足の不自由な人とって車椅子は非常に便利です。しかし、事故が起こることもあるので注意しなければなりません。車椅子の事故には、どのような事例があるのかを知っておくと良いでしょう。事前に知っておけば用心できるので、事故を回避しやすくなるからです。そこで今回は、車椅子に関して起こり得る事故について紹介します。
車椅子の異常による事故
車椅子の故障が原因で事故が起こることがあります。車椅子は複数のパーツで構成されています。自動車などと同じで、使用しているとパーツは消耗していき、故障することもあるのです。たとえば、タイヤだと空気圧が下がっていたり、表面が摩耗したりしているケースが挙げられます。その場合、ブレーキが効きにくくなるので、衝突や接触事故の原因になりやすいです。ブレーキワイヤーが弛んでいる場合も同様に危険です。電動車椅子の場合は電気関係のトラブルも見られます。配線やバッテリーの異常で、急停止してしまうケースなどがあります。横断歩道や踏切内で停止してしまうと、大きな事故に繋がりかねません。
乗り降りの際に発生する事故
車椅子は乗っているときだけでなく、乗るときや降りるときにも事故が起こりやすいです。特に多いのはベッドと車椅子との間での移動時です。介護者のサポートがない場合は、自分の腕力で移動することになります。しかし、腕力が弱い場合は、体を支えきれずに落下してしまうことがあるのです。また、腕力が十分でも事故が起こる可能性があります。服の袖が車椅子のアームサポートに引っかかり、バランスを崩してしまうケースなどです。足の感覚がない場合はフットサポートを踏み外して、落ちてしまうケースも見られます。そして、車椅子のロックをかけていないと、移動しようとした反動で急に動いてしまうことがあります。その場合も転倒などの事故が起こりやすいです。
天候や道路環境が原因である事故
天候や道路環境も事故の原因となることがあります。急な雨で地面が滑りやすくなったり、視界が悪くなったりしたことによって、人や物に接触してしまうケースがあるのです。風も事故の原因になりやすいです。台風のときなどに、横からの突風に煽られて倒れてしまうことがあります。背中に強風を受けて加速してしまい、車椅子を制御できなくなるケースも見受けられます。道路環境が原因で起る事故は少なくありません。たとえば、歩道の縁石に気付かずに乗り上げてしまい、転倒する事故が起こっています。歩道の縁石以外にも段差での転倒事故は多いです。また、用水路に沿った道に柵がない部分があり、用水路に落下してしまう事故もありました。
他人の不注意による事故
車椅子を操作する人がいくら注意をしていても、事故が起こってしまうことがあります。たとえば、自転車との衝突事故が挙げられます。スマートフォンを見ながら運転したり、スピードを出しすぎたりするなど、交通ルールを守らずに走っている自転車は珍しくありません。自転車に向かって来られると、車椅子に乗った状態で回避するのは困難です。歩行者との接触事故も見られます。話に夢中になっている人がぶつかってきたり、曲り角で鉢合わせてしまったりするケースなどがあるのです。また、車道を通行中に、自動車に跳ねられて死亡する事故も過去に起こっています。車椅子は歩行者よりも高さが低いため、夜間など視界が悪いときには、ドライバーから視認されにくいのです。
事故防止には周囲の理解が大切!
車椅子は年々進化しており、安全性が高まっています。しかし、今回紹介したような事故は、依然としてまだ起こっています。車椅子がどれだけ便利になっても、健常者のように自由に行動することはできません。事故を防ぐために重要なのは、周囲の人が気を配ってあげることです。特に介護者は車椅子についての知識を習得して、適切なサポートを行う必要があるでしょう。