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介護が始まると聞いて最初に浮かぶのは、たいてい「いくらかかるのか」です。ところがこの質問には、そのままでは答えが出ません。在宅か施設かで月額が2.6倍ちがい、同じ施設でも部屋のタイプと所得で倍ちがうからです。
それでも、全体の形を先に知っておくことはできます。介護のお金は「毎月出ていくもの」と「最初にまとまって出ていくもの」の2つに分かれ、そのうち介護保険が効く部分には毎月の上限があり、さらに払いすぎた分が戻る仕組みが3つ用意されています。この4層を先に押さえると、目の前の見積書がどこの話をしているのかが分かるようになります。
この記事では、金額の根拠を全部示しながら、その4層を順に開きます。あわせて、全国215,550事業所を集計したマモリア独自のデータから、そもそも地域にサービスがなければ保険を使う場面自体が来ない、という話にも触れます。
介護のお金は、毎月と一時金に分かれる
まず全体の桁を押さえます。生命保険文化センターの全国実態調査は、実際に介護をした人に「いくらかかったか」を聞いています。
| 項目 | 平均 | 中身 |
|---|---|---|
| 介護期間 | 55.0か月 | 約4年7か月。10年以上が17.9%を占める |
| 月々の費用 | 9.0万円 | サービス費の自己負担、食費、おむつ代などの合計 |
| 一時的な費用 | 47.2万円 | 住宅改修、介護ベッド、車いすなど |
出典:生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」(過去3年間に介護経験がある人への調査)
この3つを単純に掛け合わせると、9.0万円 × 55.0か月 + 47.2万円 = 約542万円になります。よく引かれる「介護には500万円かかる」という数字はここから来ています。
ただし、この542万円という数字の扱いには注意がいります。平均には、月に1万円もかからなかった人と、月に30万円払い続けた人が同居しています。同じ調査でも、費用がほとんどかからなかったという回答から、月15万円以上という回答まで幅があります。自分の家がどちらに寄るかは、次の章でほぼ決まります。
在宅と施設で、月額は2.6倍ちがう
同じ調査を、在宅で介護した人と施設に入れた人で分けると、金額はきれいに割れます。
出典:生命保険文化センター「2024年度 生命保険に関する全国実態調査」。介護を行った場所別の月額費用の平均
在宅5.3万円、施設13.8万円。差は8.5万円、倍率で2.6倍です。そして介護期間の平均55か月をかけると、その差は約470万円になります。在宅か施設かという判断は、介護の中でいちばん金額を動かす分岐点です。
なぜここまで開くのか。理由は単純で、在宅では家賃と食費を払っていないからです。親が自分の家に住み続けているかぎり、住居費はすでに払い終わった家か、もともとの家賃です。食費も、これまでの生活費の続きです。介護保険で新しく発生するのはサービスの自己負担分だけなので、月5万円台に収まります。
施設に入ると、この「もともと払っていた分」が請求書に載ってきます。実家をそのまま残していれば、施設の家賃と実家の維持費を二重に払うことになります。年金だけで入れる施設はあるのかで扱っているとおり、施設選びが年金額との勝負になるのはこのためです。
ただし、在宅が安いのは家族が無償で働いている分を数えていないからでもあります。仕事を減らした、辞めた、という形で家計に出るものは、この5.3万円には入っていません。介護離職まで含めて考えると、在宅のほうが安いとは言い切れなくなります。
介護保険が効く部分と、効かない部分
金額の話を進める前に、線を1本引いておきます。介護保険が効くのは「サービス費」だけで、生活費には効きません。
| 介護保険が効く | 全額自己負担 | |
|---|---|---|
| 在宅 | 訪問介護、デイサービス、訪問看護、福祉用具貸与など | 配食、家事代行、保険外の見守り、おむつ代 |
| 施設 | 施設サービス費(介護の手間に対する報酬) | 居住費、食費、日常生活費、理美容代 |
| 住まい | 住宅改修20万円まで、特定福祉用具の購入10万円/年まで | それを超える工事、家電、リフォーム全般 |
この表の右列が、介護の見積もりで人を驚かせる部分です。「1割負担でいい」と聞いていたのに請求が11万円だった、という話はほとんどこれで説明がつきます。1割なのはいちばん左の列だけです。
1か月に使える上限額
在宅で介護保険を使う場合、1か月に使えるサービスの量には上限があります。これを区分支給限度基準額といい、要介護度ごとに決まっています。
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」。単位数に1単位10円を掛けた目安。実際の単価は地域とサービス種別により10円〜11.40円程度
要支援1の50,320円から、要介護5の362,170円まで。約7.2倍です。この金額はサービス費用の総額の上限であって、自己負担額ではありません。1割負担なら、要介護3の人が上限いっぱい使って月27,048円が目安になります。
上限を超えた分は、介護保険が効かず全額自己負担になります。要介護2の人が上限より3万円多く使えば、その3万円はまるごと請求されます。通常はケアマネジャーが上限内に収まるようにプランを組むので、いきなり超えることはあまりありませんが、ショートステイを増やした月や、福祉用具を足した月は超えやすいので、その月だけは事前に確認してください。
区分ごとの状態の目安は要介護度の目安と使える上限にまとめています。認定がまだなら介護保険の申請の流れが先です。
自己負担は1割か、2割か、3割か
「介護保険は1割負担」と覚えている人が多いのですが、所得によって2割・3割の人がいます。判定は本人と同じ世帯の65歳以上の人の所得で行われ、毎年8月に切り替わります。
| 負担割合 | おおよその条件(65歳以上) |
|---|---|
| 1割 | 下の条件に当てはまらない人。大多数がここ |
| 2割 | 本人の合計所得金額160万円以上、かつ年金収入+その他合計所得が単身280万円以上(2人以上世帯346万円以上) |
| 3割 | 本人の合計所得金額220万円以上、かつ年金収入+その他合計所得が単身340万円以上(2人以上世帯463万円以上) |
出典:厚生労働省「介護保険の利用者負担割合について」(2026年8月時点)
負担割合は「介護保険負担割合証」に書いてあります。毎年7月に送られてくる、認定結果とは別のうすい紙です。捨てられていることが多いので、8月になったら親の家で探してください。ケアマネジャーもこれを見て金額を計算します。
親の負担割合は、同居している子の所得では変わりません。見るのは65歳以上の世帯員の所得です。ただし世帯分離をすると、後で出てくる負担限度額認定や高額介護サービス費の判定に影響します。節税目的だけで動かすと逆に損をすることがあるので、市区町村の窓口で試算してもらってください。
施設の月額を、4つに分解する
施設の13.8万円が何でできているのかを開きます。特別養護老人ホームの多床室、要介護5、自己負担1割の場合で計算します。
出典:厚生労働省「介護報酬の算定構造」および「特定入所者介護サービス費に係る基準費用額」(2026年8月改定後)。日常生活費は施設により異なるため概算
合計109,930円。このうち介護保険が効いているのは左端の26,130円だけで、残りの83,800円は全額自己負担です。比率でいうと、月額のうち76%が保険の外にあります。
この構造を知っていると、施設のパンフレットの読み方が変わります。
| 項目 | 何で決まるか | 施設ごとの差 |
|---|---|---|
| 施設サービス費 | 要介護度と施設の種類。全国共通の単価 | 小さい |
| 居住費 | 部屋のタイプ(多床室 / 従来型個室 / ユニット型個室) | 大きい |
| 食費 | 基準費用額が目安。施設が独自に設定できる | 中くらい |
| 日常生活費 | おむつ、理美容、レクリエーション材料費など | 大きい |
いちばん効くのは部屋のタイプです。同じ特養でも、多床室なら月27,450円のところ、ユニット型個室では月61,980円になります(基準費用額2,066円/日で計算)。差は月3万4千円、年間で41万円です。個室のほうが快適なのは間違いありませんが、この差を年金で払えるかは先に確認してください。
そして日常生活費は見積書に「10,000円程度」としか書かれていないことがよくあります。おむつを1日6枚使う人と2枚の人では実額が変わるので、契約前に「うちの親の状態だと、実際いくらになりますか」と聞いてください。施設は答えられます。
食費は2026年8月に上がった
2026年8月1日から、介護保険施設の食費の基準費用額が1日1,445円から1,545円に上がりました。月30日で計算すると、43,350円から46,350円へ、月3,000円の増額です。
| 区分 | 2026年7月まで | 2026年8月から |
|---|---|---|
| 食費の基準費用額 | 1,445円/日 | 1,545円/日 |
| 第3段階(1)の食費負担限度額 | 650円/日 | 680円/日 |
| 第3段階(2)の食費負担限度額 | 1,360円/日 | 1,420円/日 |
| 居住費の基準費用額 | 変更なし(多床室915円/日など) | |
出典:厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1506」(2026年5月29日)。食材料費の上昇と経営概況調査の実績にもとづく改定
この改定で影響を受けるのは、負担限度額認定を受けていない人です。第1段階・第2段階の食費負担限度額は据え置かれたので、住民税非課税世帯で預貯金の少ない人には影響がありません。一方、第3段階(2)の人と、認定を受けていない一般の人は、そのまま値上がりを受けます。
すでに施設に入っている場合、8月分の請求から金額が変わります。請求書が急に増えた理由が分からず、施設に問い合わせが集中する時期です。心当たりがあればこの改定を思い出してください。
自己負担がここで止まる(高額介護サービス費)
ここから、払いすぎた分が戻る仕組みに入ります。3つあり、順に効きます。1つめが高額介護サービス費です。
1か月に払う介護サービスの自己負担には、所得に応じた上限があります。上限を超えて払った分は、申請すると後から戻ります。
出典:厚生労働省「高額介護サービス費の負担限度額」(2026年8月時点)。金額は月額・世帯単位。生活保護受給者等と、住民税非課税世帯のうち年金収入等が80万円以下の人は個人単位で15,000円
たとえば要介護5の人が上限いっぱいまでサービスを使うと、1割負担でも月36,217円になります。住民税非課税世帯なら上限は24,600円なので、差額の11,617円が戻ります。年間で約14万円です。
ただし、この上限に入るのは「サービス費の自己負担」だけです。次のものは対象外なので、いくら払っても戻りません。
| 対象になる | 対象にならない |
|---|---|
| 訪問介護・デイサービスなどの1〜3割負担分 | 食費・居住費(施設・ショートステイとも) |
| 施設サービス費の1〜3割負担分 | 日常生活費、おむつ代、理美容代 |
| 同じ世帯の複数人の自己負担を合算できる | 福祉用具の購入費、住宅改修費 |
| 区分支給限度額を超えた分の全額自己負担 |
1回目だけは申請が要ります。該当すると市区町村から申請書が届くので、口座を書いて返送します。2回目以降は自動で同じ口座に振り込まれる自治体がほとんどです。時効は2年なので、通知に気づかず放置していた場合でも、2年以内なら遡って請求できます。
食費と居住費を下げる(負担限度額認定)
2つめが負担限度額認定です。高額介護サービス費でカバーできない食費と居住費を、直接下げる仕組みです。施設に入る人にとっては、こちらのほうが金額のインパクトが大きくなります。
| 段階 | 所得の条件 | 預貯金等(単身 / 夫婦) | 食費 | 多床室 |
|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護受給者、または老齢福祉年金受給者で非課税世帯 | 1,000万 / 2,000万円 | 300円 | 0円 |
| 第2段階 | 非課税世帯で年金収入等80万円以下 | 650万 / 1,650万円 | 390円 | 430円 |
| 第3段階(1) | 非課税世帯で年金収入等80万円超120万円以下 | 550万 / 1,550万円 | 680円 | 430円 |
| 第3段階(2) | 非課税世帯で年金収入等120万円超 | 500万 / 1,500万円 | 1,420円 | 530円 |
| 該当なし | 上記以外 | — | 1,545円 | 915円 |
出典:厚生労働省「特定入所者介護サービス費(補足給付)」。金額は1日あたり、2026年8月改定後。多床室は特別養護老人ホームの場合
第2段階の人なら、食費は1日1,545円が390円に、多床室は915円が430円になります。月30日で計算すると、食費と居住費の合計が73,800円から24,600円へ、月49,200円下がります。年間で59万円の差です。
条件は2つあり、両方を満たす必要があります。1つは世帯全員が住民税非課税であること。もう1つは預貯金等が基準以下であること。ここでいう世帯には、住民票が別でも配偶者は含まれます。夫婦のどちらかに課税所得があると使えません。
これは申請しないと絶対に受けられません。市区町村は預貯金額を把握していないので、向こうから声はかかりません。申請には通帳の写し(直近2か月分が記帳されたもの、全口座)が要ります。有効期間は毎年7月31日までで、更新も自分で出します。更新を忘れると8月から満額に戻ります。
医療費と合算できる(合算療養費)
3つめが高額医療・高額介護合算療養費です。1年間(8月から翌年7月)に払った医療費と介護費を足して、上限を超えた分が戻ります。
| 所得区分(70歳以上) | 年間の上限額 |
|---|---|
| 現役並みⅢ(課税所得690万円以上) | 212万円 |
| 現役並みⅡ(380万円以上) | 141万円 |
| 現役並みⅠ(145万円以上) | 67万円 |
| 一般 | 56万円 |
| 低所得Ⅱ(住民税非課税) | 31万円 |
| 低所得Ⅰ(年金収入80万円以下等) | 19万円 |
出典:厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度」(2026年8月時点)。医療保険と介護保険の自己負担を世帯単位で合算した年額の上限
効くのは、入退院を繰り返しながら介護も使っている人です。医療費だけ、介護費だけで見ると上限に届かないのに、足すと超えている、という状態が起きます。
これも申請制ですが、加入している医療保険(後期高齢者医療広域連合や国保)に出します。介護保険の窓口ではありません。多くの自治体では該当者にお知らせが届きますが、年度途中で医療保険が変わった人には届かないことがあります。地域包括支援センターで「合算の対象になっていないか」と聞くのがいちばん早い確認方法です。
住宅改修・福祉用具・おむつ代という別枠
ここまでは毎月の話でした。最初にまとまって出ていく47.2万円のほうにも、使える枠があります。
| 制度 | 枠 | 中身 |
|---|---|---|
| 住宅改修費 | 生涯20万円まで(1〜3割負担) | 手すり、段差解消、滑りにくい床材、扉の交換、洋式便器への交換 |
| 特定福祉用具購入費 | 年間10万円まで(1〜3割負担) | ポータブルトイレ、入浴用いす、簡易浴槽など、貸与になじまないもの |
| 福祉用具貸与 | 区分支給限度額の枠内 | 介護ベッド、車いす、歩行器、手すり(工事不要のもの) |
出典:厚生労働省「福祉用具・住宅改修」。住宅改修の20万円は原則1住宅1回だが、要介護度が3段階上がった場合と転居した場合は再度使える
住宅改修でいちばん多い失敗は、先に工事をしてしまうことです。事前申請が必須で、着工前に市区町村の承認が要ります。工事が終わってから申請しても、1円も出ません。ケアマネジャーか地域包括支援センターに、必ず先に相談してください。
おむつ代は介護保険の対象外ですが、医療費控除の対象になります。条件は、おおむね6か月以上寝たきりで、医師が発行する「おむつ使用証明書」があること。2年目以降は、市区町村が発行する確認書で代えられる自治体もあります。年間10万円を超えるおむつ代を払っている家庭は珍しくないので、確定申告で必ず使ってください。
親のお金で払うのが原則
制度の話が続いたので、実務の話を1つ入れます。介護の費用は、親の年金と貯金から払うのが原則です。子が立て替え続けると、3つの問題が同時に起きます。
| 問題 | 中身 |
|---|---|
| 子の家計が先に折れる | 平均55か月。子の側の教育費や住宅ローンと期間が重なる |
| 相続でもめる | 立て替えた分の記録がないと、他のきょうだいに認めてもらえない |
| 減免が使えなくなる | 負担限度額認定も高額介護サービス費も、判定するのは親の所得と預貯金。子が払っても軽くならない |
3つめが見落とされがちです。子が肩代わりしても、制度上の負担額は1円も下がりません。下げる手段は申請だけです。
そのためにまず要るのが、親の年金額と、どこの銀行に口座があるかの把握です。負担限度額認定の申請で全口座の通帳が要る時点で、どのみち必要になります。元気なうちに聞いておくのがいちばん楽ですが、そうもいかない場合が多いのも事実です。
認知症が進むと、親名義の口座は動かせなくなります。金融機関が本人の意思確認をできないと判断した時点で、子であっても引き出しはできません。施設費を親の口座から払えない、という詰み方をします。成年後見や家族信託はこれを避けるための仕組みですが、認知症が進んでからでは家族信託は使えません。順番があります。
認知症が絡む場合の施設選びは認知症でも入れる施設はどこかに、担当ケアマネの決め方はケアマネジャーの選び方と変え方にまとめています。
地域にサービスがなければ、保険は使えない
最後に、費用の話がひっくり返る条件を1つ書いておきます。ここまでの金額は、すべて「使えるサービスが地域にある」ことを前提にしています。
マモリアでは、厚生労働省の介護サービス情報公表システムから全国215,550事業所を集計し、1,889市区町村について何があって何がないかを調べています。結果は次のとおりです。
| ない自治体 | 数 | 割合 |
|---|---|---|
| 夜間に来てもらえるサービスが1つもない | 1,089 | 57.6% |
| 訪問看護がない | 363 | 19.2% |
| 特別養護老人ホームがない | 91 | 4.8% |
出典:マモリア独自集計。介護サービス情報公表システム(厚生労働省)2026年6月末時点のデータを名寄せして算出
夜間対応が1つもない自治体が全体の57.6%あります。この地域では、夜中に人を呼ぶ手段が介護保険の中に存在しません。区分支給限度額が月36万円あっても、使い道がなければ在宅は続きません。結果として、想定より早く施設を探すことになり、月5.3万円だったはずの計画が13.8万円に切り替わります。
費用計画の最初の一手は、金額の試算ではなく「親の市区町村に何があるか」の確認です。ここが分かってから予算を組まないと、順番が逆になります。
地域に公的なサービスがない場合の補いになるのが、保険外の自費サービスです。介護保険を使わないため費用は全額自己負担になりますが、時間帯・内容・回数を自由に決められ、保険では頼めない付き添いや見守りも依頼できます。夜間だけ、退院後の2週間だけ、といった短期の使い方もできます。
よくある質問
結局、介護には総額でいくらかかりますか。
生命保険文化センターの2024年度調査では、月々9.0万円、一時費用47.2万円、期間55.0か月なので、単純計算で約542万円になります。ただし在宅なら月5.3万円、施設なら月13.8万円と2.6倍の差があるため、どちらを選ぶかで総額は大きく変わります。まず在宅か施設かを決め、それから金額を試算してください。
1割負担と聞いたのに、施設の請求が11万円でした。
1割になるのは施設サービス費だけだからです。特養の多床室・要介護5で計算すると、施設サービス費26,130円に対して、居住費27,450円・食費46,350円・日常生活費10,000円が全額自己負担で乗ります。合計109,930円のうち、保険が効いているのは24%だけです。金額を下げたい場合は、負担限度額認定に該当しないかを確認してください。
区分支給限度額を超えたらどうなりますか。
超えた分は介護保険が効かず、全額自己負担になります。要介護2の人が上限より3万円多く使えば、その3万円はまるごと請求されます。また、この超過分は高額介護サービス費の対象にもならないので、後から戻ることもありません。ショートステイを増やした月は超えやすいので、事前にケアマネジャーに確認してください。
高額介護サービス費は、自分で申請するのですか。
初回だけ申請が必要です。該当すると市区町村から申請書が届くので、振込口座を書いて返送します。2回目以降は自動で同じ口座に振り込まれる自治体がほとんどです。時効は2年なので、通知に気づかず放置していた場合でも、2年以内であれば遡って請求できます。
負担限度額認定は、誰でも受けられますか。
受けられません。世帯全員が住民税非課税であること、かつ預貯金等が基準以下であることの2つを満たす必要があります。預貯金の基準は段階により単身500万〜1,000万円です。注意点は、住民票が別でも配偶者は世帯に含まれることで、夫婦のどちらかに課税所得があると使えません。市区町村は預貯金を把握していないため、申請しないかぎり適用されません。
2026年8月に何が変わりましたか。
介護保険施設の食費の基準費用額が、1日1,445円から1,545円に上がりました。月30日で43,350円から46,350円になります。あわせて第3段階(1)の食費負担限度額が650円から680円、第3段階(2)が1,360円から1,420円に上がりました。第1段階・第2段階は据え置きです。居住費の基準費用額は変更されていません。
世帯分離をすると安くなりますか。
安くなる場合もありますが、必ずではありません。負担割合・高額介護サービス費・負担限度額認定はいずれも世帯単位で判定するため、分離で有利になることがあります。一方で国民健康保険料や高額療養費の判定が不利に動くこともあり、配偶者は住民票が別でも同一世帯として扱われます。実行前に市区町村の窓口で両方の試算をしてもらってください。
おむつ代は介護保険で戻りますか。
介護保険では戻りません。ただし医療費控除の対象になります。条件は、おおむね6か月以上寝たきりの状態で、医師が発行する「おむつ使用証明書」があることです。2年目以降は市区町村が発行する確認書で代えられる自治体もあります。年間10万円を超えることが多い費目なので、確定申告で申告してください。
住宅改修の20万円は1回きりですか。
原則は1住宅につき生涯20万円までです。ただし、要介護度が3段階以上上がった場合と、転居した場合には、あらためて20万円の枠が使えます。20万円を数回に分けて使うこともできます。最も多い失敗は工事を先に済ませてしまうことで、事前申請と承認がないと1円も出ません。着工前にケアマネジャーへ相談してください。
お金の準備より先にやることはありますか。
親の市区町村に何があるかの確認です。夜間に来てもらえるサービスが1つもない市区町村は1,089で全体の57.6%、訪問看護がない市区町村も363あります。使えるサービスが地域になければ、区分支給限度額がいくらあっても在宅は続きません。地域に何があるかが分かってから、在宅か施設かを決め、その上で予算を組む順番になります。
施設に移ったあと、実家をどうするか
在宅から施設に切り替えると、施設の居住費と実家の維持費を二重に払う期間が始まります。空き家は持っているだけで固定資産税と管理の負担が続くので、費用計画に必ず効いてきます。急いで決める必要はありませんが、選択肢だけは知っておいてください。姉妹サイトの実家じまいナビで扱っています。