要介護度が上がるにつれて、必要になってくるのが車椅子です。要介護者の移動手段として、屋内外共に使用されることになる車椅子ですが、必要になった際には買うのか、借りるのか悩むという方もいます。今回は、車椅子を購入した場合とレンタルする場合のメリットとデメリットを比較していきます。
車椅子を購入する場合のメリット
車椅子を個人で購入する場合のメリットとして、持ち物として自由に扱えるという点が挙げられます。レンタルする場合の車椅子は中古のものが多く、痛みや劣化が気になるという方もいます。また、レンタル車椅子には取り扱いの規約が設けられており、破損や紛失してしまった場合には、規約によっては修繕費や代金を支払わなければいけないこともあります。車椅子を個人で購入する場合は、新品か中古品かを選択することもでき、所有物として自由に扱うことが可能です。
車椅子を購入する場合のデメリット
車椅子を個人で購入する場合は、初期費用にかかる料金が高額になってしまいやすいです。これは、車椅子の購入が介護保険の対象に当たらないことと関係があります。全額実費になってしまうため、初期にかかる費用は自走用車椅子なら2万円から3万円程度、電動車椅子なら20万円から40万円程度が必要になります。また、車椅子が破損してしまった場合などのメンテナンスは個人で行わなければいけません。購入した車椅子を使用しなくなった場合や介護度に合った車椅子に買い替える場合など、使わなくなった車椅子の処分方法に困るという方もおり、管理が難しいといえます。
車椅子レンタルを利用するメリット
車椅子レンタルを利用する場合、レンタル料は介護保険サービスの対象に含まれるため、車椅子入手にかかる初期費用を大幅に抑えることができます。自走タイプの車椅子をレンタルする場合、レンタル料の相場は5,000円から7,000円程度です。しかし、介護保険が適用されることによって、車椅子レンタル料金の自己負担金額は1割にまで抑えられます。1ヶ月あたり、500円から700円程度で車椅子をレンタルすることができ、初期費用を大幅に削減することができるのです。また、故障した際の修繕サービスなどが適用されるレンタルなども存在するため、メンテナンスを行いやすいという点もメリットとして挙げられます。
車椅子レンタルを利用するデメリット
初期費用を抑えることができる車椅子レンタルですが、長期間車椅子を利用する場合は、料金が高くついてしまうということもあります。1ヶ月あたりのレンタル料は500円程度であっても、4年間使用し続けた場合にかかる費用は3万円になります。自走用車椅子の価格帯は2万円前後のものが多いため、この場合は車椅子を購入した方が費用を抑えることができます。電動車椅子をレンタルする場合、1ヶ月あたりにかかる費用は1万円から2万円が相場です。介護保険が適用されることによって、1月あたりの自己負担額は1,000円から2000円程度になります。1ヶ月あたりのレンタル料金が2,000円の電動車椅子を9年間使用し続けた場合、かかる費用は21万円程度です。これは電動車椅子を購入する際の初期費用と、同程度の金額になります。10年以上使用し続ける場合は、レンタル費用がさらにかさんでしまうため、購入した方がお得になる場合もあります。
車椅子を使用する期間を考えることが大切
車椅子を購入するのか、レンタルするのか迷った場合には、車椅子を使用する期間を考えることが重要になります。車椅子購入の初期費用は高額になりがちですが、初期費用が安い車椅子レンタルでも、使用する期間が長いとトータルでかかる費用はかさんでしまいます。使用する車椅子の種類と金額も踏まえながら検討することがポイントです。