終活|終末期を安らかに過ごすために、仏教の力を借りてみた
長い人生をどう生きるかとともに、最期のときをどう迎えるかは人生にとって大きな課題です。終末期のケアにおいて、日本人に馴染み深い仏教観を取り入れた「ビハーラケア」が最近注目されています。ここでは、ターミナルケアの1つである「ビハーラケア」についてまとめました。
ビハーラケアとは?
「ビハーラ」とはサンクスリット語で僧院、寺院、安住の場所などの意味を持ち、「ビハーラケア」は仏教の主体性・独自性に基づくターミナルケア(終末期医療・看護)が大きな特徴です。また、末期患者に対する苦痛緩和や癒しの支援活動は、患者本人だけでなく家族も対象にしています。ビハーラの意味には「終末期医療とその施設」を対象とした狭義のものだけでなく、「仏教者を主体とした社会活動」とする幅広い捉え方にも特徴がみられます。なお、ターミナルケアでは、キリスト教系の「ホスピス」が広く知られています。
ビハーラケアが必要とされるのは?
ターミナルケアには医療や看護の領域だけでは解決できないこともあり、日本人の生き方に合わせたケアの必要性が問われています。そのため、医療スタッフなどの医療チームにビハーラ(仏教者)が加わってケアを行う点に特徴があります。また、1998年に結成された「ビハーラ医療団」は、仏教を学ぶ医療関係者による全国的組織であり、その活躍ぶりが期待されています。
メディアで注目されるビハーラケア
ビハーラケアに関する話題は、医療関係の雑誌などでも取り上げられています。その1つに「緩和ケア」(2014年9月号)の「TOPIC 私のターミナルケアと看取りへの疑問とその解決の方向をさぐる-『ビハーラケアと日本的ケアの可能性』での提言」があります。また、「看護学雑誌」(58巻8号)には、特別記事「より日本的なターミナルケアを求めて ビハーラケアとは」が掲載されるなど、その注目度は上がっています。
ビハーラケアを行っている介護施設は
最初にビハーラケア病棟ができたのは新潟県長岡西病院です。1993年に設立されたこちらの病棟では、「3つの理念」に基づき、寿命を受け入れた上で限られた日々を穏やかに過ごすことができます。また、お釈迦様の仏堂を安置、常勤者の仏教者を中心に、地元僧侶の有志によるボランティア組織が各種仏教行事を行っています。他には、京都府のあそかビハーラ病院・愛媛県のグループホーム ルンビニーなど、数は少ないですが、全国に導入している施設があります。
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