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【後編】30万部越ベストセラー『おかげさまで生きる』矢作直樹氏

「死を心配する必要はない」30万部を超えるベストセラー『おかげさまで生きる』の冒頭でそう語る矢作直樹・東京大学名誉教授。
2017年3月末まで東京大学医学部附属病院救急部・集中治療部部長を務め、生と死の境界線で命と向き合い続け、確信した“魂”の存在。
現在は執筆・講演活動、“日本のこころ”を取り戻すために「我が国のこころ塾」を主宰し、“いかに生きるか”を考える機会や日本の歴史・文化・伝統を学ぶ場を提供しておられます。
後編では、与えられた目の前の仕事に没頭し続けることを日々大切にする矢作名誉教授に『おかげさまで生きる』について、お話を伺いました。
前編はコチラ→『身軽に生きる』今この瞬間を大切にする生き方-矢作直樹氏インタビュー
https://mamoria.jp/clip/20170818/live

くよくよせずに「今に集中して生きること」が大切。




―ご著書の冒頭で述べられている「あの世がすぐそばにある」と感じたキッカケは何ですか?

元からでしょうね。拙著『人は死なない』(バジリコ刊)に書いた、審神者役、霊媒役をしてくれた友人たちを通じて他界した母と交流した時にも感じました。
二人の間でしか知り得ない多くの情報のやり取りに得心が行きました。

よく「死にたくない」と言う方がいるので不思議に思います。他界はいつも身近にある別世界であり、再会したい人とも会えます。その前にやるべきことは“自分の人生を全うすること”だと思います。
「死ぬことによって学びがスピードダウンすることが怖いと言っているのかな」とか「家族との今世の縁が切れるように見えることが寂しいと言っているのかな」と色々考えてはみたものの、よく分かりませんでした。

死は肉体死であることに間違いありませんが、私たちの魂は永続します。
その意味で、亡くなった方が自分のすぐそばで見守ってくれているのも事実であると公言しています。これも実は古来、日本人が持っている感性の一つにすぎません。
その感性とは「ご縁」です。日本人なら皆ごく自然にこの感性を持っているわけです。

人は皆、大いなる存在に生かされています。
死を心配せずに今に集中して生きることが大切であり、何よりも今を楽しむことこそ、最も重要なキーワードだと思います。

―臨死体験や縁者の“お迎え体験”によって、あの世を信じるようになる方もいますね。

自分で体験しないと分からないことが多いですよね。信じない方でも、必要な時に必要な体験をするので心配はいらないと思います。
悩むことが趣味のような方もいるので、ご本人が言っている程、他人があまり干渉する必要はないかな、とも思います。

―「多くが平均寿命とういう言葉に縛られて生活している」の言葉にはハッとさせられました。

多くの人がそこまで生きられると錯覚する原因になっていますよね。
特に日本人の平均寿命は世界的にトップレベルだと毎年ニュースで喧伝されるたびに、自分もそこまで生きて当然、生きられないとまるで不良品のごとく思ってしまうのは問題です。

「いかに死ぬか」の考えも、年と共に段々と変わっていくでしょうから「こうならねばならない」とまで硬く考えなくても“あるがまま”で良いのではないでしょうか。

古来、死に方には生き方が出ると言われます。
強いて言うと「残った人に迷惑をかける割合を少しでも減らしたい」という視点で「リビング・ウィル(生前意思/参考:尊厳死協会過去記事 )」を公的に残すというのは良いですね。
全部同時にやる必要はなくて、公的に残さなくても「生前こう言っていました」と意思が分かるようにしておくだけでも良いし。
例えば、よくある遺産相続や葬儀の問題や、納骨をどうするかとか、考えると色々と出てきますからね。

―先生はリビング・ウィルを公開して「終末期での積極的医療は希望しません」とおっしゃっていますね。

私の場合は、この年まで生きると「後の人に医療を使ってほしい」という、ただそれだけの気持ちです。
リビング・ウィルとして細部まで書いておくと、最終的な治療方針について家族が判断に苦しまなくてよいかと思います。その実例として、拙著で私自身のリビング・ウィルを紹介しています。

人生の岐路に何を思うか。自分と対話し、笑顔で健やかに





―死を心配することについて、自分の存在が消えることに不安を抱える方がいますよね。

論理的に考えると、消えて何も無くなるなら考えることができませんから、何も心配いらないのではないでしょうか。迂闊に考えることができるから苦しいのであって。

論理思考をしない方の一部には「この世限りだから頑張る」と言う方がいます。
ある意味良心的ですが、この世限りならどれだけ悪いことをしたって良いわけで、そういう方に聴いてみたいのは「なぜ我々に良心があるのですか?」という問いです。

意識も電磁波なので比較的3次元だと境目がハッキリあるけれど、次元が上がると、いくらでも混じるかと思います。
例えば空気は全部繋がっていますね。意識も次元が上がるともう少し大きくなると想像してみてください。
理屈を覚えて見えなくなっていますが、ほんとうは“こころ”を静かに向き合えば、どなたも分かるものだと思います。

―家族側は、死のタブーによって「人生の“しまい方”を切りだしにくい」とよく聞きます。

本人にとっての死という以前に 、あの世がどんなところかを具体的な事案から少しずつ伝えるようにすれば良いかもしれませんね。
例えば「近所のおじいちゃんにお迎え現象があって、花畑がどうしたこうしたって言って幸せそうだったよね」というところから始めて、というように。

―「理不尽な状況で人間の本性が出る」というお話がありましたね。

自分の力ではどうしようもない状況に際して、それもまた人生と、まずはその状況を受入れることで大きな学びを得ることができると思っています。
救急の現場では誰よりも自分の家族の治療を先にして欲しいと要求し、臨終の席では「なぜ助けてくれなかった」と家族が医師を責めたてることがあります。
普段はおとなしい、特に毒を吐くわけでもない普通の方が、まるで人が変わったようになった現場を経験しました。
それでもしかたないことはしかたがないのです。
人生の岐路に立たされたとき、是も非も及ばない状況に自分が直面した時、しかたがないという言葉がでるか否か。
私たちが覚悟を持って生きているかどうかが、試される瞬間ですね。

―病気の予防についてはいかがでしょうか。

患者さんは病気を即物的に捉えて「治してください」と来ます。
病気を治すと言うけれど、病気になったのはご本人ですから、なぜ病気になったか考えてみることですね。
いよいよ切羽詰まると、そうも言っていられないので、普段から考えておきましょうとお伝えするためにも、お話をしたり本を書いたりしています。

前編で「朝起きた時くらい鏡を見て、自分の顔が“にこやか”になっているか、は見てほしい」と申し上げました。
鏡を見ることには意味があって、怒りを内に溜める人は、例えば大腸がんや肺がんの発症率が高く、悲しみを内に溜める人は乳がんの発症率が高い、との報告があります。

大体、顔を観ているとどんな病気になるのかが想像されます。
顔つきとも少し違って、顔に出てくるもの、と言う方が良いかもしれません。どなたも自分で観れば分かるかと思います。
笑顔は自分も周りも照らしますから、普段から意識したいものです。

病気は「病の気」と書きますが、これはネガティブの気が多い状態です。だからこそポジティブの気の割合を増やし、免疫力を高めたいものです。
病気は自分の内側との対話です。対話の過程でどちらの気を増やすかは、自分次第です。

感性を育み、自分らしく「あるがまま」に生きる


―日頃ニコニコと笑顔で感謝している方は、年齢問わず若々しく見えますね。

もっと若く見られたい、というのは、女性に限らず男性にもある欲望ではないかと思います。
“アンチエイジング”について、もっとも大事なのは「何をもって若々しく見えているのか」ということではないでしょうか。
単純に皮膚のシワやハリについて局所的に言っているわけではなくて、人の“若々しさ”は、全体から出てくるエネルギー感なのです。
何を以って“若々しい”と言うかも、1つ基本的なことだと思います。

―アンチエイジングではなく「加齢を楽しむ」ことを勧めておられますね。

アンチエイジングも、体を大事にするという意味での取り組みはわかりますが、そもそも体を大事にすることにお金はそれほどかかりません。
質素だけれどバランスのとれた食事、適度な運動、穏やかな心持ち、たったこれだけの要素を大切にするだけで、つまり、その生活シーンごとの「質」をしっかり保つことで、誰しも本来持つ輝きを失いません。究極は何も気にしないことです。

いきなりすべての執着を捨てることは無理かもしれませんが、年齢を重ねるごとに逆にエイジング(加齢)を楽しむ余裕を持つことは、そう難しいことではないはずです。
周囲の評価を気にせず、自分らしく生きている人は輝いて見えます。肩の荷が下りて、人生が少し楽になるのではないでしょうか。

―日本人の特性と「おかげさま」の精神について、先生の考えをお聞かせください。

みんなが育むべきは、五感、感性なのでしょうね。
「今あること自体が奇蹟だ」と気づけば、感謝が生じると思うのです。
多くの人かどうかは分かりませんが勘違いをしていて、どうも “今あることが当たり前”が出発点になっているように感じられます。
だから、身内の方が死ぬとなかなか受け入れられません。あることを前提にしてしまうと、確かに感謝は減るでしょうね。

全て“今”というのは絶妙なバランスであるものです。ご縁もそうでしょうしね。
日本人は精神性の高い民族です。
「愛、調和、寛容」の三つが、まさに日本人の特性を表わしていると感じている人は、たくさんいると思います。

―今ある奇蹟と「おかげさま」の精神がリンクしていることが大切なのでしょうか。

それも“あるがまま“で良いと思うのです。
多分、理由があってそうなっているとした場合、その理由が自分自身で努力というか、心持ちを変えたから改善できるものと、表現が難しいのですが、今世の課題として変わってはいけないこともあるように思います。
そこを五感で感じられるようになると良いのかもしれませんが、論理思考だけではなかなか難しいかもしれません。
必要な時に、必要なことが、必要なだけ、分かるようになっているものでしょうけれど。

―最後に、どんな方にどんな思いを届けたいかをお聞かせいただけますでしょうか。

今の状況を良くしたいという方にキッカケとして、これまでの歴史を知っていただきたいです。
それと、まだ始めていませんが「健やか塾」のようなものは必要なのかもしれませんね。
食事の摂り方とか、絶食に凝っている人もいるみたいですから、その辺りも含めてボディワークというのか、気の扱い方とか、色々なことを総合的に学べる場を提供できると良いですね。


組織概要

矢作直樹事務所HP:http://yahaginaoki.jp/
著作リスト:http://yahaginaoki.jp/book-list/
Facebook:https://www.facebook.com/naoki.yahagi.77

参考文献

『身軽に生きる』矢作直樹著(海竜社)
『おかげさまで生きる』矢作直樹著(幻冬舎)
『人は死なない ある臨床医による摂理と霊性をめぐる思索』矢作直樹著(バジリコ)

執筆者

取材・文:gCストーリー株式会社 阿南
編集:gCストーリー株式会社 佐藤
画像提供: 矢作直樹事務所、gCストーリー株式会社

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