料を取り寄せて、見学を申し込む

    ※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームはこのサービスの対象外です。特養は市区町村の窓口かケアマネジャーへ。

    よくある質問

    認知症の診断がないと、グループホームには入れませんか。

    入れません。医師による認知症の診断が必須です。「もの忘れが増えた」という状態では申し込めないため、まず医療機関を受診してください。かかりつけ医から、もの忘れ外来や認知症疾患医療センターを紹介してもらえます。

    要介護1ですが、グループホームに入れますか。

    入れます。グループホームは要支援2以上が対象なので、要介護1なら条件を満たします。ただし特別養護老人ホームは原則要介護3以上なので、そちらは対象外です。

    徘徊がひどいのですが、受け入れてもらえますか。

    程度によります。他の入居者の安全に関わるため、激しい場合は断られることがあります。ただし薬の調整や環境の変化で落ち着くケースも多いので、まず主治医に相談してください。症状が安定してから施設を当たる方が、話が進みます。

    たん吸引が必要ですが、グループホームは無理ですか。

    難しいことが多いです。グループホームには看護師の配置義務がありません。医療的ケアが必要な場合は、看護師が常駐する介護付有料老人ホーム、介護医療院、または医療対応可能な施設を探すことになります。

    遠方の親を、自分の近くのグループホームに入れたいのですが。

    そのままでは申し込めません。グループホームは地域密着型サービスで、原則としてその市区町村に住民票がある方が対象です。呼び寄せる場合は、先に住民票を移す必要があります。住民票を移さずに入れる施設としては、介護付有料老人ホーム、広域型の特養、老健があります。

    グループホームは何人くらいで暮らすのですか。

    5〜9人で1つのユニットを作り、共同生活をします。1施設あたり1〜2ユニットが一般的です。少人数で顔ぶれが変わらないことが、認知症の方の混乱を減らすとされています。

    認知症が進行したら、退去しなければなりませんか。

    施設によります。寝たきりになった、医療的ケアが常時必要になったといった場合に退去要件に該当することがあります。契約前に「どういう状態になったら退去をお願いされますか」を必ず確認し、契約書のどこに書いてあるかまで見ておいてください。

    見学のとき、どこを見ればいいですか。

    入居者の様子とスタッフの接し方です。認知症の方の施設は、ここに差が出ます。入居者が全員テレビの前に座らされていないか、スタッフが子ども扱いしていないか、何か役割を持って動いている方がいるか。できれば食事や家事の時間帯に行ってください。生活の実態がいちばん出ます。

    空きがないと言われました。どうすればいいですか。

    「系列の他の施設に空きはありますか」と聞いてください。全国のグループホームのうち、複数施設を運営する法人が持つものが少なくありません。1件断られたからといって、その法人との話が終わるわけではありません。また、空室待ちの登録ができるかも確認してください。

    費用は特養より高いですか。

    一般的にはグループホームの方が高くなります。特養が月5〜15万円に対し、グループホームは12〜20万円が目安です。ただし特養は要介護3以上・待機ありという条件があるため、単純な比較はできません。所得が低い場合、特養には食費・居住費の軽減制度(負担限度額認定)があります。

    この記事のデータについて

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

    同一施設が複数の指定区分で重複登録されているケースを、施設名と住所で名寄せして整理しています。公表データの「定員」欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用せず、施設の「数」のみを用いています。都道府県別の比率はグループホーム150件以上の県で算出しています。

    受け入れ条件は施設ごとに異なります。実際の可否は各施設にご確認ください。制度の内容は改正により変更される場合があります。

  • 特養の待機期間は本当に長いのか|1施設だけの自治体が401ある

    ※ 本ページはプロモーションを含みます。

    「特養は何年も待つ」と言われます。実際、地域によっては数年かかります。

    ただ、待機期間は住んでいる場所によってまったく違います。そして「申し込んでも無駄だ」と諦めてしまうのは、最ももったいない判断です。

    この記事では、全国10,444か所の特養の公的データをもとに、待機の実態と、待つ間にやるべきことを整理します。

    特養は全国に10,444か所ある

    種類 施設数 定員規模 申込みできる人
    特別養護老人ホーム(広域型) 7,916 30人以上 要介護3以上。市外・県外からも可
    地域密着型特養 2,528 29人以下 要介護3以上。原則その市区町村の住民のみ

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。

    この2つを分けて考えていない人が多いのですが、重要な違いです。

    広域型は市外・県外からでも申し込めます。地域密着型は住民票がその市区町村にある人だけ。

    つまり親を呼び寄せたい場合、地域密着型の2,528か所は最初から対象外になります。使えるのは全体の76%です。

    逆に言えば、今住んでいる場所の特養なら、地域密着型も含めて申し込めます。選択肢が増えます。

    地域差がすべて

    全国1,889市区町村のうち、特養がある自治体は1,798。91の自治体には1つもありません。

    そして施設数の中央値は3施設。さらに、401の市区町村には特養が1つしかありません。

    都道府県別の施設数

    特養が多い県 施設数
    東京都 593
    大阪府 566
    千葉県 479
    埼玉県 470
    北海道 470
    特養が少ない県 施設数
    鳥取県 48
    佐賀県 61
    高知県 64
    徳島県 79
    沖縄県 81

    「1施設しかない自治体」が多い県

    都道府県 特養が1施設だけの自治体数
    北海道 102
    長野県 27
    福島県 22
    沖縄県 17
    青森県 12

    北海道は102の自治体で特養が1施設しかありません。さらに11の自治体には1つもない。

    こうした地域では「複数申し込んで比較する」という戦略が取れません。その1施設に空きが出るまで待つか、隣接する自治体の広域型に申し込むかになります。

    つまり──

    • 都市部:候補が多く、複数申し込める。競争率は高いが回転もある
    • 地方:候補が1〜3か所。空きが出るまで動かない

    「特養は何年待ち」という一般論が意味を持たないのは、この差があるからです。あなたの地域に何か所あるかで、話がまったく変わります。

    待機期間が長くなる本当の理由

    特養は先着順ではありません。必要度の高い人から入ります。

    各施設が点数をつけて順位を決めています。評価されるのは主にこの4点です。

    評価される点 内容
    要介護度 重いほど優先
    介護者の状況 独居、高齢の配偶者のみ、家族が病気・障害など
    在宅サービスの利用状況 限度額いっぱい使っていても足りていないか
    住まいの状況 階段しかない、風呂に入れない、火の始末が危険など

    つまり「困っている度合い」で決まります。

    ここが重要です。申し込んだときの状況が、そのまま順位になるわけではありません。状況が変われば順位は変わります。

    だから──

    状況が悪化したら、必ず施設に連絡して申込内容を更新してください。

    要介護度が上がった、介護している配偶者が入院した、徘徊が始まった、火を消し忘れるようになった。こうした変化を伝えていないと、古い情報のまま順位がつき続けます。

    申し込んだことを忘れて何年も放置し、いつまでも順番が来ないケースは、これが原因のことがあります。

    いま申し込むべき3つの理由

    入居する気がまだ固まっていなくても、申し込みだけは今しておくべきです。

    1. 申込みは無料で、複数の施設に出せる

    1か所に絞る必要はありません。通える範囲の特養すべてに出しておいて構いません。

    1. 順番が来ても断れる

    打診が来たときに「今は在宅で大丈夫です」と断ることができます。ただし施設によっては、断ると順位が下がる、または申込みが取り消される場合があります。断ったときの扱いを、申込時に確認しておいてください。

    1. 状況は必ず変わる

    親の状態も、介護する側の状況も、確実に変化します。そのときゼロから申し込むのと、既に申し込んで数年経っているのとでは、まったく違います。

    待っている間にやること

    待機中を「何もできない期間」にしないでください。やるべきことがあります。

    やること 理由
    在宅サービスを限度額まで使う 使い切ってもなお厳しい、という記録が必要性の証明になる
    ショートステイを定期的に使う 介護者が休める。本人も施設に慣れる
    状況が変わったら申込内容を更新 これをしないと順位が動かない
    負担限度額認定を申請する 該当すれば月額が数万円下がる
    民間施設も並行して見ておく 特養一本は危険

    在宅サービスを使い切る

    これは順位にも影響します。サービスを使い切ってもなお在宅が厳しい、という記録が必要性の証明になります。遠慮して使っていないと、「まだ余裕がある」と判断されかねません。

    ケアマネジャーに「使える上限まで使いたい」と伝えてください。

    ショートステイを組み込む

    数日〜1週間の宿泊です。全国に14,963か所あり、ゼロの自治体は83だけなので、比較的どの地域でも使えます。

    介護する側が休めますし、親も施設での生活に慣れます。急な入所になったときの適応が違います。

    「限界が来たら使う」ではなく、最初から月に数日を予定に入れてください。家族が倒れてからでは予約が取れません。

    家族の分担を決めておく

    入所の連絡が来てから慌てないよう、待機中に決めておくことがあります。

    決めておくこと 理由
    誰が手続きの窓口になるか 施設からの連絡先を一本化する
    費用を誰がどう負担するか 兄弟間で後から揉める最大の原因
    身元引受人を誰にするか 入所時に必ず求められる
    荷物の準備を誰がするか 1〜2週間で用意することになる

    費用の分担は、口約束にせず記録に残してください。「親の年金から出す」「足りない分は長男が」といった取り決めが曖昧なまま数年経つと、相続の際に必ず問題になります。

    民間施設も並行して見ておく

    これが一番大事です。特養だけを待って、他を何も見ていない状態が最も危険です。

    在宅が限界に来たとき、特養の順番はまだ来ていない。その状況で慌てて探すと、費用も条件も妥協した選択になります。

    資料の取り寄せは無料です。すぐに入居する必要はありません。費用の目安を知っておくだけでも、判断の速さが変わります。

    特養を待ちながら、民間施設の候補も確保しておく

    費用の目安と、下げる方法

    種類 入居一時金 月額の目安
    特別養護老人ホーム なし 5〜15万円
    介護老人保健施設 なし 8〜15万円
    グループホーム 0〜数十万円 12〜20万円
    介護付有料老人ホーム 0〜数千万円 15〜30万円以上

    特養が安いのは、運営の94%が社会福祉法人という公的な性格によるものです。この差が待機を生んでいるとも言えます。

    負担限度額認定を必ず申請する

    これを知らずに損している方が多い制度です。

    所得と資産が一定以下の場合、特養・老健・ショートステイの食費と居住費が軽減されます。

    制度名 介護保険負担限度額認定
    申請先 市区町村の窓口
    注意 申請しないと適用されない。自動では適用されない
    効果 該当すると月額が数万円下がることがある

    判定には預貯金額も含まれます。詳しい要件は市区町村によって案内が異なるので、まず窓口で「負担限度額認定を受けられますか」と聞いてください。

    特養に申し込むときに必ず確認すべき項目です。

    申込書に何を書くかで、順位が変わる

    特養の申込書には、必ず「介護の状況」を書く欄があります。ここの書き方で順位が変わります。

    多くの方が遠慮して控えめに書きますが、これは謙遜する場面ではありません。事実を漏れなく書いてください。

    書き忘れが多い項目

    項目 書くべき内容の例
    夜間の状況 「夜間2〜3回起こされる」「昼夜が逆転している」
    排泄 「失禁がある」「トイレの場所が分からなくなる」
    火の始末 「鍋を焦がしたことが○回」「ガスを消し忘れる」
    徘徊 「外に出て戻れなくなったことが○回」「警察に保護された」
    介護者の状況 「介護者も○歳」「持病がある」「フルタイムで働いている」
    住まいの構造 「2階に寝室があり階段の上り下りが危険」「風呂に手すりがない」
    家族の距離 「子は片道○時間の距離」「近隣に頼れる親族がいない」

    回数や時間を具体的な数字で書くと、状況が伝わります。「時々」ではなく「週に2回」と書いてください。

    医師の意見書と食い違わないようにする

    申込書の内容が、主治医の意見書や認定調査の結果と大きく食い違うと、信頼性を疑われることがあります。

    受診時に、家庭での様子を医師に伝えておいてください。診察室では本人がしっかり受け答えできてしまい、実態が伝わらないことがよくあります。メモにして渡すのが確実です。

    特養以外に、費用を抑えられる選択肢

    特養を待つ間、あるいは要介護度が足りない場合に検討できる選択肢があります。

    種類 施設数 月額 特徴
    介護老人保健施設 3,994 8〜15万円 一時金なし。原則3〜6か月
    軽費老人ホーム(ケアハウス) 575 6〜15万円 所得に応じた軽減あり。要介護認定なしでも可のタイプあり
    地域密着型特養 2,528 5〜15万円 住民票がその市区町村にあれば申込可

    軽費老人ホーム(ケアハウス)はほとんど知られていません。575施設しかなく、1,511の市区町村には存在しません。ただし地域にあれば、特養の待機中の住まいとして有力な選択肢になります。

    90%が社会福祉法人の運営で、公式サイトを持っている施設が96.2%と情報も比較的出ています。市区町村の高齢福祉課に問い合わせてみてください。

    よくある失敗

    失敗 なぜ起きるか 対策
    申し込んだまま放置して順番が来ない 状況変化を伝えていない 変化があるたび施設に連絡
    1か所しか申し込んでいない 遠慮している 通える範囲すべてに出す
    特養だけを待って他を見ていない 「安いから」 民間施設の候補も確保
    負担限度額認定を申請していない 制度を知らない 市区町村の窓口で確認
    在宅サービスを遠慮して使っていない 迷惑をかけたくない 使い切ることが必要性の証明になる
    呼び寄せ先の地域密着型に申し込もうとした 住民票の条件を知らない 広域型(76%)を選ぶ

    手続きの流れ

    段階 やること 備考
    1 要介護認定を受ける 特養は原則要介護3以上
    2 ケアマネジャーに相談 申込みを代行してもらえる
    3 通える範囲の特養をリストアップ 広域型・地域密着型を区別する
    4 複数の施設に申し込む 無料。何か所でも可
    5 負担限度額認定を申請 市区町村の窓口
    6 在宅サービスを使い切る 限度額まで
    7 状況が変わるたび申込内容を更新 これを忘れない
    8 並行して民間施設の候補も確保 限界が来る前に

    まとめ

    1. 今すぐ申し込む。無料で、複数出せて、断れる
    2. 通える範囲の特養すべてに出す。1か所に絞らない
    3. 状況が変わったら必ず更新の連絡をする。これをしないと順位が動かない
    4. 待つ間に在宅サービスを使い切る。それ自体が必要性の証明になる
    5. 負担限度額認定を申請する。申請しないと適用されない
    6. 民間施設も並行して見ておく。特養一本は危険

    次にやること

    特養の申込みは市区町村の窓口か、施設に直接です。担当のケアマネジャーがいれば、まずその方に相談してください。手続きを代行してもらえます。

    そして並行して、民間施設の候補を確保しておいてください。

    条件に合う施設の資料を取り寄せる

    ※ 無料で利用できます。この紹介サービスで特別養護老人ホームは扱っていません。特養の申込みは市区町村の窓口へ。両方やってください。

    よくある質問

    要介護2ですが、特養に申し込めますか。

    原則は要介護3以上です。ただしやむを得ない事情がある場合は「特例入所」が認められることがあります。認知症で常時見守りが必要、家族から虐待の恐れがある、単身で在宅生活が困難といった場合です。市区町村にご相談ください。

    何か所まで申し込めますか。

    制限はありません。通える範囲の特養すべてに申し込んで構いません。申込みは無料です。ただし施設ごとに申込書の様式が違うため、手間はかかります。ケアマネジャーに相談すれば代行してもらえます。

    順番が来たけれど、まだ在宅で大丈夫です。断れますか。

    断れます。ただし施設によっては順位が下がる、または申込みが取り消される場合があります。申込時に「一度断った場合どうなりますか」を確認しておいてください。

    申し込んでから3年経ちますが、連絡がありません。

    まず申込みが有効かどうかを施設に確認してください。施設によっては定期的な更新が必要な場合があります。あわせて、この3年で状況が変わっていれば必ず伝えてください。要介護度が上がった、介護者の状況が変わったといった情報が反映されていないと、古い順位のままです。

    遠方の親を、自分の近くの特養に申し込めますか。

    広域型(7,916施設)なら申し込めます。市外・県外からの申込みが可能です。ただし地域密着型(2,528施設)は、その市区町村に住民票がある方のみです。呼び寄せを考えている場合は、広域型を中心に探してください。

    費用はどのくらいですか。

    月5〜15万円が目安です。要介護度、居室のタイプ(多床室かユニット型個室か)、所得によって変わります。所得が低い場合は負担限度額認定を申請すると、食費と居住費が軽減されます。申請しないと適用されないので、必ず市区町村の窓口で確認してください。

    入所したあと、退所になることはありますか。

    あります。長期入院した場合や、医療的ケアが施設の対応範囲を超えた場合などです。特養は原則として終身利用できる施設ですが、契約書の退所要件は必ず確認してください。

    入所の連絡は、どのくらい前に来ますか。

    施設によりますが、1週間から2週間程度前が一般的です。急に「来週から」と言われることもあります。日用品の準備、住民票や保険証の手続き、在宅サービスの解約など、やることが一度に来ます。待機中にリストを作っておくと慌てずに済みます。

    老健とはどう違いますか。

    老健は在宅復帰を目指す施設で、原則3〜6か月の期限があります。リハビリの体制があり、退院後に自宅へ戻る準備をする場所です。一方特養は生活の場で、期限はありません。目的が違うので、状況に応じて使い分けます。

    この記事のデータについて

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

    同一施設が複数の指定区分で重複登録されているケースを、施設名と住所で名寄せして整理しています。公表データの「定員」欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用せず、施設の「数」のみを用いています。

    入所判定の基準と待機期間は施設・自治体によって異なります。費用の目安は一般的な水準であり、実際の金額は所得区分等により変わります。特例入所や負担限度額認定の要件は制度改正により変更される場合があります。最新の内容は市区町村にご確認ください。

  • 老人ホームの種類と費用を一覧比較|特養・有料・グループホーム

    ※ 本ページはプロモーションを含みます。

    親の施設を探し始めると、まず種類の多さでつまずきます。特養、老健、有料老人ホーム、グループホーム、サ高住。名前が似ていて、何がどう違うのか分かりません。

    そして種類を理解しても、次に「うちの地域にはどれがあるのか」で止まります。

    この記事では、全国35,538施設の公的データを実際に集計した結果をもとに、種類ごとの違い、費用の目安、そして住んでいる地域によって選択肢がどれだけ変わるかをお伝えします。

    施設は9種類あるが、実際に検討するのは4つ

    介護保険の対象になる高齢者の住まいは、制度上9種類あります。ただし全国の施設数を数えると、実際に選択肢になるのはこの4つです。

    種類 全国の施設数 主な対象 入居一時金 月額の目安
    グループホーム 14,181 認知症と診断された人 0〜数十万円 12〜20万円
    特別養護老人ホーム 7,916 要介護3以上 なし 5〜15万円
    介護付有料老人ホーム 4,693 費用を出せる人 0〜数千万円 15〜30万円以上
    介護老人保健施設 3,994 退院後にリハビリする人 なし 8〜15万円

    残りの5種類は施設数が限られるか、条件が特殊です。

    種類 施設数 特徴
    地域密着型特養 2,528 定員29人以下。その市区町村の住民のみ
    介護医療院 933 医療的ケアが常時必要な人
    サービス付き高齢者向け住宅 662 比較的自立度が高い人(※)
    軽費老人ホーム(ケアハウス) 575 低所得の人。所得に応じた軽減あり
    介護療養型医療施設 56 廃止方針。新規はほぼない

    ※ ここでの662件は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたサ高住のみです。指定を受けていないサ高住はこのデータに含まれません。

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。

    意外に思われるかもしれませんが、いちばん数が多いのはグループホームです。特養の1.8倍あります。認知症の診断があるなら、ここが最有力の選択肢になり得ます。

    費用が違う理由は、運営している組織が違うから

    同じ「老人ホーム」でも、運営主体がまったく違います。

    種類 社会福祉法人 営利法人(株式会社等) 医療法人
    特別養護老人ホーム 94% 0% 0%
    介護付有料老人ホーム 7% 83% 7%

    特養は社会福祉法人にしか運営が認められていません。公的な補助を受けて建てられ、費用が抑えられている代わりに、要介護3以上という条件と待機があります。

    有料老人ホームは民間サービスです。費用は高いが、空きがあれば早く入れる。

    この構造の違いが、そのまま費用差になっています。

    月額に含まれるもの、含まれないもの

    月額の中身は、どの施設でも概ね同じ項目で構成されます。

    項目 内容 パンフレットの月額に含まれるか
    家賃(居住費) 部屋の広さと立地で変わる 含まれる
    管理費 共用部の維持、事務費 含まれる
    食費 1日3食 含まれる
    介護サービス費 介護保険の自己負担分(1〜3割) 含まれないことがある
    おむつ代 使用量による 含まれないことが多い
    医療費・薬代 通院、往診 含まれない
    理美容代 訪問理美容 含まれない
    レクリエーション費 外出行事など 含まれないことが多い

    「その他」が曲者です。パンフレットの月額に含まれていないことが多く、実際は月2〜5万円上振れします。見学時には必ず「これ以外に毎月かかるものを全部教えてください」と聞いてください。

    住んでいる地域で、選択肢の構成がまったく違う

    ここからは他ではあまり語られていない話です。

    各都道府県の高齢者向け住まいのうち、特養(広域型+地域密着型)が占める割合を計算しました。

    特養の割合が低い県 割合
    佐賀県 17.7%
    高知県 19.7%
    鳥取県 21.4%
    神奈川県 22.0%
    特養の割合が高い県 割合
    山梨県 47.4%
    栃木県 40.9%
    山形県 40.1%
    滋賀県 39.5%

    山梨県は施設の47.4%が特養。神奈川県は22.0%。倍以上の差があります。

    さらに、費用を抑えられる4種類(特養・地域密着型特養・老健・ケアハウス)で見ると差はもっと明確です。

    都道府県 低費用系の割合
    佐賀県 29.3%
    神奈川県 31.7%
    東京都 32.4%
    (全国平均) 42.2%
    岩手県 53.9%
    茨城県 55.4%
    山梨県 61.0%

    東京都32.4%に対して山梨県61.0%。

    都市部では、施設数こそ多いものの、その3分の2が民間の有料老人ホームやグループホームです。「選択肢は多いが、安い選択肢は少ない」という構造になっています。

    つまり「うちの親は年金だけで入れますか」という問いへの答えは、住んでいる場所によって変わります。

    種類によって「調べられる度合い」が7倍違う

    全国35,538施設について、公式サイトを持っているかどうかを調べました。

    種類 施設数 公式サイトがない割合
    グループホーム 14,181 24.2%
    介護療養型医療施設 56 19.6%
    介護医療院 933 11.1%
    サービス付き高齢者向け住宅 662 11.0%
    介護付有料老人ホーム 4,693 10.2%
    介護老人保健施設 3,994 6.3%
    地域密着型特養 2,528 5.0%
    軽費老人ホーム 575 3.8%
    特別養護老人ホーム 7,916 3.4%

    特養はほぼ全施設がサイトを持っています(96.6%)。一方、グループホームは4施設に1つがサイトを持っていません。

    これは探す側にとって、かなり実際的な問題です。

    サイトがなければ、料金表も、職員の体制も、建物の様子も、日々の過ごし方も、電話をかけて資料を取り寄せるまで一切分かりません。候補を絞り込む前の段階で、比較すらできない。

    グループホームは小規模な事業者が多く、ホームページを作る余力がないケースが目立ちます。運営が悪いという意味ではありません。ただ、「調べてから選ぶ」ができないという事実は、探し方を変える必要があることを意味します。

    サイトを持たない施設の情報も、紹介サービスは把握しています。

    ネットに出てこない施設を含めて、条件に合うところの資料をまとめて取り寄せられます。

    条件に合う施設の資料を無料で請求する

    地域によっても4倍の差がある

    公式サイトを持たない施設の割合は、都道府県によっても大きく違います。

    情報が出ていない県 割合
    青森県 26.8%
    鹿児島県 24.5%
    高知県 24.3%
    情報が出ている県 割合
    東京都 6.3%
    奈良県 7.1%
    新潟県 7.7%

    全国平均は13.4%です。同じ日本国内でも、「調べてから選べる地域」と「電話するまで分からない地域」があります。

    種類によって、探し方を変える

    上のデータから導かれる結論はこうです。

    種類 探し方
    特別養護老人ホーム 市区町村の窓口かケアマネジャー。紹介サービスでは扱われない
    介護老人保健施設 病院の地域連携室、またはケアマネジャー
    介護付有料老人ホーム ネットで下調べできる。紹介サービスで比較が早い
    グループホーム ネットで比較しようとしない。ケアマネか紹介サービス経由

    グループホームを検討するなら、ネットで比較しようとしないでください。4件に1件は情報がなく、時間の無駄になります。

    代わりに、次のどちらかを使ってください。

    • 担当のケアマネジャーに聞く — 地域のグループホームの内情を、いちばんよく知っている立場です
    • 紹介サービスでまとめて資料を取り寄せる — サイトのない施設の情報も持っています

    よくある失敗

    施設探しで実際に起きている失敗です。

    失敗 なぜ起きるか 対策
    特養だけを待って他を見ていない 「安いから」と待機する 待つ間に民間施設の候補も確保する
    月額だけ見て契約した その他費用が含まれていない 「毎月かかるものを全部」と聞く
    一時金の償却条件を確認しなかった 契約書の計算式が分かりにくい 「1年で退去したらいくら戻るか」を書面で
    医療的ケアを伝えなかった 断られるのが怖い 最初に伝える。後で必ず判明する
    1件しか見学しなかった 時間がない 最低3件。比較しないと判断できない
    遠方の親を呼び寄せようとした グループホームは地域密着型 住民票を先に移す必要がある

    最後の項目は特に見落とされます。グループホームと地域密着型特養は、原則としてその市区町村に住民票がある人しか入れません。親を自分の近くに呼び寄せたい場合、そのままでは申し込めません。

    大手が強い地域と、地域法人が中心の地域

    もう一つ、データから見える構造があります。

    1法人あたりの施設数を都道府県別に見ると、大手が複数施設を持っている地域と、地域の法人が1施設ずつ運営している地域に分かれます。

    都道府県 施設数 運営法人数 1法人あたり
    東京都 2,478 1,042 2.38
    神奈川県 2,076 895 2.32
    新潟県 777 369 2.11
    埼玉県 1,649 790 2.09
    長野県 731 359 2.04

    全国では17,430法人が35,538施設を運営しており、そのうち11,155法人(64%)は施設を1つしか持っていません。

    これが実務上どう効くか。

    複数施設を持つ法人なら、1つが満室でも系列の別施設を紹介してもらえます。全国で見ると、施設の68%は系列の他施設があり、43%は同じ市区町村内に系列を持っています。

    見学で断られたとき、「系列の他の施設は空いていますか」と聞く価値があるということです。

    手続きの流れ

    段階 やること 期間の目安
    1 要介護認定を申請する 申請から結果まで原則30日
    2 ケアマネジャーを決める 認定後すぐ
    3 施設の種類を絞る
    4 特養に申し込む(該当者) 随時。待機は地域により数か月〜数年
    5 民間施設の資料を取り寄せる 数日
    6 3〜5件を見学する 1〜2週間
    7 重要事項説明書を持ち帰って読む
    8 契約・入居

    4と5は並行してください。特養だけを待って他を見ていない状態が、最も危険です。在宅が限界に来たときに順番が来ていないと、空いている施設に入るしかなくなります。

    まとめ:どう選ぶか

    1. 認知症の診断があるなら、まずグループホームを検討する。数がいちばん多い。ただしネットでは比較できないので、ケアマネか紹介サービスを使う
    2. 要介護3以上で費用を抑えたいなら、特養。待機はあるが、申し込んでおいて損はない。サイトがある施設がほとんどなので事前に比較できる
    3. 早く入りたい、費用が出せるなら、介護付有料老人ホーム。空きがあれば動きが早い
    4. 退院後で在宅復帰を目指すなら、老健。ただし原則3〜6か月の期限がある
    5. 住民票の場所を確認する。グループホームと地域密着型特養は、その市区町村の住民のみ
    6. 地域によって選択肢の構成が違う。まず自分の地域に何があるか調べる

    次にやること

    種類が決まったら、同じ種類の施設を最低3件は見てください。1件だけでは、それが良いのか悪いのかを判断する基準がありません。

    資料の取り寄せと見学の日程調整は、まとめて頼めます。1件ずつ電話をかける必要はありません。

    資料を取り寄せて、見学を申し込む

    ※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームはこのサービスの対象外なので、特養も検討する場合は市区町村の窓口かケアマネジャーに並行して相談してください。

    よくある質問

    特養と有料老人ホーム、どちらに申し込むべきですか。

    両方です。特養は費用が安い代わりに待機があり、いつ順番が来るか分かりません。有料老人ホームは空きがあれば早く入れます。特養に申し込んだうえで、民間施設の候補も持っておくのが現実的です。

    要介護1でも入れる施設はありますか。

    あります。介護付有料老人ホームは要支援から受け入れる施設があり、グループホームは要支援2以上が対象です。特養は原則要介護3以上ですが、やむを得ない事情がある場合は特例入所が認められることがあります。市区町村にご相談ください。

    遠方に住む親を、自分の近くの施設に入れられますか。

    施設の種類によります。介護付有料老人ホーム、特別養護老人ホーム(広域型)、老健は、市外・県外からでも申し込めます。一方、グループホームと地域密着型特養は、原則としてその市区町村に住民票がある人のみです。呼び寄せる場合は住民票の移動が先になります。

    入居を断られることはありますか。

    あります。主な理由は3つで、医療的ケア(たん吸引・経管栄養・インスリンなど)、認知症の症状の程度、要介護度が条件に合わないことです。認知症そのものを理由に断られることは、実はあまりありません。

    月額15万円と書いてありますが、本当にそれだけですか。

    多くの場合、それだけでは済みません。おむつ代、医療費、理美容代、レクリエーション費などが別途かかり、実際は月2〜5万円上振れすることが一般的です。見学時に「これ以外に毎月かかるものを全部教えてください」と聞いてください。

    資料請求は無料ですか。しつこく営業されませんか。

    無料です。紹介サービスは入居が決まったときに施設から手数料を受け取る仕組みなので、利用者の負担はありません。営業の程度は事業者によりますが、「まだ検討段階です」と最初に伝えておくと、頻度は下がります。

    入居してから合わないと分かったら、どうすればいいですか。

    入居から90日以内なら、一時金は全額返還されます(短期解約特例)。実際に居住した日数分の費用は差し引かれますが、初期償却分も返ってきます。合わないと感じたら、この期間内に判断してください。

    サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は選択肢になりませんか。

    なります。この記事の表に含めた662件は「特定施設入居者生活介護」の指定を受けたサ高住のみです。指定を受けていないサ高住は、介護サービスを外部から個別に契約する住宅で、このデータには含まれていません。実際のサ高住の総数はこれより多く、比較的自立度が高い方には有力な選択肢です。

    特養に申し込んだのに、何年も連絡が来ません。

    特養は先着順ではなく、必要度の高い人から入る仕組みです。申し込んだときの状況で順位がつくため、その後に状態が悪化しても、伝えていなければ順位は変わりません。要介護度が上がった、介護している家族が入院したなどの変化があれば、必ず施設に連絡して申込内容を更新してください。

    この記事のデータについて

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

    同一施設が複数の指定区分で重複登録されているケースを、施設名と住所で名寄せして整理しています。公表データの「定員」欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用せず、施設の「数」のみを用いています。都道府県別の比率は施設数200件以上の県で算出しています。

    費用の目安は一般的な水準を示したもので、実際の金額は施設・地域・所得区分によって変わります。正確な費用は各施設にご確認ください。制度の内容は改正により変更される場合があります。