高齢になるにつれ、様々な持病や疾患が生じ、毎日の薬が欠かせなくなる場合があります。そんな時、正しい種類・量の薬を正しい時間に服用することが重要になります。しかし高齢者にとって服薬管理は難しく、1度の失敗が生命に関わることもあります。そのような状況を受け、居宅療養管理指導を始めとする服薬支援のサービスが充実しつつあります。
薬の飲み忘れの危険性
高齢になるにつれ、種類や分量が増えていく薬。それを高齢者自身が管理するのは、困難な場合があります。薬の飲み忘れは、
発作を引き起こしたり持病を悪化させたりと、大きな影響をもたらします。特に高齢者の場合、心臓など循環器関係の薬を処方されていることが多く、
生命の危険につながる可能性もあります。厚生労働省では2013年度に、家庭にある残薬に関する調査を行いました。その結果、患者の半分以上が薬を余らせた経験があると回答しています。一方で、既に飲んでしまったことを忘れ、過剰に服薬してしまう場合もあります。薬の用量や用法を管理できない高齢者に対して、周囲の人間が手助けをすることで、
薬による健康リスクを避けることができるのです。
居宅療養管理指導
居宅療養管理指導とは、
医師や看護師などの専門家が定期的に患者の自宅に訪問し、往診や管理指導を行うサービスです。薬剤に関しては、介護状況などにより通院が困難な患者に対し、薬剤師が訪問し管理指導を実施します。具体的には、患者の基本情報の把握や、調剤日・調剤内容の管理記録、服薬状況の管理記録、合併症や副作用の確認、患者の家族との相談・アドバイスなどです。高齢者に処方された薬に対し、
処方時から服用中、服用後のサポートまでを専門家が行うため、家族では見逃しがちなトラブルも未然に防ぐことができます。介護保険を適用して利用するサービスで、料金は訪問先やサービス内容によって異なりますが、
大体500円程度で受けられるものです。
服薬支援ロボ
テクノロジーの発達により、医療介護分野でもロボットの活躍が聞かれるようになっています。服薬支援ロボは、ケアボット株式会社が開発したロボットです。
服用する薬の種類、量や時間を事前に設定しておき、その時間に合わせて自動的に薬が分配されるという機能を持っています。 飲み忘れや飲み間違い、過剰服薬を防止するだけでなく、履歴をデータ化することで、誰でも簡単に処方薬の管理を行えます。タッチパネル式のため高齢者にも操作しやすく、お知らせ音がついているため気づきやすいという配慮もなされているロボットです。介護を担う家族や介護スタッフの負担を減らすこともでき、介護生活をトータルでサポートできるロボットだともいえます。
クラウドサービス服薬管理
服薬支援クラウドサービスは、株式会社日立システムズが開発したサービスです。服薬支援ロボと組み合わせることによって、一層スムーズな服薬管理を実現しています。
薬局や介護事業所がこのクラウドサービスを導入することで、患者の服薬履歴や残薬情報を共有することができます。遠隔管理が可能なため、離れた場所にある調剤薬局や施設でも常に情報を確認でき、訪問サービスに活かすことができるというメリットがあります。服薬支援ロボには1回分の薬をセットでき、誤飲防止が可能。さらに
薬を飲み忘れた場合に、クラウドサービスを通じて通知メールが届くため、薬に関する失敗を極力減らすことができます。高齢者への支援だけでなく、調剤薬局や介護事業所の効率化も図れるサービスです。
まとめ
高齢者にとって、複数種類の服薬は負担なもの。飲み忘れや飲み過ぎは、重大な事故につながりかねません。しかしロボットやクラウドサービスといった先端技術を利用することで、高齢者や家族、介護スタッフの負担を減らしながら、確実な服薬が実現できます。また居宅療養管理指導を利用すれば、専門家による綿密な管理指導も可能です。高齢者の介護状況や、家族の状況を踏まえた上で、このようなサービスを選んでみてはいかがでしょうか。