身体機能が低下した状態にある高齢者は、ちょっとした疾病やけがで寝たきりになってしまうことがあります。寝たきりを防ぎ、自立支援のために利用したいリハビリですが、いつどのようなリハビリを行えば良いのでしょうか。リハビリが必要になる疾病・けがやリハビリの費用、期間などについてご紹介します。
リハビリが必要になるような疾病・けがとは?
高齢者にとってリハビリが必要になる疾病・けがとして、代表的なものに脳卒中や脳梗塞、足腰の骨折などがあります。脳卒中や脳梗塞は、後遺症として身体の麻痺が生じることがあり、転倒などで負ってしまった足腰の骨折は、回復するまでなかなか身体を動かせないことがあります。しかし、高齢者の場合は、長期間身体を動かさずにいると関節や筋肉が衰え寝たきりとなってしまうため、適切な時期でのリハビリが重要になります。脳卒中や脳梗塞、足腰の骨折に限らず、何らかの疾病や怪我で数週間入院すると、入院中に身体機能が低下してしまい、リハビリが必要になることがあります。
リハビリに関わる職種とは
リハビリに携わる職種として、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)があります。理学療法士とは、医師の指示のもと利用者の運動機能の回復を援助することを仕事としています。起き上がりや歩行の練習・指導や、麻痺からの回復を測る神経生理学的な運動練習、関節の可動域を拡大する支援などの運動療法が中心です。
作業療法士は身体機能だけでなく精神疾患からの回復も行う点が特徴的であり、作業療法を通じて日常生活における細かな動作をサポートし、趣味を見つけるための手伝いも行います。言語聴覚士は、特に言語に関するリハビリに携わっており、脳卒中や脳梗塞などで言語障害になった人々の支援が仕事です。言語障害としては難聴や失語症、吃音、構音障害などがあり、これらの症状からの回復のほか、咀嚼障害や嚥下障害などの治療にも関わることがあります。
リハビリにはどのくらいの費用がかかる?
回復期のリハビリは、入院を継続したまま行われることが多くあります。その場合、大まかな費用構成としては「医療費」「食事負担額」「医療保険外自己負担分」です。医療費は健康保険法にもとづき年齢に応じた負担金を支払うことになりますが、高額医療費助成制度を利用することで一定額以上は免除される場合があります。
食事負担額は、おおよそ1日あたり700〜800円程度の負担が一般的です。医療保険外自己負担分としては、個室や特別療養室などを利用する際追加でかかる費用や、リハビリ用品のレンタル費などがあり、これは利用者のニーズによって金額にばらつきがあります。医療費と食事負担額だけを合計すると、3割負担の後期高齢者の場合1カ月あたり11〜13万円程度の入院費が目安です。
リハビリにはどのくらいの期間がかかる?
リハビリの期間は利用者の病状により多様ですが、回復期リハビリテーション病棟では、病状ごとに入院期間の目安が設けられています。たとえば、脳卒中などの脳血管障害の場合は150日以内ですが、そのうち高次脳機能障害を伴っている場合は180日以内となっています。また、下半身の骨折や2肢以上の多発骨折の場合は90日以内が目安ですが、下半身の骨折や神経・筋肉・靭帯損傷が生じてから1カ月以内の場合であれば60日以内が目安です。
リハビリの費用や期間をふまえて、計画的にリハビリを
高齢者の病状によって、必要となるリハビリ内容や、入院期間は異なります。費用や介助面での負担を減らすためには、高齢者に必要なリハビリを理解した上で、医師やリハビリ専門職とよく相談しながら計画を立てていくことが大切です。