仕事と介護の両立という事は、これから高齢者が増えていく日本では大きな課題となっていきます。しかしその実態は見えにくく、実際に自分がその立場に立たないとわからないことも多いものです。現在どのような状況にあるのか、実態をつかむことも大切です。また、企業でどのような支援体制があるかもチェックしてみましょう。
仕事と介護の両立実態調査
介護が原因で離職する方は、
年間10万人もいます。
その多くは女性です。女性の社会進出が進んでいるとはいえ、こうした介護などの際にキャリアが途切れてしまうことになり、結果的に他の国と比べ管理職などで活躍する女性が少ない原因となっているといえます。
介護離職後の再就職も厳しく、正社員として就職できないばかりか、その後就職自体が出来ない人が4分の1ほどいるのも大きな問題です。離職を防ぐための介護休業も取りづらい状態にあり、取得経験のある人は1割程度にとどまっています。制度自体はあっても、
その後のキャリアへの影響を考えると実際には取得しづらいという状況があるようです。経済発展への影響も考慮すると、こうした介護と仕事の環境について手を打っていく必要性が高いことがうかがえます。
企業における両立支援具体例1
離職を防ぐための介護休業を充実させているという事例もあります。法定の介護休業制度を超え、
日数や対象となる家族の範囲を広げていくという形で対応する会社が出ています。最長10年まで介護休業が取れるという会社もあります。単に休業期間を延ばすだけではなく、
時短勤務や休暇の半日取得など、柔軟な形で取得できるような制度も設けられています。こうした形で必要に応じて介護休業をとれることで、優秀な社員の外部流出を抑えることが出来るというメリットがあります。
実際にこうした休業の制度を充実させることで離職率を抑えることが出来た、というケースもあり、企業の人材育成にかかるコストを減らすための方法としてもよい影響を及ぼしているようです。
企業における両立支援具体例2
介護サービスの利用を支援するという形で企業が社員の両立支援をしているケースもあります。介護や通院の付き添いなどが必要になり離職するというケースが多かった会社では、そのような離職を少なくするため、訪問介護サービスを提供している会社と提携し、一定時間の介護サービス分の費用を会社側が負担するという仕組みを設けているところもあります。介護による離職を防ぎ、仕事へ集中しやすくする役に立っているようです。また、
サービスの利用に至る前段階でケアマネージャーによる相談窓口を設け、介護サービスや施設の紹介を行うという会社もあります。こうした多様な介護の支援がされていれば、社員が仕事をしやすい環境へとかえていくことが出来るでしょう。
企業における両立支援具体例3
もう一つの両立支援例として、
在宅勤務の推進が挙げられます。介護は人手が確かに必要ですが、常に介護ばかりをしているわけではないこともあります。そばで見守っていればよい時間帯も出てくるはずです。そういった時間に仕事が出来れば介護と仕事を両立することが出来る場合もあるのです。特定の仕事をしている人に在宅勤務を導入する会社は多いですが、
すべての社員に無期限で在宅勤務を導入するという会社も出てきています。こうした形で柔軟な働き方が出来るのであれば、安心して働き続けることが出来るでしょう。通常の社員と差をつけず、成果で判断するという仕組みのところもあり、そういった形であれば仕事へのモチベーションも高まると考えられます。
まとめ
介護のために仕事ができない、という状況は、もちろん労働者本人の生活を苦しくするものでもありますが、優秀な社員を失うという会社のリスクにもなります。また、日本経済全体に与える影響も大きくなってきます。多くの会社で介護と仕事の両立支援が導入され始めています。もしかするとあなたが働いている会社にも支援制度があるかもしれません。介護の必要性を感じ始めたらどのような支援制度があるか、一度チェックしておくことをお勧めします。