カテゴリー: 在宅介護

家で介護を続けるためのサービスと、地域による選択肢の違い。

  • 訪問介護が見つからない理由|事業所の4割はネットに出ていない

    ※ 本ページはプロモーションを含みます。

    「ヘルパーさんに来てもらいたいのに、どこも空きがないと言われる」

    在宅介護を始めた方から、いちばんよく聞く困りごとです。

    事業所の数が足りないわけではありません。訪問介護は全国に35,044事業所あり、介護サービスの中で最多です。それでも見つからない。理由は別のところにあります。

    全国215,404の介護事業所を集計したデータから、その構造をお伝えします。

    訪問介護で何をしてもらえるか

    まず整理しておきます。訪問介護は大きく2つに分かれます。

    区分 内容 時間の目安
    身体介護 入浴、排泄、食事、着替え、体位変換、通院の付き添い 20分〜1時間以上
    生活援助 調理、洗濯、掃除、買い物、薬の受け取り 20分〜45分以上

    そして「できないこと」があります。ここを知らずに頼んで断られるケースが多くあります。

    できないこと 理由
    本人以外の食事を作る 本人へのサービスに限られる
    本人が使わない部屋の掃除 同上
    庭の草むしり、ペットの世話 日常生活の援助の範囲外
    大掃除、窓拭き、家具の移動 日常的な家事の範囲外
    金銭の管理、預貯金の引き出し 原則不可
    家族の分の買い物 本人の分のみ
    医療行為 一部を除き不可

    同居家族がいる場合、生活援助は原則使えません。やむを得ない事情(家族が働いている、病気、障害があるなど)があれば認められますが、ケアマネジャーが理由をプランに記載する必要があります。

    事業所は多い。でも1つひとつが小さい

    全国の訪問介護事業所35,044か所を運営しているのは24,670法人です。そのうち──

    21,702法人(88%)が、事業所を1つしか運営していません。

    つまり大半が、数人から十数人のヘルパーで回している小さな事業所です。大手チェーンのようにヘルパーを融通し合える体制ではありません。

    1人が辞めると、その分の稼働がそのまま消えます。だから「空きがない」と言われる。事業所の数の問題ではなく、1事業所あたりの余力の問題です。

    地域の分布

    全国の事業所数 35,044
    存在する自治体 1,775
    ゼロの自治体 114
    1自治体あたりの中央値 7事業所
    1事業所しかない自治体 286

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。

    286の自治体では事業所が1つだけ。そこが埋まっていれば、選択肢がありません。

    そして、40%はネットに情報を出していない

    訪問介護事業所の40.2%は、公式サイトを持っていません。

    これは全サービス種別の中でも高い数字です。参考までに、特別養護老人ホームは3.4%です。

    理由は上と同じで、小規模な事業所が多いためです。ホームページを作る余力も、その必要性もない。多くはケアマネジャーからの紹介だけで利用者が埋まります。

    地域差は2倍

    情報が出ていない県 事業所数 HPなし率
    大阪府 5,096 54.2%
    和歌山県 574 53.7%
    三重県 582 48.1%
    宮崎県 444 48.0%
    情報が出ている県 事業所数 HPなし率
    東京都 2,951 28.0%
    新潟県 361 28.3%
    長野県 468 29.5%
    神奈川県 2,111 32.8%

    大阪府は事業所数5,096で全国最多なのに、半数以上がネットに情報を出していません。数の多さと調べやすさは、まったく別の話です。

    つまりネットで「地域名+訪問介護」と検索しても、事業所の4割はそもそも出てきません。自力で探そうとすると、最初から6割しか見えていない状態になります。

    だから、ケアマネジャー経由が基本

    訪問介護を探す正しい方法は、担当のケアマネジャーに依頼することです。

    ケアマネジャーは地域の事業所と日常的にやり取りしていて、どこに空きがあるか、どこが何を得意としているかを把握しています。ネットに出ていない事業所も知っています。

    もしケアマネジャーがまだ決まっていないなら、地域包括支援センターへ。市区町村が設置している無料の相談窓口です。

    それでも見つからないときの6つのコツ

    ケアマネジャーに頼んでも決まらない場合、条件の出し方を変えると動くことがあります。

    1. 曜日と時間帯を広げる

    平日の午前中に希望が集中します。多くの家庭が同じ時間を求めるためです。

    時間帯 混み具合
    平日 8〜11時 最も混む(起床、朝食、排泄の介助)
    平日 11〜14時 混む(昼食)
    平日 14〜17時 比較的空いている
    平日 17〜19時 混む(夕食)
    土日 比較的空いている

    「この時間でないと駄目」を一度外して、可能な範囲を全部伝えてください。

    2. 短時間から始める

    いきなり週3回・1回2時間を求めると、受け手が限られます。週1回・30分から始めて、関係ができてから増やす方が入りやすいです。

    3. 複数の事業所を組み合わせる

    1つの事業所ですべての曜日を埋める必要はありません。月水は A 事業所、金は B 事業所、という組み方ができます。ケアマネジャーに「複数でも構いません」と伝えてください。

    4. 隣接する市区町村も対象に入れる

    訪問介護は地域密着型ではないため、市外の事業所も利用できます。(訪問できる距離であれば)

    自宅が市境に近い場合、隣の市の事業所の方が近いこともあります。

    5. 小規模多機能型を検討する

    通い・訪問・泊まりを1つの事業所がまとめて提供します。「訪問だけ」で探すより枠が取りやすいことがあります。

    ただし全国5,373か所で、608自治体(32%)には存在しません。地域にあるかは確認が必要です。

    6. 定期巡回を確認する

    1日複数回の短時間訪問と、緊急時の呼び出しがセットになった月額定額のサービスです。排泄介助が1日に何度も必要な場合は、訪問介護を細切れに使うよりこちらが向いています。

    ただし1,418事業所しかなく、1,273自治体(67%)には存在しません。

    依頼するときに伝えるべきこと

    事業所側も、条件が合わないと受けられません。最初に正確に伝えると話が早く進みます。

    伝えること 具体例
    やってほしいこと 「入浴介助」「排泄介助」「調理」など具体的に
    本人の状態 歩けるか、体重、麻痺の有無
    認知症の有無と症状 拒否や暴言があれば必ず伝える
    医療的ケア たん吸引などの有無
    家族の在宅状況 誰かいるのか、独居なのか
    住環境 エレベーターの有無、駐車場、玄関の段差
    外せない曜日・時間 通院日、家族が対応できる日

    とくに認知症で拒否がある、暴言があるという場合は、隠さず伝えてください。

    ヘルパーが訪問して初めて分かると、そのまま続けられなくなります。最初から分かっていれば、対応できる経験のあるヘルパーを充ててもらえます。

    ヘルパーが来る日の準備

    初回訪問の前に整えておくと、その後がスムーズです。

    準備すること 理由
    使う道具の場所を決める 掃除用具、タオル、着替えの位置を固定する
    手順を紙に書いて貼る 担当者が代わっても同じようにできる
    本人に説明しておく 「知らない人が家に入る」と混乱する
    貴重品を片付ける トラブルを未然に防ぐ
    鍵の受け渡しを決める 不在時に入る場合はキーボックス等

    本人への説明がいちばん大事です。認知症がある場合、突然知らない人が来ると強く拒否することがあります。

    「体を楽にするために来てもらう人」「お手伝いに来てくれる人」といった説明を、事前に何度か伝えておいてください。

    初回で拒否されたら

    珍しくありません。1回で諦めないでください。

    対応 内容
    家族が同席する 初回だけでも一緒にいる
    短時間から始める 15〜20分の掃除だけなど
    顔なじみを作る 同じヘルパーに数回来てもらう
    目的を変える 介護ではなく「話し相手」から入る

    事業所に「拒否がある」と伝えておけば、経験のあるヘルパーを充ててもらえます。

    よくある失敗

    失敗 なぜ起きるか 対策
    平日午前だけで探した 家族の都合を優先 夕方・土日も候補に入れる
    いきなり週3回2時間を希望 必要量から逆算した 短時間から始めて増やす
    1事業所で全部埋めようとした 分けられると知らない 複数の組み合わせを依頼
    認知症の症状を隠した 断られるのが怖い 最初に伝える方が続く
    ネットだけで探した 40%が情報なし ケアマネか地域包括へ
    「できないこと」を頼んだ 範囲を知らない 事前に確認する
    市内だけで探した 制限があると思い込み 市外の事業所も使える

    ヘルパーとの付き合い方

    決まった後も、続けるための工夫があります。

    やること 理由
    やってほしいことを紙に書いて貼る 担当者が代わっても伝わる
    本人の好みを伝える 食事、入浴の温度、呼び方など
    変更は事業所に伝える ヘルパー個人に直接頼まない
    感謝を伝える 人が動いている。関係が続く

    ヘルパー個人に直接お願いごとをするのは避けてください。サービス内容の変更はケアプランに関わるため、事業所またはケアマネジャーを通す必要があります。ヘルパー本人も困ります。

    また、担当者が固定とは限りません。シフト制なので複数の人が来ます。だからこそ、手順を紙にしておくと引き継ぎがスムーズです。

    ヘルパーが確保できないときは

    在宅介護は、訪問介護が入らないと成立しません。

    家族だけで、食事・入浴・排泄をすべて担うのは、働きながらでは持ちません。数か月で限界が来ます。

    ヘルパーが確保できない状態が続くなら、在宅を続けること自体を見直す時期かもしれません。

    代替案 内容
    デイサービスを増やす 全国24,124か所。入浴も食事も対応
    ショートステイを定期的に 14,963か所。ゼロの自治体は83だけ
    小規模多機能型に切り替える 通い・訪問・泊まりを一体で
    施設入居を検討する 限界が来る前に情報だけでも

    在宅を続けながらでも、施設の情報は集めておいてください。

    限界が来てから探すと、空いているところに入るしかなくなります。資料を取り寄せておくだけで、判断の速さが違います。

    条件に合う施設の資料を無料で取り寄せる

    まとめ

    1. 事業所は多いが、88%が1事業所のみの小規模運営。余力がないので空きが出にくい
    2. 40%はネットに情報がない。自力で検索しても4割は見えない
    3. ケアマネジャー経由が基本。いなければ地域包括支援センターへ
    4. 時間帯を広げる、短時間から始める、複数事業所を組み合わせる
    5. 市外の事業所も使える
    6. できないことを知っておく。同居家族がいると生活援助は原則不可
    7. 確保できない状態が続くなら、在宅の継続を見直す時期

    限度額を使い切っているか確認する

    見落とされがちですが、区分支給限度額に余裕があるのに使っていないケースが多くあります。

    要介護度 区分支給限度額(月)
    要介護1 約17万円
    要介護2 約20万円
    要介護3 約27万円
    要介護4 約31万円
    要介護5 約36万円

    ※ 金額は目安。地域区分により変動します。自己負担はこの1〜3割です。

    ケアプランに利用率が書かれています。50%程度なら、まだ増やせます。

    遠慮して使っていないと、特養の申込みでも不利になります。「在宅サービスを使い切ってもなお厳しい」という記録が、必要性の証明になるからです。

    次にやること

    まずケアマネジャーに、上のコツを踏まえて条件を出し直してください。それでも決まらないなら、在宅以外の選択肢も並行して見ておいてください。

    資料を取り寄せて、見学を申し込む

    ※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームはこのサービスの対象外です。特養は市区町村の窓口かケアマネジャーへ。

    よくある質問

    同居している家族がいると、ヘルパーは使えませんか。

    身体介護は使えます。生活援助(調理・掃除など)は原則使えませんが、家族が働いている、病気や障害がある、高齢であるといった事情があれば認められます。ケアマネジャーが理由をケアプランに記載する必要があるので、家族の状況を正確に伝えてください。

    ヘルパーが合わない場合、変えてもらえますか。

    変えてもらえます。事業所またはケアマネジャーに伝えてください。ヘルパー本人に直接言う必要はありません。相性の問題は誰にでもあるので、遠慮しなくて構いません。

    費用はどのくらいかかりますか。

    介護保険の1〜3割負担です。身体介護30分未満で1回あたり数百円程度(自己負担1割の場合)が目安です。ただし要介護度ごとの限度額を超えると全額自己負担になります。ケアマネジャーが限度額内で調整します。

    通院の付き添いは頼めますか。

    条件付きで可能です。「通院等乗降介助」というサービスがあり、車の乗り降りの介助が対象になります。ただし病院内での待ち時間や受診の付き添いは原則対象外です(院内での介助が必要と認められる場合を除く)。

    緊急のときも来てもらえますか。

    通常の訪問介護はあらかじめ決まった時間に来るサービスです。緊急時の呼び出しには対応しません。呼び出し対応が必要なら定期巡回・随時対応型を検討してください。ただし1,273自治体には存在しません。

    市外の事業所でも使えますか。

    使えます。訪問介護は地域密着型サービスではないため、市区町村をまたいで利用できます。訪問できる距離であることが条件です。自宅が市境に近い場合は、隣の市の事業所も候補に入れてください。

    ヘルパーが毎回違う人で不安です。

    シフト制なので複数の人が来るのが一般的です。やってほしいことを紙に書いて貼っておくと、誰が来ても手順が伝わります。どうしても固定してほしい場合は事業所に相談してみてください(人員体制によります)。

    サービスの内容を後から変えられますか。

    変えられます。ケアマネジャーに相談してください。ケアプランの変更手続きが必要ですが、費用はかかりません。本人の状態は変化するので、定期的な見直しはむしろ当然です。月1回の訪問時に伝えるのが確実です。

    男性のヘルパーを断ることはできますか。

    希望は伝えられます。入浴や排泄の介助では同性を希望する方が多く、事業所も配慮します。ただし人員体制によっては応じられない場合もあります。契約前に「同性介助を希望する」と伝えておいてください。

    ヘルパーに家の物が壊されたら、どうなりますか。

    事業所が損害賠償保険に加入しているのが一般的です。契約前に保険の有無を確認しておいてください。万一の際は、まず事業所に連絡します。ヘルパー個人と直接やり取りしないでください。

    事業所が地域に1つしかありません。

    全国で286の自治体が、この状況です。まずその事業所に空きがあるか確認し、なければ隣接する市区町村の事業所を当たってください。市外の事業所も利用できます。それも難しければ、デイサービスやショートステイで補う形をケアマネジャーと相談してください。

    この記事のデータについて

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

    同一事業所が複数の指定区分で重複登録されているケースを、事業所名と住所で名寄せして整理しています。都道府県別の比率は事業所数300件以上の県で算出しています。

    サービスの利用可否や提供範囲は事業所ごと、また市区町村の運用によって異なります。実際の利用は担当のケアマネジャーにご相談ください。制度の内容は改正により変更される場合があります。

  • 退院後のリハビリはどこで受けるか|受け皿がない自治体が19%

    ※ 本ページはプロモーションを含みます。

    脳梗塞や骨折で入院した親が、退院を告げられる。

    「あとは自宅でリハビリを続けてください」と言われても、どこで受けられるのかを説明されないまま退院日が来ることがあります。

    そして退院してから探し始めると、地域によっては受け皿がありません。全国215,404の介護事業所を集計したところ、リハビリを受けられる事業所が1つもない市区町村が359ありました。

    退院後にリハビリを受ける方法は3つ

    方法 全国の事業所数 ない自治体 内容
    デイケア(通所リハビリ) 7,630 420(22.2%) 施設に通ってリハビリを受ける
    訪問リハビリ 4,880 649(34.4%) 自宅に来てもらう
    介護老人保健施設(老健) 3,994 516(27.3%) 入所してリハビリに専念する

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。全国1,889市区町村を対象。

    この3つのどれか1つでもある自治体は1,530。残りの359自治体(19%)には、介護保険で受けられるリハビリの受け皿がありません。

    とくに訪問リハビリは3分の1の自治体に存在しません。外出が難しい状態で退院した場合、この選択肢がない地域では自宅でのリハビリが成り立ちません。

    退院前にやるべきこと

    退院日が決まってから動くと、間に合いません。

    入院中に「退院調整」を依頼する

    病院には医療ソーシャルワーカー(MSW)、または地域連携室があります。ここに相談すると、退院後の生活を組み立ててくれます。

    入院が決まった時点で相談して構いません。退院間際ではなく、早いほど選択肢があります。

    要介護認定を入院中に申請する

    認定には原則30日かかります。退院してから申請すると、その間サービスが使えません。

    入院中でも申請できます。病院に相談してください。認定が下りる前でも「暫定ケアプラン」でサービスを開始できる場合があります。

    自分の地域にリハビリの受け皿があるか確認する

    これが今日いちばんお伝えしたい点です。

    「デイケア、訪問リハビリ、老健のどれがこの地域にありますか」とMSWかケアマネジャーに聞いてください。

    「ない」と言われたら、そのときは選択肢が変わります。

    リハビリの受け皿がない地域では

    老健を広域で探す

    介護老人保健施設は、原則として市外・県外からでも入所できます。(地域密着型ではないため)

    自宅の近くになくても、通える範囲の別の市に老健があれば選択肢になります。期間は原則3〜6か月で、在宅復帰を目指す施設です。

    その間に自宅の環境を整える、ということもできます。

    医療保険のリハビリを確認する

    介護保険の対象外でも、病院の外来リハビリが使える場合があります。ただし発症からの日数に制限があります(脳血管疾患は原則180日など)。主治医に確認してください。

    訪問看護のリハビリを使う

    訪問看護ステーションから、理学療法士や作業療法士が来る形があります。訪問リハビリがない地域でも、訪問看護が使えれば実質的にリハビリを受けられることがあります。

    ただし訪問看護そのものが362自治体(19.2%)には存在しません。ここも確認が必要です。

    リハビリが受けられないと何が起きるか

    退院直後は、身体機能が最も落ちている時期です。ここで動かさないと、そのまま固定します。

    • 歩けていた人が歩けなくなる
    • トイレに自分で行けなくなる
    • 寝ている時間が増え、認知機能も落ちる

    そして介護度が上がります。要介護1で退院した人が、数か月後に要介護3になる。この経過をたどる家庭が実際にあります。

    介護度が上がると、家族の負担も費用も跳ね上がります。退院後の数か月は、その後の何年かを決める期間です。

    在宅が難しいと判断したら

    正直に言うと、リハビリの受け皿がない地域で、家族が働きながら在宅を維持するのは相当に厳しいです。

    • 日中に誰もいない
    • 通所の送迎がない、あっても本人が拒否する
    • 自宅に段差があり、そもそも動けない

    こういう条件が重なると、在宅を続けること自体がリハビリの妨げになります。

    老健に入所してリハビリに専念し、その間に自宅を改修する。あるいは、そのまま施設での生活に切り替える。どちらも「諦め」ではなく、機能を守るための選択です。

    老健や、リハビリ体制のある施設の情報も先に集めておいてください

    退院日が決まってから探すと、空いているところに入るしかなくなります。

    条件に合う施設の資料を無料で取り寄せる

    まとめ

    1. 入院が決まった時点で、病院の地域連携室に相談する
    2. 要介護認定は入院中に申請する。退院後だと30日待つことになる
    3. 地域にリハビリの受け皿があるか確認する。19%の自治体には何もない
    4. 訪問リハビリがなくても、訪問看護から来られる場合がある
    5. 老健は市外からでも入所できる。近くになければ広域で探す
    6. 退院後の数か月が、その後を決める。ここで動かさないと機能が固定する

    次にやること

    まず病院の地域連携室、または担当ケアマネジャーに、地域のリハビリ体制を確認してください。

    そのうえで、在宅での継続が難しそうなら、老健を含めた施設の情報も並行して集めてください。退院日までの時間は限られています。

    資料を取り寄せて、見学を申し込む

    ※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームはこのサービスの対象外です。特養は市区町村の窓口かケアマネジャーへ。

    この記事のデータについて

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点。同一事業所が複数の指定区分で重複登録されているケースを、事業所名と住所で名寄せして整理しています。公表データの「定員」欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用せず、事業所の「数」のみを用いています。医療保険のリハビリの算定日数や要件は制度改正により変わります。実際の可否は主治医・医療機関にご確認ください。

  • 夜中に親が倒れたら誰が来るのか|24時間対応がない自治体57%

    ※ 本ページはプロモーションを含みます。

    「24時間対応の介護サービスがあるから、在宅でも大丈夫」

    パンフレットにはそう書いてあります。ケアマネジャーからもそう説明されるかもしれません。

    ただし、それはあなたの住む市区町村にそのサービスが存在すればの話です。

    全国215,404の介護事業所を集計したところ、夜間に対応できるサービスが1つもない市区町村が1,085ありました。全体の57%です。

    夜間に対応できるサービスは3つしかない

    介護保険で夜間・深夜に自宅へ来てもらえるサービスは、実質この3種類です。

    サービス 全国の事業所数 存在する自治体 ゼロの自治体
    定期巡回・随時対応型訪問介護看護 1,418 616 1,273(67.4%)
    看護小規模多機能型居宅介護 1,142 557 1,332(70.5%)
    夜間対応型訪問介護 131 105 1,784(94.4%)

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点。当サイトで重複を整理して集計。全国1,889市区町村を対象。

    3つのどれか1つでもある自治体は804。残りの1,085自治体(57%)には、夜間に来てくれるサービスが存在しません。

    とくに「夜間対応型訪問介護」は全国に131事業所しかありません。94%の自治体には存在しない制度です。名前だけは制度として存在していますが、実態は都市部の一部にしかありません。

    3種類そろっている自治体はごくわずか

    揃っているサービスの数 自治体数
    3種類すべて 73
    2種類 328
    1種類だけ 403
    ゼロ 1,085

    3種類そろっているのは全国で73自治体だけ。全体の4%です。

    3つのサービスは何が違うのか

    サービス 内容 向いている状況
    定期巡回・随時対応型 1日複数回の短時間訪問+呼び出し対応。看護師も来る 排泄介助や服薬確認が1日に何度も必要
    看護小規模多機能型 通い・訪問・泊まりに訪問看護が加わる 医療的ケアがあり、状態が不安定
    夜間対応型訪問介護 夜間帯(22時〜6時など)の巡回と呼び出し 夜間だけ不安がある

    定期巡回がいちばん実用的です。月額の定額制で、決まった時間の訪問と、緊急時の呼び出しの両方が使えます。

    ただし1,418事業所しかなく、3分の2の自治体には存在しません。

    地域による差が8倍ある

    夜間対応サービスがある自治体の割合を、都道府県別に見ました。

    整っている県 自治体数 ある 割合
    神奈川県 58 46 79.3%
    大阪府 72 55 76.4%
    東京都 60 45 75.0%
    兵庫県 49 35 71.4%
    埼玉県 72 48 66.7%
    空白が大きい県 自治体数 ある 割合
    鳥取県 19 2 10.5%
    高知県 33 4 12.1%
    青森県 40 5 12.5%
    和歌山県 30 5 16.7%
    徳島県 24 4 16.7%
    北海道 188 37 19.7%

    神奈川県79.3%に対して鳥取県10.5%。8倍近い差があります。

    鳥取県では19市町村のうち、夜間対応サービスがあるのは2つだけ。残り17市町村では、夜中の対応は家族がするしかありません。

    これが何を意味するか

    夜中の2時に、親がベッドから落ちたとします。あるいは、おむつを替えてほしいと呼ばれる。熱を出す。

    あなたの自治体にこれらのサービスがなければ、来るのは家族です。

    • 同居していれば、あなたが起きる
    • 別居していれば、車を出して駆けつける
    • どちらも無理なら、救急車を呼ぶしかない

    在宅介護で家族が最初に限界を迎えるのは、日中の介護量ではなく、夜眠れないことです。

    夜間に起きること 頻度の例
    トイレの介助 一晩に2〜4回
    おむつ交換 一晩に1〜2回
    転倒・ベッドからの転落 不定期
    徘徊(外に出ようとする) 認知症の場合
    大声・幻覚による混乱 認知症の場合
    発熱・体調急変 不定期

    夜間に2回起こされる生活が続くと、働きながらの介護はまず持ちません。

    「24時間対応がある」という前提で在宅を選ぶと、この計算が狂います。

    まず、自分の地域にあるか確認してください

    これは調べれば分かります。担当のケアマネジャーに、こう聞いてください。

    「この市区町村に、定期巡回・随時対応型か、看護小規模多機能はありますか」

    「ある」なら、在宅を続ける選択肢に現実味があります。

    「ない」なら、夜間は家族が対応するしかないという前提で計画を立てる必要があります。

    ケアマネジャーが即答できない場合、そのサービス自体が地域にない可能性が高いです。

    隣接する市区町村も確認する

    定期巡回と夜間対応型は地域密着型サービスなので、原則としてその市区町村の住民しか使えません。

    ただし、看護小規模多機能型も地域密着型ですが、市区町村同士の協議で他市の住民の利用が認められる場合があります。隣の市にあるなら、使えるかどうかケアマネジャーに確認する価値があります。

    夜間サービスがない地域で、在宅を続けるには

    選択肢がゼロではありません。ただし、どれも家族の負担を前提にしています。

    ショートステイを定期的に組み込む

    数日〜1週間の宿泊です。全国に14,963か所あり、ゼロの自治体は83だけ。在宅サービスの中で最も全国に行き渡っています。

    「限界が来たら使う」ではなく、最初から月に数日を予定に入れてください。家族が倒れてからでは予約が取れません。

    ショートステイの使い方 効果
    月に2〜3日を定期的に 家族が確実に休める
    連続7日程度を年に数回 まとまった休養が取れる
    本人を慣れさせる 急な入所時の適応が違う

    小規模多機能型居宅介護を使う

    通い・訪問・泊まりを同じ事業所が組み合わせて提供します。急に泊まりに切り替えられるのが強みです。

    ただし全国5,373か所で、608自治体(32%)には存在しません。ここも地域差があります。

    緊急通報装置を導入する

    多くの自治体が高齢者向けに補助や貸与をしています。ボタンひとつで委託先のセンターや消防に繋がります。

    夜間サービスの代わりにはなりませんが、駆けつけの判断は早くなります。市区町村の高齢福祉課に問い合わせてください。

    見守りセンサーを使う

    ベッドからの離床、居室の動き、トイレの使用回数などを検知して通知する機器があります。介護保険の福祉用具貸与の対象になるものと、自費のものがあります。

    別居している場合、これがあるだけで安心感が違います。

    訪問看護の緊急時対応を確認する

    訪問看護ステーションの多くは、24時間の電話相談と緊急訪問の体制を持っています(加算がつきます)。

    ただし訪問看護そのものが362自治体(19.2%)には存在しません。まず地域にあるかを確認してください。

    家族で夜間を分担する

    一人で抱え込むと、確実に潰れます。同居している家族が一人で対応している場合が、いちばん危険です。

    分担の型

    内容 向いている状況
    曜日で分ける 平日は同居家族、週末は別居の兄弟が泊まる 兄弟が近隣にいる
    期間で分ける 月ごと、季節ごとに主担当を交代 遠方だが長期休暇が取れる
    費用で分ける 対応できない側が費用を多く負担 距離や仕事の都合で動けない
    外部に出す ショートステイの費用を分担 全員が対応できない

    「できない」なら費用で負担するという形も、立派な分担です。動けないことを責め合うより、役割を分けた方が続きます。

    話し合いのときに使えること

    主観で「大変だ」と伝えても、離れている家族には伝わりません。記録を見せてください。

    8/15 2:10 トイレ介助

    8/15 4:30 大声で起きる

    8/16 1:45 トイレ介助

    8/16 3:20 ベッドから落ちる

    2週間分のこれを見せる方が、どんな説明よりも伝わります。

    在宅から施設へ切り替える判断

    明確な基準はありませんが、次のうち複数が当てはまるなら、検討する時期です。

    サイン 内容
    夜間の対応が週4回以上 睡眠が慢性的に不足している
    介護者が体調を崩した 腰痛、不眠、抑うつ
    仕事に支障が出ている 遅刻、早退、欠勤が増えた
    感情的になることが増えた 声を荒げる、手が出そうになる
    本人の転倒が増えた 見守りが追いつかない
    火の始末が危険 在宅の継続そのものがリスク

    とくに4番目が出たら、限界に近いと考えてください。介護者が自分を責める必要はまったくありません。環境が持たないという話です。

    よくある失敗

    失敗 なぜ起きるか 対策
    「24時間対応がある」と信じて在宅を選んだ 制度の存在と地域の実在を混同 ケアマネに地域の有無を確認
    ショートステイを限界まで使わなかった 「かわいそう」と感じる 最初から予定に組み込む
    家族が一人で抱え込んだ 兄弟に言い出せない 早い段階で分担を決める
    夜間の負担を記録していなかった 主観で説明してしまう 回数を記録する。特養の申込みでも使える
    限界が来てから施設を探し始めた 準備していない 在宅を続けながら候補を確保

    夜間に起こされた回数は記録しておいてください。「毎晩大変です」と言うより、「一晩に平均3回、週に5日」と伝える方が、ケアマネジャーにも施設にも伝わります。特養の申込書にも書けます。

    それでも夜が持たないなら

    在宅の継続を諦めるべき、という話ではありません。判断の材料を持っておくべきだという話です。

    夜間サービスのない地域で、家族が夜間対応を続けている。この状態は長くは持ちません。実際に多くの家庭が数か月から1年程度で限界を迎えています。

    限界が来てから探し始めると、費用も条件も妥協した選択になります。空いている施設に入るしかなくなるからです。

    在宅を続けながらでも、施設の候補は先に持っておいてください。

    資料を取り寄せておくだけで、いざというときの判断がまったく違います。すぐに入居する必要はありません。

    条件に合う施設の資料を無料で取り寄せる

    費用の目安を知っておくだけでも意味があります。「月20万かかる」と分かっていれば、年金と貯蓄からいつまで持つかを計算できます。何も知らないまま限界を迎えるのが、いちばん危険です。

    施設なら夜間はどうなるか

    参考までに、施設に入った場合の夜間体制です。

    施設の種類 夜間の職員体制
    特別養護老人ホーム 入居者25人に1人以上の夜勤職員
    介護付有料老人ホーム 施設により差が大きい。見学時に必ず確認
    グループホーム 1ユニット(5〜9人)に1人
    介護老人保健施設 看護職員の配置あり

    グループホームは夜勤1人体制が基本です。少人数なので手厚く見えますが、その1人が対応できる範囲には限りがあります。

    見学のときは「夜勤は何人か。入居者何人に対して何人か」を必ず聞いてください。日中の配置はどこも似ていますが、差が出るのは夜間です。

    まとめ

    1. 「24時間対応がある」は全国共通ではない。57%の自治体には存在しない
    2. 地域差が8倍ある。神奈川79.3%、鳥取10.5%
    3. ケアマネジャーに、地域にあるかを直接聞く。即答できなければ無い可能性が高い
    4. ない地域では、夜間は家族が対応する前提で計画を立てる
    5. ショートステイを「限界が来たら」ではなく最初から予定に入れる
    6. 夜間に起こされた回数を記録する。説明にも申込みにも使える
    7. 在宅を続けながらでも、施設の候補と費用は把握しておく

    次にやること

    まずケアマネジャーに地域の状況を確認してください。そのうえで、夜間の見通しが立たないなら、施設の情報も並行して集めてください。

    資料を取り寄せて、見学を申し込む

    ※ 無料で利用できます。特別養護老人ホームはこのサービスの対象外です。特養は市区町村の窓口かケアマネジャーへ。

    よくある質問

    定期巡回と訪問介護は何が違うのですか。

    訪問介護は1回ごとの契約で、決まった時間に決まった内容を行います。定期巡回は月額定額制で、1日複数回の短時間訪問と、緊急時の呼び出しがセットになっています。夜間や早朝も対応範囲です。ただし1,418事業所しかなく、3分の2の自治体には存在しません。

    地域に夜間サービスがない場合、隣の市のものは使えますか。

    原則として使えません。定期巡回・夜間対応型・看護小規模多機能はいずれも地域密着型サービスで、その市区町村の住民が対象です。ただし市区町村同士の協議で例外が認められる場合があるため、ケアマネジャーに確認してみてください。

    訪問看護は夜間も来てくれますか。

    24時間対応の体制を持つ事業所が多いです(加算がつきます)。ただし医療的な必要性がある場合が中心で、おむつ交換や体位変換といった介護目的では呼べません。また訪問看護そのものが362自治体には存在しません。

    緊急通報装置はどこで借りられますか。

    市区町村の高齢福祉課です。多くの自治体が補助や貸与の制度を持っています。所得によって自己負担が変わることがあります。民間のサービスもありますが、まず自治体の制度を確認してください。

    夜勤の人数は、どのくらいが適切ですか。

    特養は法令上、入居者25人に1人以上とされています。それより手厚ければ良いと考えて構いません。ただし人数だけでなく、フロアの構造も影響します。1人で複数階を見る施設と、1フロアに専任がいる施設では対応速度が違います。

    別居していますが、夜間に何かあったらどうすればいいですか。

    見守りセンサーと緊急通報装置の併用を検討してください。離床や動きの異常を検知して通知が来ます。そのうえで、駆けつけられる距離かどうかを現実的に考えてください。片道1時間以上かかる場合、夜間の急変には実質的に対応できません。

    ケアマネジャーが「大丈夫です」としか言いません。

    具体的なサービス名で聞いてください。「この市に定期巡回はありますか」「看護小規模多機能はありますか」と。それでも曖昧なら、市区町村の高齢福祉課に直接聞くか、地域包括支援センターに相談してください。ケアマネジャーは変更することもできます。

    夜勤の職員が1人だと不安です。

    人数だけでなくフロアの構造も見てください。1人で複数階を担当する施設と、1フロアに専任がいる施設では、呼び出しへの到達時間がまったく違います。見学時に「夜勤の方は何フロアを担当しますか」と聞いてみてください。

    施設に入っても、夜中に呼び出されることはありますか。

    あります。急変時や入院が必要になったときは、家族に連絡が来ます。そのため、施設からの距離は現実的に考えてください。片道2時間の施設だと、そのたびに1日が潰れます。

    夜間の負担を、どう記録すればいいですか。

    日付・時刻・内容を一行ずつ書くだけで十分です。「8/15 2:10 トイレ介助」「8/15 4:30 大声で起きる」といった形です。1〜2週間分あれば、状況が客観的に伝わります。特養の申込書や、要介護認定の調査時にも使えます。

    この記事のデータについて

    出典:介護サービス情報公表システム(厚生労働省)/2026年6月末時点

    同一事業所が複数の指定区分で重複登録されているケースを、事業所名と住所で名寄せして整理しています。公表データの「定員」欄は未報告が半数近くを占めるため集計に使用せず、事業所の「数」のみを用いています。

    事業所の有無は指定状況にもとづくもので、実際に受け入れ可能かどうかは各事業所の状況によります。サービスの利用可否や提供範囲は、担当のケアマネジャーにご確認ください。夜間の職員配置基準は制度改正により変更される場合があります。