厚生労働省では、介護休業制度をより使いやすいものとするため、制度の見直しを進めています。介護休業は「育児・介護休業法」によって定められており、2010年の改正では、介護休暇や父親の育児休業などの分野で改善が行われました。今回の見直しでは、介護休業の分割が焦点となり、「改正育児・介護休業法」が、2017年に施工されることが決まりました。休業の分割取得は何の意味があるのでしょうか?
介護休業の分割が可能に
これまで介護休業を取得する際には、対象の家族の状態に変化がない場合には、原則として1回しか休むことができませんでした。今回の改正では、2017年1月より、家族の状態に変化がなくても、93日間の介護休暇を3回まで分割して取得することができるようになります。また、介護休業の給付金は、これまでは休業前賃金の40%の支給率でしたが、2016年8月からは67%に引き上げられることとなりました。
具体的にどのように取得できるか
これまでは、同じ状態が続いている家族に対しては、1回の介護休業しか取得することができなかったため、家族の看取りのために、ギリギリの状態になるまで休業をとっておく人が多くみられました。今回の改正により、3回に分けて休めるようになり、家族が入居するための施設の見学をしたり、手続きのために時間を確保したりすることができます。また、数回に分けることで、家族を施設に預ける、自宅に引き取って看取りするなど、ポイントを押さえて休みを取得することができます。
先進的な企業の取り組みについて
介護離職が社会的な問題となる中で、独自の取り組みにより、柔軟な休業制度を設けている企業もあります。例えば、最大で2年間の介護休業を認めている企業があるほか、介護休業を半日単位で取得できる企業もあります。また、総合職から一般職、正社員からアルバイトなど、本人の希望に応じて切り替えが可能なシステムを採り入れる企業もあります。
まとめ
介護で仕事を離職する人は、年間10万人に及ぶといわれています。家族の介護と仕事を両立のためには、柔軟に取得できる休業制度が不可欠と考えられます。今回の改正によって、より介護休暇が取得しやすくなり、支給率も上がることで金銭的な負担の緩和も期待できます。制度に先行した企業の取り組みも注目されます。