車椅子は、多くの要介護者に必要とされている移動手段の1つです。お手洗いに行く時など室内間でのちょっとした移動から、買い物や散歩といった外出時の移動まで幅広く活躍してくれます。しかし、一見すると安全に見える車椅子の移動にも危険が伴う場合があります。中でも意外と多いのがフットレストによる事故。そこで、フットレストによる事故例やその対策、フットレストの選び方についてご紹介します。
フットレストで転倒する恐れが!切り傷や擦り傷の原因にも
車椅子についているフットレストとは車椅子に座る人の足を乗せる部分のことですが、フットレストは車椅子の下方にあるため、注意が行き届きにくい部分でもあります。その起こりやすい事故の1つが「転倒」。要介護者を乗せて目的地まで到着した時、フットレストをあげるのを忘れていたために、要介護者が床や地面でなくフットレストの上に立ってしまい、そのまま前に転倒してしまうといったケースが散見されています。
また、要介護者をベッドなどから車椅子に乗せる時にも事故が起こっています。フットレストには角や突起物などがあるため、足に擦り傷や切り傷ができてしまう原因となるのです。特に皮膚が弱い高齢者や要介護者である場合、ちょっと足が当たっただけでも長引く怪我の原因となってしまう恐れがあります。
他に、足がフットレストの後方に滑り落ちて車椅子と地面との間に挟まってしまったり、左右のフットレストの間に足がはまってしまったりといったことが原因で骨折をしたという例も少なくありません。
車椅子を選ぶ時はフットレストを要チェック!
意外と事故につながりやすいフットレスト。これから車椅子の購入やレンタルを検討している方は、フットレストの部分もしっかりチェックすると良いでしょう。
要介護者が自力で立ち上がることができる場合や自分の足で漕いで使用することを希望する場合は、フットレストが取り外しできるものやフットレストの部分だけを上げた(たたんだ)状態にできるもの、フットレストを左右に動かすことができるものが適しています。また、高さの調節も大事です。フットレストの位置が高いと膝を大きく曲げる必要がありますし、逆に位置が低いと足がフットレストにしっかり届かずにサポートできない状態になってしまいます。ポイントとして、要介護者の太ももが座面に軽く触れ、かつフットレストの位置を床から5センチ以上離すことができるものを選ぶと良いでしょう。
関節の不調や骨折など膝をできるだけ曲げたくない方や伸ばしたままにしておきたい方には、角度を自由に調節できる機能がついているフットレストもあります。
介助時はフットレストに気を使い、事故を未然に防ぎましょう
要介護者を転倒や骨折などの怪我から守るため、介護の際はフットレストにも気を配る必要があります。まずはフットレストの位置や角度をきちんと調節してあげましょう。足をきちんとフットレストに乗せることで、フットレストから足が滑り落ちたり、移動中に左右のフットレストの間に足が挟まったりする危険性を回避できます。
また、車椅子で目的地に到着した場合は、要介護者がフットレストの上に立ち上がったりしないように速やかにフットレストを上げたり、左右に動かしたりしましょう。ベッドから車椅子に移動をさせる時もフットレストへの気遣いが必要です。足がフットレストに当たり傷ができないように、足をしっかり支えたり、フットレストを左右に動かしておいたりするといった点に注意すると良いでしょう。フットレストにカバーをつけておくのもおススメです。
目が届きにくいフットレスト!事故に繋がることを忘れないで
フットレストは要介護者の足を守るために必要不可欠な部分です。しかし、使い方を間違えると骨折や転倒、切り傷などさまざまな事故の原因になってしまいます。フットレストは車椅子の中でも下方にあるため他の部分に比べると注意をしにくいかもしれませんが、要介護者を事故や怪我から守るために気を配るよう心掛けましょう。