高齢になると認知症の発症確率が高まります。その時に問題となるのが財産管理です。管理が難しくなった時にどのように手助けすべきか、家族が考えておく必要があります。リバースモゲージによる生活費の確保、成年後見人、市民後見人による管理など、様々な方法を知ることから始めてみましょう。
認知症になった場合の財産管理
認知症になると生活の多くの部分で支障が出てくることになりますが、その中でも財産管理というものは高度な知識と判断力が求められるため、困難になることが多い部分であるといえます。特に家族が離れて暮らしている場合、必要な契約が出来ないのは困りますし、かといって本人に任せたまま財産を失うようなことは避けなければなりません。
また、家族だからこそ財産管理でトラブルになるケースも見られます。家族がきめ細やかな支援をできないような状況であれば、プロに管理をお願いするという方法があります。また、市民の中から管理をお願いする方を探すという方法もあります。
さらに、持ち家があるけれども年金が少なく生活が立ち行かないようなときは家を貯蓄の一部と見立て、それを担保として生活資金を得るという方法もあるのです。こうした方法を使いながら、適切な財産管理ができるようにしていきましょう。
リバースモゲージについて
近年注目されている生活費の確保方法としてリバースモゲージがあります。これは、家を担保にして定期的に融資を受ける形です。年金のように融資を受け取ることが出来ます。月々の給付という形にしておけば、多額の貯蓄を詐欺などで失うリスクを減らせますし、浪費傾向のある高齢者に対する利用の制限もしやすくなります。家に住み続けたまま融資を受けることが出来るので、生きている間は今の生活を変えることがないのも大きなメリットです。
しかし、不動産の価格によって借りられる額が決まりますから、不動産の価値の上下によって給付が左右されがちであること、想定より長期間生存した場合に収入が打ち切られることなどデメリットも存在します。希望しても条件に合わなければ利用できないこともあります。定期的な生活費の確保を考えるのであれば、方法の一つとして検討してみたい制度です。
日常生活自立支援事業
本人にある程度認知能力が残っているけれど、細かい手続きや書類の管理などが難しい、という方のために、日常生活自立支援事業というものがあります。生活に必要な福祉サービスの利用、行政手続き、様々な契約や支払いについてなど、有料で手助けをしてくれる制度です。利用には本人にこのサービスを利用する意思があり、その点について判断できる必要があるという条件があります。
本格的な後見制度を利用するほどではないけれど、難しいことは自分でこなせるかどうか不安、という方に向いた事業です。各地域の社会福祉協議会などで行われており、自ら利用するほか、福祉サービスの支援に入っているケアマネージャーに紹介されて利用するケースも多いようです。
市民後見人と成年後見人
判断能力に問題があるとされた場合には、後見という制度を使います。裁判所を通して選定される後見人のほか、自ら契約して後見してもらう任意後見という方法もあります。これまでは成年後見人として、法律や福祉のプロが携わるケースが多い状況でした。弁護士や司法書士、社会福祉士などが成年後見人として活躍しています。しかし、プロの貢献では費用が高くなりがちなのが欠点でした。後見人のなり手も限られるという問題もあります。
そこで、広く市民が後見人となることを認めようとして登場したのが市民後見人です。専門性や倫理観が必要な仕事であり、大変ではありますが報酬はほとんど発生しません。これがどれだけ広がり機能していくかがこれからの日本の課題といえるでしょう。
まとめ
財産管理と一口に言っても、生活の細かな部分までカバーしなくてはならないので難しさがあります。認知症になってからではなく、なる前からのリサーチと話し合いが重要になります。財産管理を助けてくれるリバースモゲージや成年後見制度などを上手に用いながら、本人の暮らしを支える方法を模索していきましょう。トラブルを防ぐため、たとえ後見人にお願いするとしても、任せっぱなしではなくきちんと家族もかかわっていくという姿勢も必要となります。