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みんなが、みんなを助け合う場に。がん共同勉強会の取り組み

1981年以来、日本人の主な死因トップの座にあり続ける「がん」。国立がんセンターの統計では、全がんは60歳代から増加し、「高齢になるほど死亡率が高い」との統計が発表されています。
本日は、腫瘍内科医で『孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜』の著者であり、患者さん同士が治療体験を話しあう場を提供し続ける、NPO法人宮崎がん共同勉強会理事長の押川勝太郎医師にお話を伺いました。


自分の体験を活かせる「助け合いの場」


ーなぜ腫瘍内科医である押川先生が、「がん共同勉強会」を立ち上げるに至ったのですか?

がん治療の過程では、1人1人の患者さんに、医療とは別に様々な問題が起きてきます。
そんな中、患者さんやご家族が、治療の膨大な情報を短時間で理解するのはとても大変です。
はじめは診察の都度説明していましたが、1度では理解できにくい上、質問に答えたり相談に乗る時間が、どうしても多くはとれませんでした。
そこで、患者さんを集めて講義を始めたのがキッカケです。

定期的に講義をするうちに参加者同士が友人になって、色んなことを話せるようになっていったんです。
勉強会の場が、患者さんやご家族にとって、自分の辛い思いや、失敗談も活かせる、助け合いの場になりました。
宮崎の勉強会は発足から7年。今では皆さん非常に自主的に活動してくれています。

実体験者の経験が、色んな人の「やってみよう」に直結する


ー具体的にはどのような活動をされているのですか?

宮崎と東京で月に1度ずつ共同勉強会を開催しており、告知は院内やブログで行っています。

参加者の制限はなく、患者さんやご家族以外にも、がんサバイバーの方、医師、看護師、薬剤師、心理士、がんに興味がある方なども参加してくれています。



前半は、毎月のテーマに沿って、がん治療に関する講義をします。
例えば最近では、今まで怪しいものばかりであった免疫療法の中で免疫チェックポイント阻害薬であるオプジーボが、遂に肺がんや胃がんの臨床試験で効果を証明した原理や、早期緩和ケアの有効性についてお話ししました。
その後、参加者全員で体験を分かち合い、質疑応答を行います。
ここでは私の医師としての助言だけでなく、参加者の皆さんも積極的に発言しています。

インターネット等で調べただけでは机上の空論ですが、実体験者の経験が、色んな人の「やってみよう」に直結しています。

体験者のほんとうの感想がみんなの助けになる


ー参加者の皆さんの、笑顔と前向きな雰囲気が印象的でした。

共同勉強会に参加する皆さんは、仲間に協力出来ることをとても喜びます。
新しい患者さんは、共同勉強会に行くと、色々教えてもらうことが出来、私たち医療側も助かり、三方よしです。
単にレクチャーや講義だけではあまり役に立ちません。
全てのサイドが助かるという形をとって初めて、やっぱり成り立つものだなぁと感じます。



病院が医療を提供しても、実際に患者さんたちがいちばん喜ぶのは、病気以外のことを一緒に話してくれる人がいることのようです。
どうも病院には相談しにくいというのがありますし、実際の体験者の経験は、聴く人にとって真実味があります。

共同勉強会は、患者さん同士を中心に、それを支える人たちで自助グループが形成されています。
ほんとうに治療を受けた人やサバイバーが、体験から治療について説明してくれたら、その人がほんとうの感想を言ってくれます。
「体験者のほんとうの感想」それ自体が、医療従事者、患者さん、双方の助けになるんです。

ー病院側とのコミュニケーションに関する相談が多かったですね。

患者さんはすぐ病院に行けるけど、待ってる人がたくさんいるから、担当医に質問したくても、我慢しているケースは結構多いんです。
入院していれば尚更、医師も看護師さんも忙しそうにしていて遠慮してしまう。
患者さんと医者の敷居がどんどん高くなり自分の抗がん剤の影響や、がんで苦しんでいる状況を、言えなくなる傾向があります。

例えば、そういう場合、自分が気になっている症状や希望を、お手紙に書いて受付に渡しておいたら、上手くコミュニケーションが出来た。という体験談がありました。
診察が落ち着いたタイミングで主治医に読んでもらうことが出来て、伝えたいこともきちんと伝わって有効だったそうです。

もし、薬の副作用に不安があるなら、飲んだ薬の名前、量、タイミング、症状をメモしておけば、薬物投与によるアレルギーや中毒症状の原因特定の助けにもなります。

医療側の改善も大切ですが、患者さん側から出来ることを働きかけていくことについても、100回近い勉強会を重ねてきて、知見が溜まってきました。

ーまさに皆さんの「助け合い」の成果ですね。今後の目標はいかがですか。

僕が共同勉強会をやってる究極の目標は「人材発掘」です。
「がん」というキーワードで集まる人の中に、実はみんな、個性があって、能力があって、みんなが、その場で色んな協力をしてくれる。

相互の助け合いの場であり、単にこちらが”助ける”だけでなく、むしろこちらが助けてくれる人を募っている場でもあるんです。

ブログで、これまでの知見も含んだ「がん治療」に関する情報を提供しています。
僕のブログを見て、意欲的な患者さんが集まってくれて、勉強会の雰囲気はとても明るいです。

がんはもう特別な病気ではなく、治療以外の生活は普通です。
患者同士で経験を教え合えば、体調のコントロールがしやすくなります。
治療を継続しながら生活や仕事や家庭を守っていけるイメージを広めていきたいと思っています。

勉強会について参加してみたい方はこちら

団体概要

NPO法人宮崎がん共同勉強会
理事長ブログ:(がん治療の虚実)
http://ameblo.jp/miyazakigkkb/

参考文献

「内閣府H28高齢者会白書」
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/zenbun/pdf/1s2s_3_1.pdf
「国立がんセンター最新がん統計」
http://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

執筆者

取材・文:gCストーリー株式会社 阿南
画像提供:NPO法人宮崎がん共同勉強会

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取材希望・事業提携など介護・終活に関わる方のためにご協力出来れば、と思います。

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