アニマルセラピーとは動物を治療の一部として介在されることにより、対象者の心身の健康や社会的機能の回復を目的とする医療行為の一つです。今回はアニマルセラピーの効果や導入事例をご紹介します。
アニマルセラピーとは?
人は動物と触れ合うことで、リラックスしたりストレスが軽減したりします。こういった「動物を通じての癒し」を届けるのがアニマルセラピーの存在意義であり、動物が患者の機能向上の手助けをすることがアニマルセラピーの目的です。犬を用いたアニマルセラピー(ドッグセラピー)が主流ですが、他にもイルカや馬など情緒水準が高いとされている哺乳類を通じてセラピーを行う事例もあります。
アニマルセラピーの効果
一般家庭でペットを飼うこともアニマルセラピーに該当します。実際に残されているデータとして、ペットを飼っている人と、そうでない人では、病院に行く回数が減ったという調査結果があります。日本以外でもアニマルセラピーは重宝されており、ドイツやオーストリア、ハンガリーなどの欧州諸国では、アニマルセラピーのおかげで何千億もの医療費が削減されています。
ドッグセラピーの効果としては、リラックス状態を生む神経を刺激する“生理的効果”、「犬と散歩するためにリハビリに励もう」など動機づけとなる“心理的効果”、複数の人が犬の話題で話が盛り上がるといった“社会的効果”があると言われています。
介護施設でのアニマルセラピーの導入例
治療を目的としたアニマルセラピーは、不登校などの子供、施設に住む高齢者、終末期医療の患者などそれ以外の病気にも幅広く活用されています。介護業界大手のニチイ学会では、従来の身体的なケアだけでなく高齢者の日々の生活に「生きがい」や「やすらぎ」をもたらすケアを目的としたドッグセラピーを行っています。デイサービスやグループホームなどの施設にいる犬が好きな方、セラピーの効果が期待できる方を対象にし、トレーニングを受けたセラピー犬と職員が施設へ訪問し実施しています。
また、最近では自宅でペットを飼っていた人が介護施設へ入所する際、ペットも同伴で入所できる施設も増えてきています。
ドッグセラピー利用者(主催した施設担当者)の声
- 触れ合っている利用者の方々は、今まで見たこともない程、穏やかで、明るい表情をされ、とても嬉しそうでした。「とてもかわいかった」「また来てほしい」「もっと触れ合っていたい」等の声が多く聞かれました。
- 昔ご自分の飼っていたペットを思い出し、涙される方がいた。スタッフも含め、皆、癒されました。
- 普段あまり反応がなかったりする方たちも、ワンちゃんに触り声を出したり笑顔が見られたりする様子がありました。
- 普段居室から出られない方が、触れ合いのあとに「まだ帰りたくない、もう一回触らせて」と目をキラキラさせて仰っていました。早速「次回はいつ来るの?」と問いあわせが多いです!
- あまり手を動かされない方も、犬を触ろうと一生懸命、手をのばしている姿がとても印象的でした。