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「親が介護になったら?」を考える機会を -PwCあらた有限責任監査法人

今回は、仕事と介護の両立支援・介護離職防止支援のテーマ第二弾!企業へのインタビューとして、PwCあらた有限責任監査法人システム・プロセス・アシュアランス部江原様にインタビューを実施させていただきました。

介護事業の検討がきっかけ、そして介護に関わる家族との出会い



―どうして介護離職防止を始めようと思われたのですか?
私の前職が病院向けのサービスを提供するIT企業だったこともあり、PwCあらた有限責任監査法人に入社してから、メディカルヘルスケアの新規サービスについて検討することになりました。医療については知識があったのですが、介護に関しては未経験でした。そのため、介護施設の中でも、介護レクリエ―ションを一般向けに行っているいくつかの施設に話を聞きに行きました。

―実際に話を聞いてみてどうでしたか?
介護士さんや施設長さんだけでなく、当時レクリエ―ションに一緒に参加していたご家族に、その施設に入所するまでの経緯や介護をしていての苦労を聞く機会がありました。お話をしてみると、仕事と介護を両立しようとしたものの、支援するような明確な社内制度がないこと、周囲の理解が得られないことから、やむを得ず介護離職を経験した方ばかりでした。当初は事業として介護事業者向けのサービスを検討していたのですが、介護される本人や介護の専門職だけでなく、介護に関わる家族もみんなが幸せになったほうがいいと考えるようになりました。そのとき、自社の職員たちはどうなんだろうと、ふと顧みてみたんです。自社の職員が介護で幸せになっていないのに、お客様に価値のあるサービスは提供できないと思いました。

そこで、まずは社内で、どの程度仕事と介護の両立支援が実施できているのかを調査しました。すると、人事部は介護に関する制度を法制度以上に充実させていました。しかし、それらの制度をどう効果的に活用すればよいのかという点までには十分に手が回っていない状況でした。

そのような背景の中、今回の「介護離職」については、働き方改革やジェンダー、多様性をテーマにした「ダイバーシティ&インクルージョンチーム」、を中心としながら、介護上の課題について人事制度面の整備を行っていた「人事部」とそしてわたしたち「システム・プロセス・アシュアランス部」の三者で取り組み始めました。

企業にとってではなく、介護者にとって必要な情報は何か?



―具体的にどのようなことを行っているのですか?
先ほどもお話ししたように、すでに法制度以上の介護と仕事の両立支援制度は人事部が整備をしてくれていました。そのため、どう活用をしていくのか?どう職員に教育をしていくのか?をテーマに活動をしていました。1点目は、介護対応支援ガイドブックの作成、2点目はネットワーキング勉強会の開催です。

介護対応支援ガイドブックは、介護が必要な状態になった時にこれさえ見れば介護の全体像が分かるように、下記のような構成にしました。

・介護に向けた心構えの解説
・介護に係る公的な制度の解説
・介護に関る人事制度についての解説、及び利用例

特に注力したのが、「介護に向けた心構え」の解説です。これは私が介護体験者に実際に話を聞いて回り、共通性の高い話題を抽出して作成しました。在宅・施設、遠距離・同居、家族構成、近所づきあいの多さなど、一人ひとり状況が全く異なり、共通項を見出すことが非常に難しかったです。

―共通項は見えましたか?
あえて共通点を上げるとすれば、「一人で介護を抱え込んでしまうと、途端に介護を継続することが難しくなってしまうこと」「交通事故と同じように、まだまだ介護が縁遠いと思っていた人がほとんどだったこと」「介護対象者になる人と、日頃からコミュニケーションをとっておいたほうが良いこと」です。共通項を出すことには苦労しましたが、それでもまんべんなく平均的に聞くことができたので、いろんな介護者の観点からガイドブックへの掲載内容を検討でき、人事部が職員に教えたい情報というよりは、介護者が知りたい情報を掲載することを意識できたのかなと思います。

―人事部以外のチームが協働して動いていたメリットですね。
そうですね。介護者、つまり職員側の目線に立っているからこそ、人事部のイントラネットのサイトにおいてもらうことにも意味があると思います。逆に、人事部と協力して出すアウトプットですから、表現の仕方については個人的に気を遣いました。

「介護をすることになったら?」を考える機会を設けることが最も重要



2点目がネットワーキング勉強会ですね。これは、介護対応支援ガイドブックを活用した勉強会です。当法人ははもともとテーマを設定して、社外からゲストを呼んで講演してもらったり、テーマを決めてディスカッションをしたりする勉強会の文化があります。その文化を活用し、介護に関する情報連携ネットワークの勉強会を不定期で開催しています。

―職員の皆さんにはどうやって告知をしているのですか?
まずは全社メールをダイバーシティ&インクルージョンチームから定期的に発信してもらいました。ほかにも、社内SNSで「Kaigo/Caring Family Networking」というコミュニティを作成し、そちらにも告知をしました。当初はメールで集まってくれる人が多かったのですが、次第に、勉強会参加者の口コミが広まっていきました。参加者は介護に関心の高い人、特に管理職層や地方出身者が多いですね。

―どんな内容で開催しているのですか?
例えば「2年後に地方に住んでいる親が介護になる、と宣告されたとしたら、あなたはどうしますか?」とテーマを決めてチーム別に対応方針を協議・発表してもらったり、社内の介護体験者にお願いをしてシェアリングセッションを開催したりしました。勉強会では、迷ったら毎回介護ハンドブックを使って調べてみるように促しています。

―考えることを重視しているのですね。
はい。勉強会では、本人自身に考えてもらうことを意識しています。本人が椅子から立ち上がろうと思った時に、道しるべになるものを作っておくべきだと思います。実は、最初に介護対応支援ガイドブックを作成した時に、思っていたよりも反応が少なくてがっかりしたんです。しかし、介護になる前って、まさか自分の身に降りかかると思ってもいないことが普通なんです。だったら、企業としてできることとは、事前にセーフティネットを作っておいてあげることなんだと思うんです。

継続していくことで、人の輪を広げる

―今後はどんなことにチャレンジなさるのですか?
どこの部署に介護と仕事の両立に悩むリスクの高い人達がいるのかを可視化し、それぞれの顔の見える人達へより響く具体的な施策を検討したいと考えています。

また、一番重要なことは継続することだと思います。ネットワーキング勉強会は今は諸事情で一時中断している状況ですが、今後再開したいです。ある時点で勉強会や社内告知を一生懸命やっていても、やり続けていかないと、人が離れていってしまう。口だけだったのか、とならないためにも、様々なアプローチで継続することが最も重要だと考えています。

―江原さん、貴重なお話ありがとうございました。

組織概要

PwCあらた有限責任監査法人
http://www.pwc.com/jp/ja/assurance.html

執筆者

取材・文・撮影 gCストーリー株式会社高橋

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