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大切な人を亡くした方が思いを語らう“癒しの場” ハグハワイ

大切な人との思い出は時間が経っても、それぞれの人生に大きな影響を与えることが多いのではないでしょうか。
死別直後の方や、何年も時間が経った方、それぞれが抱える喜びや悲しみを“死別”という体験をした者同士が安心して語り合える場所があります。
ハワイ生まれのNPO法人ハワイ日本語グリーフケア協会(通称:HUG Hawaii/ハグハワイ)です。
今回は、それぞれの思いを尊重してサポートしあう場を提供する、HUG Hawaii(ハグハワイ)東京ファシリテーターの内宮美知子さんにお話を伺いました。

一人ひとりの“ありのまま”の思いを、大切に抱きしめ癒す




―HUG Hawaii(ハグハワイ)の設立経緯と活動目的をお聞かせください。

HUG Hawaii (ハグハワイ)は、大切な人を亡くした方達を日本語でサポートするために、2009年にハワイで設立、NPO法人Hawaii Japanese Grief Care Association(ハワイ日本語グリーフケア協会)として登録されました。
現在では、ハワイ、東京、大阪、帯広で活動しています。
HUG Hawaii (ハグハワイ)の”HUG”は抱きしめるのHUGもそうですが、”Help and Understanding for Grief”(悲しみを抱える方の助けと理解)の意味があります。

2008年に死別を経験したハワイ在住の日本人女性3人が出会って、お互いに経験を語ることで癒される体験をして、きっと他にも需要がある、ということで起ち上げられました。

[以下、HUG Hawaii(ハグハワイ)ホームページより)]
絶望と悲しみの中を手探りで無我夢中に生きて来た私たちは、多くの人達の温かな支えと助け無しには、ここまでの日々を歩んでこられなかったことを実感しています。
特に日本を離れてハワイに住む私たちは、身近な家族や親戚が近くに居ない状況にあるため、お互いが助け合い、励まし合うことによって、新たな道を歩み出すことを経験してきました。
今までの経験と感謝の思いを持って始めた日本語でのサポートグループ Hug Hawaii(ハグハワイ)は、多くの人々の理解と交わりによって、ハワイで、そして日本へ、さらに悲しみにある人に寄り添い心のサポートをしていくことを目標とし、ハワイ日本語グリーフケアー協会として登録しています。

―内宮さんはどのように、ハワイが拠点のHUG Hawaii(ハグハワイ)と出会ったのですか?

夫はスキルス胃がんでした。がんの診断を受けた時には余命半年と言われ、43歳で亡くなりました。
当時は今より知る人の少ない病気でしたが、その1年前に知人がその病気で亡くなっていたため、私達はその病気をよく知っていました。
2011年2月に夫婦で人間ドックを受けた時は、特に所見なく「大丈夫です」と言われました。
余命宣告はその半年後のことです。

私は21歳の時に結婚したので、その時、すでに結婚生活18年でした。会社で同期として出会い、付き合い始めてすぐに結納、結婚となりましたが、今思い返すと不思議ですね。その早さも。

ハワイは、新婚旅行で夫と行った思い出の地です。
夫の友人が「ハワイに住んでいる友人が、ご主人を亡くしているんだよ」と繋いでいただいた方が、HUG Hawaii(ハグハワイ)設立者のお一人でした。
闘病中にメッセージで励ましていただいて、主人が亡くなって落ち込んでいる時に「そうだ。彼女はブログを書いていたなぁ」とホームページを見てみた時に『HUG Hawaii (ハグハワイ)』の活動を知りました。
なんとか病気を治したいという気持ちが強かった闘病中は、グリーフや死別のことは気にはなっていても無意識に避けていたのかもしれません。
亡くなってから詳しい活動内容を知って、死別後のすごく早い段階で入会したんです。

入会して約2ヶ月後、ハワイの設立者のお一人が東京に来た機会に初めてHUG Café(ハグカフェ)に参加して、久しぶりに深く呼吸が出来たような気持ちになりました。
HUG Café(ハグカフェ)とは、HUG Hawaii (ハグハワイ)の活動の一つで、死別の経験のある方達が集い、自身のことを話したり、他の人の話を聞いたりして、体験や思いを共有する集まりです。
当時の私は、自分が見えていた世界が全部無くなってしまって、心が砂漠のように乾いて荒涼とした状態になっていたのだと思います。
でも、HUG Café(ハグカフェ)でお話をして、泣いたり笑ったり、他の方がお話をしている姿を見たり聞いたりしているうちに、スーッと心に水が沁みいっていくような感覚を得ました。
「あぁ。こういうホッと出来る場所があるんだなぁ。」というのが、最初のHUG Café(ハグカフェ)との出会いでした。

悲しみは悲しみのまま、共に進んでいく日々




―特にHUG Hawaii(ハグハワイ)に安心感を感じたのは、なぜだったのでしょう?

その時は死別後数ヶ月ですから、悲しい、辛い、の感情でいっぱいでした。
でも「それで当然なんだよ」と、そのままありのままを受け止めてもらえたのが、とてもありがたかったです。
この時の出会いに今でもとても感謝しています。
私は「この悲しみを乗り越えていくのかな?薄れていくのかな?」と思っていた部分があったのですが、そうではなく、この悲しみと“共に生きる”ということが死別後に始まるのだと、少し先行く人達から見せてもらえた気がしたのです。

「私もここに来れば、そういう時間が持てるんだ」
そう思えたことが、深い安心につながったと感じます。
日本では、「悲しみはいつまでも持っていないで乗り越えた方がいい」、というものがあるような気がするのですが、悲しみは悲しみのままで自分の中にあってもいいのだと思います。
悲しみの大きさは、他人から評価されるものでも、また他人と比べるものでもないと思います。
でも、どのような表れ方であっても、またどのような気持ちであっても、故人への思いの強さが、悲しみであり愛情につながっているのではないでしょうか。

HUG Café(ハグカフェ)に行きながら、自分自身でもグリーフ・カウンセリング・センター(GCC)でグリーフについて
学んでいく中で、 のちに認定グリーフカウンセラー資格を取得。
自分自身の経験を通じて、私なりの悲しみのとらえ方を作っていったように思います。
そして、自然の流れの中、私自身が癒された場所で今度はファシリテーターとして関わっていくこととなりました。
東京のHUG Café(ハグカフェ)は、都内のギャラリーで行っています。ハワイのスタッフの方達とも、色々な思いを共有しながら進めています。

―HUG Hawaii(ハグハワイ)の具体的な活動について教えてください。

現在は56名(日本34名、ハワイ22名)の会員がいて、希望する方はハワイ・日本、どちらの活動にも参加できます。



定期的な活動としては、HUG Café(ハグカフェ)をハワイは月2回、東京は月1回、帯広、大阪は2ヶ月に1回開催しています。
また自死遺族限定のグループミーティングである“アルファの会”をハワイ・東京で月1回開催しています。
この会では自死遺族に向けられやすい偏見を心配せず、同じような経験をしたもの同士が安心して痛みを話せる場を提供しています。

勉強会やワークショップ、レクリエーションは随時開催です。
例えば東京では2017年7月に、死に関するあらゆる情報提供とサポートを行うライフ・ターミナル・ネットワークの金子稚子さんと、HUG Hawaii (ハグハワイ)からは代表のフロイド由起がハワイより来日し共催イベントを行いました。
内容は「別れの、そのあとに。~別れの効用~」と題したドキュメンタリー映画『家族の軌跡〜3.11の記憶から〜』(大西暢夫監督作品)の上映とトークセッションです。
大きな悲しみ、苦しみを伴う、大切な人やものとの別れを通して得られた何か、別れの後の話を参加者と共に、共有しました。
(金子稚子さんの過去記事はコチラ→https://mamoria.jp/clip/20170630/life-terminal)

皆でパステルでハートを描くワークショップを行ったこともあります。また、2年前には軽井沢への旅行もしました。帰る時間を心配せずに語り合えて、とても有意義な時間でした。
他にも、ハワイでは土地柄、ヨガやピクニックやバーベキューのレクリエーションのほか、2か月に一度、ホームレスの方への炊き出しなどのボランティア活動も行っています。
誰かの役に立つ事が、自分達を励ます、ということが根本の考えにあるからです。



会員制ではありますが、サイトを見た方で、同じような思いをされている方なら、お試しでご参加いただけます。
ハワイをお好きな方が多いかもしれません。


「それでいい」一人ひとりが尊重される場所


―定期開催のHUG Café(ハグカフェ)では、具体的にどんなことをするのですか?

東京では参加人数に関わらず、月1回開催して、お互いの体験や思いを語り合います。
人は語ることで、自分の経験の意味づけをしていっていると思います。
例えば、辛かったことについて、同じような体験をお話しても、その度ごとに「その時、実はこう思ったんです」と、語ることが増えていたりすることがあります。

ハグカフェでは、闘病中の経験や、死の間際、直後の話もよく語られます。
最初は悲しみや怒りでいっぱいだったとしても、何度も語っていく中で、家族や友人、医療者のサポートに改めて気がつく人もいて、私自身がその姿に勇気づけられることもあります。
悲しみ以外に怒りが生まれてきたりすることもあったり、死別後の自分の周りとの関係性の変化に傷ついたりする人もいます。
以前は何とも思わなかった一言が心に突き刺さってしまうこともあります。
それも人間の自然な姿だと思いますし、ごくごく自然な感情だと私自身は受け止めています。
そして、私自身、悲しみから得ているものを感じることもあります。これは、亡き夫からのメッセージかな?と感じる事もあります。
悲しみだけではない何かを感じる事も大切にしていきたいです。

個人的な考えですが、“気持ちを出していく”ことに、すごく意味があるのかな、と思います。
定期的に自分の思いを取りだして、自分で話し、その自分の声を聴いて、そして、他者との対話の中から、さまざまな気付きがもたらされることもあります。
大きな喪失を抱えた時というのは、自分の真の姿に向き合う時間になると自分の体験を通じて感じています。
そして、他者との対話の中で、故人とのつながりを改めて感じたり、亡き後の関係性を見出す時間にもなっているように思います。

“死別後の生き方はほんとうに一人ひとりが違っている”というのが、この5年間で多くの方とお会いして感じていることです。
それぞれの性格、それまでの環境もありますし、男女の違い、年齢の違い、亡くした方との関係性の違い、死別した状況も全く異なります。
“その人が選ぶ生き方はその人の中にしかない”ので、その人自身がどう見出していくかを大切にしています。



どういうタイミングであっても「あぁ、なんか今月は辛い。」という時に、来られる場所を作っておきたいと思っています。
もちろん死別直後で強い悲しみなど苦しさを抱える方に駆け込み寺のように来ていただきたいです。
そうではなくても、逆に死別後の時間が長くなり、周りとの温度差を感じてしまったりして思いを話す場がなくなってしまったという方のためにも、扉を開いています。

―HUG Hawaii (ハグハワイ)の今後の活動を通して、どんな未来を描いていきたいですか?

「皆が一人ひとり、“これでいいんだ”と思える場、それぞれの選択を尊重できる場になっていったらいいな、と思っています。
たとえば、悲しみ比べをするのではなく、それぞれの悲しみをそれぞれが持っているということを忘れないで、助け合い、励まし合っていける関係性を作っていきたいです。

「この形が正しい」と何かがクローズアップされると、そうではない方達はすごく傷つくこともあります。
闘病も、死の瞬間のかたちも、死別後のあり方も、死別後の気持ちも「どれも、正解がない」と、私は思います。
悲しみはどんな形で持っていてもいいと思いますし、どのような生き方もいいのだと思います。

私は死別後の新しい出会いや趣味を通じて、またもともと関係のあった方達とも死別を通じてより深く対話が出来るようになったりして、とても豊かな時間を過ごせていると感じることがあります。
そんな時間を過ごすときに、大切な亡き方達がつないでくれたご縁なんだなと感謝しています。
そういう喜びも、大切にしたいです。
ハグカフェでは、悲しみの共有もしますが、未来に向けての思いをそれぞれが語りあうこともあります。

一人ひとりが信じた道をそれぞれが歩いていける、それを皆でサポートしあえるような場所にしていきたいと思っています。
もし、死別後、なかなか他では言えない思いを抱えている方がいらしたら、是非ご連絡頂ければと思います。



お問い合わせはコチラ

組織概要

HUG Hawaii (ハグハワイ)HP:http://www.hughawaii.com/

参考サイト

グリーフ・カウンセリング・センター(GCC)HP:http://gcctokyo.com/
AICO artworks & Gallery HP:https://www.shinra-aico.com/aico-artworks-and-gallery/

執筆者

取材・文:gCストーリー株式会社 阿南
編集:gCストーリー株式会社 佐藤
画像提供:HUG Hawaii (ハグハワイ)、pixabay

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