全国に52万人にも上ると言われる待機老人。その数は待機児童の約25倍の数に相当します。これほど多くの介護を必要とする高齢者が、さらに今後増えていくだろうと予想もされています。では、ご両親が特養にもし入れなかった場合は?対応をまとめました。
待機老人が増えている理由
高齢化から超高齢化へと社会が変化していますので、施設を利用する方の数が増えている現状にあります。以前は家で介護を受けていた方も多かったかもしれませんが、
より高度の介護が必要になることや、
ご家族が別のところで暮らしている、
共働きで日中面倒をみることができないなど、生活環境の変化も、待機老人が増えている理由の一つです。
特別養護老人ホームは介護保険の適応を受けているため、増やすためには地方自治体などの財源確保が必要となります。
待機老人の数を解消するほど多くの特別養護老人ホームを作ることは、現実的に無理な話となり、待機老人が増え続けています。実際に介護を経験された方だと分かると思いますが、介護は簡単なことではありません。
介護職員の不足も待機老人を増やしている原因の一つとされています。
有料老人ホームに入ればいいのでは?
入居型の介護施設は、特別養護老人ホームと有料老人ホームに大別され、それぞれに特徴があります。まず特別養護老人ホームの特徴として、地方公共団体や社会福祉法人が運営しており、費用があまりかからない事が挙げられます。
家計に負担が少なく介護が受けていただける施設になると言うことです。ですが、介護の施設のため、要介護認定がなければ入居することができません。
また、高齢化社会で、入居希望者が多く、順番待ちとなり、すぐに入居できるとは限らず、場合によっては
年単位で順番待ちとなることもあります。費用としては安いのですが、
いつ入れるか分からないことや、
医療サービスが限られており、十二分な対応が難しいところもあります。有料老人ホームについては、要介護の認定がなくても入居可能であり、
空室があれば即入居と言うことも可能です。最近では医療機関との併設の施設もあり、
介護・看護の面で優れたサービスを提供してくれているところもあります。ですが
費用面では高くなることもあり、特別養護老人ホームの空きが出るまで使われていると言う方も少なくありません。
特養に入居できない人の対応方法
入居希望をだし、順番待ちとなったとします。その間も介護は必要なのは当たり前です。金銭的に余裕があれば、有料老人ホームに入ると言うこともできますが、介護施設は他にも存在します。デイサービスと言われる通所型の施設、ショートステイと言われる日数に制限がありますが泊り込みが可能な施設、数時間ですがご自宅で代わりに介護をしてくださるホームヘルパーなどが代表的なものになります。入居待ちの期間はこれらを活用し、入居を待つということになります。
担当のケアマネージャーさんと連絡を取り、どこの施設に空きがあり、ご家族の負担が少なくなるのか判断していく必要がありますが、家族のみで介護を受け持つことはかなり負担がかかります。近隣だけでなく、何がいいのかを判断し、順番を待ちましょう。
特養以外の入居施設
ご自宅で介護が困難な場合は、入居型の介護施設が必要になってきます。特別養護老人ホーム以外にも、
有料老人ホームや
サービス付き高齢者向け住宅などが入居型の施設としてあります。ただし、サービス付き高齢者向け住宅は、自立の方もしくは軽度の要介護認定の方対象としていますので、要介護度の高い方は入居が難しい可能性もあります。その他にも、リハビリに重点を置いた老人保健施設、認知症を主に対象としているグループホームなども、老人短期入所施設、いわゆるショートステイも介護の入居施設となります。全てが同じ手続きではなく、入れるかどうかにもそれぞれに基準があります。特別養護老人ホームの順番待ちをしている間は、代わりの施設を探して行くことも考えていく必要があります。
特養は今後増える?増えない?
特養は今後必要になっていきますが、
増える可能性は薄いのではないでしょうか。公共団体が運営しているために、その自治体に財源の余裕がないと増やすことはできません。介護施設自体は必要ですが、介護保険料の財源確保も同時に必要になってきます。国、地方自治体の財源確保なくしては、いくら国が増やそうとしていても、介護施設を必要とする人が多くても、現実的には増えていかないかもしれません。また、介護施設が増えると言うことは、同時に介護職員も必要となります。質の高い介護を提供することが介護の職場にもとめられていますので、介護職員の充実もあわせておこなっていかなければ、介護の現場で様々な問題が起きていきます。特養を増やしていくためには、多くの問題があるために簡単には増やことはできないのが現実と考えられます。
まとめ
介護の問題は、早急に対応する必要性のある分野の一つと思われます。介護を必要とする方、介護のために働けなくなってしまう方のためにも、対応が求められています。特に働けなくなってしまうと言うことは、労働生産人口の低下も意味しますので、悪循環に入っていきます。
多くの方が今まで通り働き、求められる方に介護が提供される社会が作られることが、超高齢社会を乗り切っていくためには必要不可欠と思われます。介護の問題を書いてきましたが、同時に介護を必要としないためにも、今後一人ひとりの心がけが必要になるかもしれません。