国内の少子高齢化が進むにつれて、高齢者の「終活」に注目が集まるようになりました。エンディングノートや遺言状を作成し、遺された家族に負担をかけず、自分らしく最期を迎えたいと考える人が増えてきています。こうした中で、高齢者が生前に墓を整理したり、購入したりする動きが加速しているようです。今回は、少し先ですがお墓の購入について考えてみましょう。
墓じまいで区切りをつける
代々受け継がれてきた墓地があっても、墓参りに行くのに何時間もかかってしまうと、次第に管理が難しくなってくることがあります。こうした状況では、将来的な墓の管理で子供や孫に負担がかかることが予想されるため、高齢者が「墓じまい」をするケースが増えてきています。「墓じまい」にあたっては、さまざまな手続きが必要となるため、高齢者が自分の墓を検討する機会にあわせて改葬先を探すことが多いようです。
負担のかからない墓を購入
墓を持たない高齢者のなかには、子どもたちに負担をかけず、自分好みのデザインで仕上げることができる「生前墓」を購入する人も増えています。「生前墓」を購入するメリットとして、自ら見学会に足を運び、立地や区画のほか、墓石やデザインなどを選ぶことができる点があげられます。都市部から快適にアクセスできる納骨堂で永代供養の室内墓所を購入する人も増えており、墓石を残さない樹木葬を選ぶ人もみられます。
相続の負担軽減の面も
また、最近では相続税・贈与税の税制が改正されたことから、課税対象となる資産をできるだけ減らしておこうという動きもあります。墓の購入費用は相続税の課税対象外となりますし、その他にも、仏像や仏具の購入費用については、課税の対象とならないとされています。こうしたことから、18金の高価な仏像や仏具を購入する動きも出てきています。
家族での話し合いを大切に
墓をどのような形で残していくのかという問題は、子供や孫に代々引き継がれていく課題です。そのため、墓の準備を「終活」に取り組む高齢者だけで進めてしまうと、子供世代との意識にギャップが生じることがあります。あらかじめ元気なうちに、どのような墓を望むのか、意見を交わしておくことが望まれます。