高齢になると、若い頃より活動範囲が狭まってしまうことがあります。しかし最近では、高齢者向けの映画、カラオケ、ゲームセンターなどの娯楽サービスが多様に展開されています。高齢者の外出や娯楽は介護予防にもつながり、好影響をもたらします。今回は、気軽に利用できる外出スポットをご紹介します。
音楽×外出で介護予防
あちこちに出かけ遊んでいた若い頃に比べ、高齢者は家の中で過ごしがちな傾向があります。しかし外出の頻度が減ると、歩かなくなり足腰が弱ってしまい、
転倒や車いす生活の引き金になります。またコミュニケーションの頻度が減ることで、
脳への刺激がなくなり、認知症につながる可能性もあります。日常生活において脳や身体へ刺激を与えることは、介護予防になるだけでなく、高齢者へ生きがいを与えることにもなります。例えば川崎市では、介護予防のための
「生きがい発見!五感刺激プログラム」というサービスを開始しました。これは、
音楽の鑑賞・演奏や旅行を実施しながら高齢者の生活を活性化させる取り組みです。特に旅行に関しては、高齢者同士で計画を立てられることから、好奇心やコミュニケーションに刺激を与えるものとして高評価を得ています。
映画館では割引がいっぱい
映画館TOHO CINEMASは夫婦どちらかが50歳以上の場合、2人で同じ映画を見ると、いつでも2人分を2200円で見ることができます。 通常は1人1800円なので1400円もお得です。 また、60才以上の場合は1人でもシニア割引が使えるので、1100円で映画を見ることができます。利用には年齢が証明できるものが必要ですが、どちらの場合も通常料金よりかなりお得ですね。 ほかにも、ちょっと
ローカルな映画館だと1日2本の上映を1000円で見られたり、
古い映画などは500円で見られるキャンペーンを行っている映画館があったりします。最近はバリアフリー対応や、低反発クッションや車椅子用テーブルの貸し出しサービスを行っているところも。近くの映画館を調べてみてはいかがでしょうか。
高齢者に意外と人気!カラオケ店で懐かしの曲を
カラオケ業界では年々利用者が減少し、現在はシニア世代をターゲットにしたサービスが展開され、シニア層の利用も増えているようです。 シニア割引やカラオケ大会のイベント開催、シニア向けの料理メニューなどさまざまなサービスがあります。 カラオケ大手シダックスでは敬老の日にあわせて
3800円相当のセットが1800円になる敬老の日スペシャルギフトセットを販売中です。2時間のルーム料金と料理2品、デザート1品、ドリンク2杯がセットになっています。また、シダックスは車イスの方も移動がしやすい「段差のない出入り口」「バリアフリー対応のトイレ」「出入りしやすい引き戸」「スロープ」や、
目の不自由な方も安心な「点字ブロック」「点字歌本・メニュー」などを設置しておりバリアフリーの設備が充実しています。 今年の敬老の日は、親御さんへのプレゼントとしてカラオケに招待するのもいいアイデアかもしれません。
シニア向けゲームで楽しみながら脳を鍛える
オンラインゲームの中でシニア層をターゲットにしたゲームを作っているのがシグナルトークです。 代表作はオンライン麻雀ゲームの
「Maru-jan」です。目新しいゲームよりも飽きのこないゲームを心がけており、
ゲームを介護施設へ寄付するなどのチャリティー活動も行っております。また
認知症を早期発見できるという「脳測」というゲームもあります。 こちらのゲームは専門家のアドバイスで作られ、
認知症の知識を高めるコラムなども掲載されているので、高齢者だけでなくご家族もお試しになってはいかがでしょうか。
今注目の、ゲームセンターという選択肢
最近では高齢者の憩いの場として、ゲームセンターが選ばれることもあります。難易度の高いゲームに挑戦する場合もありますが、もぐら叩きやクレーンゲーム、テトリスなど比較的簡単で、脳や手先を使うゲームに人気があります。ゲームを通して思考力や運動能力の活性化をするだけでなく、仲間と協力したり競ったりすることで、ゲームセンターは
コミュニケーションの場としても機能しています。また店側でも、高齢者を対象にしたサービスを展開しています。
畳のスペースを設けたり、
無料の飲食サービスを実施したり、さらには
介護士の資格を有するスタッフを雇っている場合もあります。ゲームは介護施設でのリハビリにも利用されており、介護予防にとって効果的なツールだといえます。
積極的に利用できる図書館
知的好奇心を刺激するためには、図書館の利用も有効です。図書館では
視力が低下した高齢者向けに、大活字本や拡大読書器を用意している所が多くあります。また人気の本やリクエストのあった本を、
ボランティアが音読しデータ化した「音訳」を用意している図書館もあります。移動式図書館や、本の宅配サービスの実施も増えており、なかなか身動きが取りづらい高齢者にとっても、本が一層身近なものになっています。また図書館は、
生涯学習の場としても人気を得ています。学習コースを設ける、喫茶室を設置するなどして、高齢者を始めとする市民の憩いの場としての機能が拡大しているのです。日々その役割が進化していく図書館も、介護予防に役立つ施設です。
ちょっと遠出してトレッキング
On the Earthではシニア向けに国内外のトレッキングツアーや写真撮影を行うツアーを提供しています。 いろいろなコースがあるので、体力のない方でも自分に合ったコースを見つけることができ、
トレッキングに不要な荷物は車で回送してくれるサービスなどがあります。 写真撮影コースでは
プロのカメラマンが講師として同行するため、写真技術の向上も可能です。 様々な自然に触れながらゆったりとした時間を過ごしてはいかがでしょうか。
高齢者が一人で外出するときの支援サービスも
高齢になると自分で外出するのが困難になります。ヘルパーにちょっとした外出の付き添いをお願いしようとしても、ヘルパーは日常的な散歩や本人の買い物などに付き添うことが法律上認められていません。ですから、外出したいのにできない事情がある高齢者をサポートするサービスが今必要とされています。こうした現状の中で東京都板橋区では、認知症高齢者に対して@strong外出援助サービスを行っています。対象は65歳以上の在宅の認知症の方で、介護保険認定・要支援1以上の区民です。40歳以上65歳未満で、認知症を理由とする介護保険認定がある方でも利用できます。民間業者でも、
1時間から利用できたり、
いつも同じ人に頼めたり、
家事代行、
病院への付き添い、
旅行への同伴や
自宅で一緒に留守番をしてくれるというサービスもあります。最近では
アプリで地方の高齢者と運転できる人をマッチングするリクルートの
「あいあい自動車」というサービスも開始され始めました。地域のなじみの人で、手の空いている人に送迎してもらえるので、高齢者にとっても経済的な負担が少なく済みます。アプリの操作も3回程度補助してあげると高齢者のほとんどの方は使えるようになるのだとか。今注目のサービスです!
高齢者が気軽に訪れ、楽しめる施設が全国で増加しています。
特に映画やカラオケ、ゲームなどの娯楽は、高齢者の脳や身体の活性化に欠かせないサービスになりつつあります。また図書館のような公共施設も、市民が生涯にわたり利用できる場として進化しつつあります。気心の知れた仲間と集い、楽しむことは、介護予防にとって重要な活動です。家にこもりがちなご両親と一緒に、一度このような施設に出掛けてみてはいかがでしょうか。