null
mamoria マモリア(mamoria)親の介護にはじめて
向き合うご家族を総合サポート

最新記事を受け取る

人気ランキング

おすすめ記事

キーワード一覧

必要な時に、必要な情報が届くように-大成建設株式会社

ご自身は四国で現場の工事事務や収支管理などの事務職を経験。4年前、夫と同居するために本社の人事部いきいき推進室へ異動に。育児や介護との両立支援、女性・外国籍・障がい者の活躍推進、そして働き方改革を実施する部署で、仕事と介護の両立担当としてご活躍中だそうです。そんな緒方さんに、今回大成建設様の仕事と介護の両立支援について、お話を伺いました!


社員の声を聞き、細やかな配慮を。全国13拠点でセミナー実施も


ー現在、どのような取組をされているのですか?

主に介護に関する情報提供を行っています。介護に直面したことがない社員には、まず自分事にしてもらうこと、全体像を掴み漠然とした不安を解消してもらうこと、そして仕事は継続できるという気持ちを育てることを心がけています。一方で介護中の社員については、個別のテーマでのセミナーや相談会で必要な情報を入手してもらえる環境を提供しています。それらを通して、会社が仕事と介護の両立を支援している、と安心感を持ってもらおうと取り組んでいます。

ー介護離職防止の取組のきっかけはなんだったのでしょうか

取組のきっかけは、女性活躍推進の一環で2007年に実施した女性社員へのヒアリングと、「いきいき推進活動」という職場環境やワークライフバランスの改善運動でした。比較的年配の社員から「親の介護が心配」という声があがってきたのです。当時ワークライフバランスという概念を社内で浸透させていきたいと思案していたのですが、女性活躍推進や育児者のための施策と捉えられがちでした。そうではなく、全社員がワークライフバランスの意識をもち、パフォーマンス高く仕事をしてもらうために、誰もが直面する可能性のある介護にもフォーカスして取り組もうと2010年から実際に支援を開始しました。

―仕事と介護の両立支援というのは、どういう性質のものですか?
介護、といっても、期間も関わり方も人それぞれで、会社として制度を充実させたとしても支援しきれない部分が大いにあると思いました。また、結局介護への備えは自分で手と足を動かさなければなりません。ヒアリングなどで「介護について情報がなく不安である」という声が多くあったことを鑑みて、会社として「こんなふうに備えれば、仕事と介護の両立をできるんだ」と思ってもらえるような情報提供を充実させていこうと決めました。



―どこから手を付けていったのでしょうか。

手始めに、情報不足を解消する必要があると考え、介護の情報や会社の支援制度を整理し、社内イントラへの情報掲載や「介護のしおり(会社の制度をまとめた冊子)」の整備、そして介護セミナーを開始しました。その後、社員の介護実態を把握するため40代以上の社員から200名を抽出して介護に関する現状や不安に思う項目などのアンケートを実施しました。アンケートを実施したことによって、当時介護中の社員が15%程度いることや、介護と仕事を両立できるのか、複雑な介護保険制度や見通せない介護期間など、さまざまな不安を感じていることが分かりました。

介護セミナーについては、取組開始当初は年に一度のペースで開催しました。セミナーでは毎回アンケートをとり、参加者が知りたいと思っている事柄を調べ、2013年から導入編、介護保険、施設、認知症など内容のバリエーションを増やしてきました。また、回数も同時に増やし、本社だけでなく全国13拠点で実施し、現在では週末にも開催することでご家族にも来てもらえるようにしています。

セミナーで会社の制度や相談窓口の周知をした結果、介護休暇取得者が少しずつ増えてきました。そこで、介護休暇取得者へのヒアリングを実施し、取得者たちから得た意見をもとにして介護休業の改訂も2014年に行っています。分割取得や半日休暇を可能とし、日数も180日に増やすことで法定以上の制度を整えました。

―社員さんの声が反映されて、実際に取組が開始、制度変更がされているんですね。

そうですね。基本的に常に社員のニーズをくみ取りながら支援できるよう制度設計をしています。ほかにも、管理職向けの研修に、相談時の対応の心得も盛り込みました。例えば、介護について相談したときに、「もう親御さんを施設に預けるしかないんじゃないの?」と上司から回答された社員がいました。上司は家族だけではどうしようもない、と感じてついつい言ってしまったのだと思います。ただ、そう上司がそう感じたとしてもどう介護したいかはご家族内で決めることで、上司が決めることではないですよね。そういう細かな配慮も社員の安心感につながるので、相談時の対応の心得を研修で伝えています。

―そういえば、社員さんがケアマネさんへ相談する時の、便利なシートがあると伺ったのですが。

はい。これも取組開始当初から用意したものになります。社員がケアマネさんに相談する時にあったらいいな、と考えて作成したものです。ケアマネさんは、親のことはよく考えてくれますが、介護する側である社員本人がどのような生活をしているのか知らない人が多いと聞きました。そのために、社員が仕事と介護を両立できる介護プランを作ってもらえるよう、「仕事と介護の両立相談シート」を人事で作成しました。ケアマネに伝えたい自分のこと・家族のこと、会社の制度をA3一枚にまとめています。最初は会社の制度だけを掲載していたのですが、取組を深めてきた過程で得た知識をもとにして、ケアマネさんに伝えたいことを追加しました。



どう伝えるか?オンラインと紙の組み合わせで家族にもアプローチ


ーこれまでの取組の中で、ご苦労なさった部分はどこですか。

どうしたら社員により情報を届けられるのかという点です。弊社には全国に約千か所の作業所があります。作業所は発注者や専門工事会社、社内など様々な関係者と連携し仕事をしているので、普段から処理している情報量がとても多いのです。ですから、情報をただメールで送るだけでは伝わらないし、社内のネット掲示板に掲載しても、時間がないのでなかなか見てもらえません。そういった社員に少しでも情報にアクセスしてもらう工夫はまだまだ苦労しています。例えば、セミナーの情報は、ご家族にも来てもらうためにオンラインだけではなくダイレクトメールを家に送りましたし、セミナーに来られない社員向けに動画配信をするなど、工夫をしています。

弊社では提携しているNPO「海を越えるケアの手」さんによる個別相談会も行っています。私たち人事に相談されても答えられる内容に限界があるからです。支店でもセミナーの開催と併せて実施していて、今年からは Skype で全国どこからでも相談を受けることにしました。その他に、広報や「海を越えるケアの手」さんの協力を得て、四半期に一度発行される社内報で仕事と介護の両立特集記事を掲載したこともあります。50代60代の介護世代に伝えたいと思った場合、実は紙の方が馴染みやすくて効果的かもしれないと思い、紙に回帰しています。(笑)



―他社でも現場のお仕事がある企業で、テレワーク導入などに悩んでいる企業さんもいると聞いています。貴社ではどのように考えていますか?

現場配属者で、介護をしていてどうしても現場に出られなくなってしまった場合には、内勤にポジションを移すなど配慮しています。テレワークはトライアル中ですが、施工管理を担当する社員は現場を監督する必要があるので、まだまだテレワーク(在宅勤務)は難しいのが現状です。ただ、今後は現場でもトライしていきたいと考えていて、働き方改革の意味でも、現場にいなければできないことと、家でもできる仕事の切り分けを進めればテレワークできる可能性が高まると思っています。

働き方改革で難しいと感じるのは、設備のように入れ替えれば性能やバージョンを刷新できるという性質ではなく、これまで何十年もかけて培ってきた人間の考え方を少しずつ変えていかなければならない点です。好意的に「できる」と考えてくれる人もいれば、「できない」と言う人もいて、現状、双方の意見があって当然だと思っています。どうやったらできるのかを社員全員が一緒に考えていく土壌作りが今後の課題です。



ー最後に今後の目標はなんでしょうか?

まず、情報にアプローチできる種類を、特に作業所配属の社員に増やしていきたいと思っています。今後は介護のしおりをアップデートし、一定の年齢層の社員に配布する予定で、必要だと思う時には情報が手元にある環境に一歩近づくと期待しています。そして、地道に伝え続けることで、「介護」という言葉を目にする機会を増やしていきたいです。社員の状況は人それぞれですから、今年必要なくても来年は必要な状況になるかもしれません。毎年「会社が支援している」という姿勢を見せることが、安心して働ける環境に繋がると考えています。

最後に、介護をしている社員とその上司、人事担当者の三者面談にこれから力を入れていきます。介護に直面し1人で抱え込んでしまう状況を防ぎ、初動から両立体制が整うまで人事としてフォローしていくことが、社員にも上司にも必要だと考えています。弊社の社員のボリュームゾーンは現在49歳です。これから増えるであろう仕事と介護の両立に取り組む社員を、今後もできるだけ支えていければと思っています。

組織概要

大成建設株式会社
http://www.taisei.co.jp/

執筆者

取材・文:gCストーリー株式会社 高橋

マモリア事業部へのお問い合わせ

弊社の取り組みにご興味がある企業様はお気軽にご連絡下さい。
取材希望・事業提携など介護・終活に関わる方のためにご協力出来れば、と思います。

お問い合わせはこちら

https://mamoria.jp/inquiry

最新記事を受け取る

関連キーワード

併せて読みたい記事

  • 地域での孤独死防止のために自分たちが出来ること
    地域での孤独死防止のために自分たちが出来ること
    高齢者の増加に伴い、孤独死の件数も増加しています。孤独死を防止するために、地域では見守りサービスなどが整えられつつあります。また、孤独死を防ぐためには、食事に対する配慮、すなわち孤食をなくすことも重要です。今回は孤独死の実情や対策を紹介します。
    記事を見る
  • 車椅子で行けるゴールデンウィーク(GW)旅行先【九州】 【子どもと一緒】
    車椅子で行けるゴールデンウィーク(GW)旅行先【九州】 【子どもと一緒】
    九州には温泉をはじめ、豊かな自然や美味しい食べ物、テーマパークなどの観光スポットが豊富にあります。最近では、バリアフリー対応の施設が増加して、車椅子で観光を満喫できるようになりました。ここでは、GWに車椅子で楽しめる九州のお出かけスポットについてご紹介します。
    記事を見る
  • 亡くなっても人である。最後のメイクに込められた想い
    亡くなっても人である。最後のメイクに込められた想い
    1950年代以降、病院や介護施設等、自宅外で死を迎える割合は増加し続け、厚生労働省が発行した『平成29年 我が国の人口動態』では、2015年の自宅外死亡の割合は87.3%を占めています。 近年、感染・腐敗防止(エンバーミング※1)と、個人の葬送・遺族ケア、2つの目的を持つ、「エンゼル・ケア(※2)」が、遺族ケアの第一歩として注目され始めています。 今回は家族の最後の大切な時間を共に作る死化粧師として活動するキュア・エッセンス代表の宿原(じゅくはら)寿美子さんにお話を伺いました。 宿原さんは、法医学の復元方法を学び、死化粧師の後進育成、専門学校や医療・介護施設でのエンゼル・ケア講座も多数開催しています。 ※1:エンバーミング:薬品などを用いて防腐・保存のための処置を施すこと。特に遺体に対していう(三省堂大辞林) ※2:エンゼル・ケア:死亡した患者に看護師らが、遺族とともに、死者の旅立ちの準備を施すエンゼル・メイクなどの死後処置(『用例でわかるカタカナ新語辞典』出版/株式会社学研教育出版)
    記事を見る
  • 正しい使い方を!介護ベッドまわりの事故事例まとめ
    正しい使い方を!介護ベッドまわりの事故事例まとめ
    在宅介護の増加に伴い、家庭での電動式介護ベッドの利用が多くなっています。しかし、誤った使い方による重大な事故が発生しています。今回は介護ベッドの事故事例をまとめました。
    記事を見る
  • 車椅子生活を便利にするためのお役立ちグッズ・アプリまとめ
    車椅子生活を便利にするためのお役立ちグッズ・アプリまとめ
    両親が高齢になり、足腰が弱ってきたりすると、外出など移動も大変になってくる事でしょう。 そうなるとそろそろ車椅子を使った生活も考えていろいろと準備をする必要もでてくるのではないでしょうか。 しかしながら、いざ準備となると車椅子をはじめ、どのような物が必要になってくるのか考えてしまう人も多いのかもしれません。 そこで今回、車椅子生活を快適かつ便利に過ごせるためのグッズやアプリ、また最新の電動車椅子の特徴などを紹介していきます。
    記事を見る