介護サービスを利用する上で必要なケアプラン。一般的にはケアマネに作成依頼するものですが、実は自分や家族が作成できることを知っていますか?手間はかかりますが、自分が受けたい介護サービスを選ぶことは「自分らしく」生きることにつながります。今回は自分でケアプランを作ることのメリットや作成時に気を付けるポイントをお伝えします。
ケアプランとは?
ケアプランとは、介護保険制度で要支援、要介護に認定された本人や家族の希望や必要性に添った介護サービスを、限度額や回数に基づいて適切に利用できるように作成される「介護サービスの利用計画」のことです。
ケアプランは自分で作成することもできますが、一般的には、ケアマネジャーがケアプランを作成してくれます。
自己作成のメリットについて
本人とその家族がこれからの介護生活に対して前向きになれる
ケアプランを立てることは、これからの生き方・生活の計画を立てることと同じです。ケアプランを立てる上で不安や疑問点を解消することで、介護に対して前向きな気持ちになれるようです。
自分の意志や意向を直接ケアに反映できる
ケアマネに依頼する場合でも、意見を言うことができますが、どの程度プランに反映されるかはケアマネによって違います。その点、自己作成は自身の意思を直接プランに反映することができます。
介護保険や関連情報に関する知識が深まる。
自己作成となると介護保険の内容を漠然と理解しているだけでは作成できません。介護保険は複雑で難しい部分も多いですが、理解するとケアプランを作成できるだけではなく、今後続く介護生活においてあらゆる場面で役に立つことでしょう。
介護事業者やケアマネと対等な立場で話すことができ、やりとりや意思の疎通がスムーズにできる
介護保険などの内容に関する知識が深まることで介護関係者との知識格差がなくなり、対等に意見交換できるようになります。
また予定の変更が必要な場合、直接介護事業者とやりとりするため、迅速に行うことができたり、意思の疎通がうまくいくという利点もあります。
自己作成における課題
情報収集が大変で、手間と時間がかかる
どんな事業者があるか、サービスの情報、評判など、ケアマネは容易に入手できるような情報でも個人には情報が入ってこず、情報収集のために時間や手間がかかります。
この点は、個人でも入手しやすいような、わかりやすく、より開かれた情報提供が課題となります。
周りの理解が浅い
ケアプランの自己作成はまだまだ世の中に浸透しておらず、自治体に戸惑われたり、快く受け入れてくれる事業者が多くないのが現状です。これについては、行政が主体となり、自己作成ができることを明示したり、作成しやすいよう情報を提供するなどの改善が求められます。
支援体制が無い
情報が得難いという点と、自己作成時の相談・チェックなどをしてくれる支援体制無いという点も自己作成が浸透していない要因と言えます。
自己作成の流れ
ケアプラン作成の前に要介護度の認定を受けていることが必須です。まずは、お近くの自治体福祉関係の窓口や地域包括センターへ認定の申請をしましょう。
認定の結果が出たあと、以下の手順で作成していきます。
- 市区町村に自己作成する旨届け出て、提出書類をもらう。
- 関係者や専門家と十分に相談・検討しながらケアプランを作成する。
- サービス事業者を選んで直接依頼・契約。
- ケアプランを書き込んだ書類を市区町村に確認してもらう。
- サービス開始後、事業者と密に連絡調整して意思疎通を図り、本人の意向を基にサービス内容を調整していく。
自己作成時のポイント
サービス提供事業所と接触を密にとる
これはケアマネを介す場合と同じですが、サービスを受けていると、利用者にとって不便に感じたりする場面が出てきます。その際に、普段からコミュニケーションをとっていると苦情や改善点など言いやすく、解決も早いものです。
ケア会議を利用する
通常はケアマネが主催する「サービス提供者会議」ですが、こちらは自己作成の場合でも有効で、主治医や利用する事業所の責任者など利用に関わる専門家に集まってもらい、定期的に話し合う場を持つのが理想です。さまざまな立場から一度に意見をもらうと、個別に連絡をとるより効率的に物事が進みます。
困ったときの相談先
自己作成をしていて、困ったことがある場合は、地域包括支援センターに相談してみましょう。地域包括支援センターの役割のひとつとして「自己作成の支援」というものがあります。また、自己作成を支援する団体『全国マイケアプラン・ネットワーク』http://www.mycareplan-net.com/index.htmlというところがあります。ケアプランを自己作成するためのワークショップを開催したり、作成しやすいツールを公開しています。ぜひ確認してみてください。
ケアマネへ依頼する場合もぜひ参考に
ケアプラン作成をケアマネへ依頼されているかたも、それと別に自己作成してみると、プランの相違が分かったり、自身の意向を整理することができ、より介護を充実させることに繋がります。利用者やその家族の方は、今回の記事を参考に自己作成にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。