仕事と介護の両立第4弾!今回は、最近多くの企業が会員登録をされている、働く介護者のための介護のトータルコーディネートを提供する「NPO法人海を越えるケアの手」をご紹介いたします!代表の勝部様、事務局の入谷様にお話をお伺いしました。
要介護認定も関係ない。遠距離介護のトータルコーディネート
―どんな活動をしていらっしゃるのですか?
弊団体では、遠距離介護を行っている方に介護のトータルコーディネートを行っています。もともとは、海外駐在経験のある商社OBが日本に残してきた自分の親の介護が必要となった時の経験から、後輩たち海外駐在員に代わって彼らの親を助けられないものかと立ち上がった団体です。ですから、介護や入院時の相談から、入院手続きの代行や葬儀手配まで、相談で終わらずに、最後までサポートをするワンストップサービスを掲げています。
介護のトータルコーディネートというとケアマネさんとよく間違えられます。ケアマネさんはあくまでも要介護認定をうけた介護保険制度に則って介護サービスを提供していますが、弊団体はご家族が要介護認定を受けていなくても、介護保険外のサービスも含めて支援を行っています。
―相談だけでなく、手配代行までしてくれるとは珍しいですね。
そうですね。他にはないと思います。ただし、代行サービスは会員費とは別料金になるので、原則はご家族の方ができる範囲はご家族で解決できるように提案しています。入院などの緊急時以外の手続きなどは、基本的にご相談者様が帰省をしたときに手続きをする事でも間に合うのです。
―なるほど。手配代行の場合、どうやって実際のサービス提供まで実現しているのですか?
はい。全国の社会福祉士、看護師やケアマネージャーなど170名の専門職ネットワークがあり、その方々と協力して、ご家族がお住まいの地域サービスにつなぎます。彼らは、うちの理念に共感してくれたボランティアさんたちです。一度面接をさせてもらい、うちに合うかどうかを見極めさせてもらった人を厳選しています。独立している社会福祉士さんや、現在は働いておらずフリーに活動する看護師さんに登録いただくことが多いですね。
NPO法人だからこそ、中立でありたい
―設立してから15年とお聞きしましたが、その間は順調だったのでしょうか?
いえ、設立から数年間は、経営が難しく、借金だらけでしたね。当初は永田町に事務所を構えていましたが、当時、永田町のNPOというと良からぬ団体と疑いをかけられて、なかなか営業に行っても相手にしてもらえませんでした。そこで、今の茅場町に移動してきましたが、数年間は赤字続きでした。前代表が突発性の難病にかかってしまい、余命一年で亡くなってしまった時には、途方にくれましたね。団体をたたもうかという話も出ましたが、話し合った結果、当時契約をしてくれていた会員さんたちのために続けようということになりました。
それから、知り合いの著名な方々に特別顧問になってもらい、その方々のバックアップを受け企業の方々に話を聞いてもらうなど、地道な活動をつづけた結果、口コミで少しずつ会員さんが増えていきました。だから、今では特定の施設や団体とお付き合いすることなく、「中立」をとても大事にしています。
相談しやすい環境づくり
―なるほど、最近はかなり法人会員も多くなってきたとお聞きしたのですが。
そうですね、ここ3年ほど、安倍内閣の「新・三本の矢」や、ワークライフバランスが取り沙汰されるようになり、育休も落ち着いた企業が取り組み始めたのが「仕事と介護の両立」でした。広告も使っていないのですが、法人会員数は70社まで増加しています。
―法人会員にはどのようなサービスを提供しているのですか?
法人会員には、通常個人会員向けに提供している介護等の相談対応と手配代行に加え、企業内セミナーの実施も行っています。また、年に2回、相談者数と手配代行を利用した従業員数を企業に報告をしています。基本的に、従業員の相談内容は企業には公開していません。というのも、従業員(特に男性)の中には会社に介護をしていることや相談していることを知られたくない人が多いためです。また、法人会員の人事さんには、「人事は介護の専門職ではないので、ぜひ丸投げしてください」とご提案しています。人事を通さずに、直接従業員の相談にのることで、人事に負担をかけないこと、従業員が相談しやすい環境をつくることを両立させています。
より幅広い仲間とともに仕事と介護の両立支援を
―今後は、どのようなことをお考えですか?
これから、介護と仕事の両立を支える人がもっと必要になるだろうと思います。現在、相談を受ける事務局は茅場町にあるのですが、定年退職後の第二の人生をここで過ごしたいと名乗りを上げてくれた仲間たちで運営しています。高齢化も進んでいるため、想いを引き継いでくれる人を探したいと思っています。
団体概要
NPO法人海を越えるケアの手
http://www.seacare.or.jp/
※NPO法人海を越えるケアの手では、会員でない方の介護相談は承っておりません。併せて会員登録のご相談をしていただくか、介護についてのご相談のみをご希望の場合は「マモリア介護相談窓口」までお問い合わせください。
執筆者
取材・文・撮影 GCストーリー株式会社高橋
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